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介護分野での外国人サポートが増加!(ただし、日本語習熟等に課題あり)

2018年10月15日 | お知らせ

介護人材、外国人が担う 各地で技能実習生ら受け入れ

地域総合2018/10/15 0:30、日本経済新聞 電子版

農業や建設、製造などが対象の外国人技能実習制度に2017年11月から介護職が加わり、今夏にインドネシアなどの実習生が来日し始めた。

日本で介護を学び、資格を得て就労を目指す留学生も急増している。

人手不足に悩む介護事業者も外国人の獲得を積極化しており、自治体も支援に乗り出した。一方で受け入れ体制や日本語の習熟度などに懸念もある。

初任者研修を受けるインドネシア人の介護技能実習生(長野県小諸市の介護施設協同組合)「何でもやってしまう介護職員はどうですか?」。

日本人講師の問いに「入所者の力を奪ってしまいます」とインドネシア人の技能実習生が流ちょうな日本語で答える。

介護施設協同組合(長野県小諸市)の同市内の研修所。

8月に来日したインドネシア人実習生の第1陣19人が介護実務の基本や日本語を2カ月かけて学ぶ。

18~29歳の全員が母国で医療・看護関連の学校を卒業後、日本語などの研修を約1年受けた。

6人が日本語能力試験の「N4」、13人がさらに難しい「N3」に合格済みだ。

介護・医療施設を運営するのぞみグループ(同市)を中心に設立した協会には東京、千葉など8都県の32の社会福祉法人が加入しており、実習生は研修後に各法人で最長5年の実習にあたる。

介護の技能実習生は7月以降、各地で受け入れが始まっている。

日本の監督機関である外国人技能実習機構(東京・港)によると、9月28日時点で計画認定は332人。

のぞみグループ代表でもある介護施設協同組合の甘利庸子代表理事は「18年度は合計35人を受け入れる。19年度は300人が目標」と語る。

研修を視察した埼玉県の職員は「EPA(経済連携協定)での人材受け入れは出遅れたので、技能実習生では支援策を考えたい」と話す。

県内の介護事業者に県が声をかけ、甘利氏による説明会を8月に開いた。


外国人介護人材の受け入れはEPAにより08年度に始まり、17年度までに3529人が来日。

国家試験の介護福祉士も同年度までに719人が合格した。

一方、介護福祉士養成の専門学校などに入学した留学生も18年4月は1142人と前年比で倍増した。

17年9月から在留資格に「介護」が加わったことが要因だ。

介護職での技能実習生も増加が見込まれる。

自治体も積極的に動きだした。

横浜市は7月、ベトナムのホーチミン市、ダナン市、フエ省や現地の大学・職業訓練校5校と介護人材を巡り覚書を交わした。

市福祉事業経営者会と協力し、18年度は留学生ら20人の受け入れを見込む。

市内では25年に介護人材が約8500人不足する見込みで、事業所任せだけでは乗り切れないと支援に踏み切った。
「高齢化が今後進むベトナムでも介護に習熟した人材が求められている」と市高齢健康福祉課の佐藤泰輔課長は指摘する。

横浜市は介護を学ぶ留学生にも日本語学校の学費を年間35万円を上限に半額補助。

外国人に限らず新たに雇用した介護職員を団地の空き家に住まわせる事業者に家賃を助成する制度も設けた。

東京都は08年度以降、EPAで95施設に316人を受け入れた。

介護福祉士の取得を目指す外国人を雇用する事業者には日本語学習経費などを1人100万円まで支給する。

18年度からは技能実習生を受け入れる施設に日本語や介護技能の研修費を最大67万円の半分まで補助する。

ただ、技能実習制度では初任者研修などを進める監理団体や現場の介護施設での受け入れ体制に優劣が出る恐れがある。

留学生には監督機関がなく、受け入れの実態がわかりにくい。

大阪府は3月、留学生と受け入れ事業者の労働契約のあり方など留意事項を記した指針をまとめ、関係機関の協議会で徹底させる。

政府は外国人の新たな在留資格を19年春にも導入し、技能実習生が最長5年の実習終了後もさらに5年の滞在を認める方針。

実習生は入国後1年以内に日本語能力試験で「N3」を取れないと帰国してもらうとの条件も緩和を検討する。

政府の方針に、自治体や事業者には賛否両論ある。

「人材不足だから緩和するといっても質を担保できるか懸念する事業者もいる。技能移転が目的の実習生を事実上、移民にするのか国のスタンスをしっかり決めてほしい」(東京都)という。

一方的な人材確保は相手国とトラブルになりかねない。

のぞみグループは国際協力機構(JICA)の事業でベトナムに日本式介護技術を輸出する調査を実施している。

介護人材を育てる学校と介護施設を併設したモデルが現地にできれば、日本で介護を学んだ人材の循環が可能になる。

ベトナムではドイツやオーストラリアが有利な条件を示し介護人材の獲得に力を入れる。中国も介護人材は不足する。

日本も介護職全体の処遇を向上させないと、国際競争のなかで人材確保が難しくなりそうだ。

■日本語習得・処遇に課題

介護の仕事をする外国人がいる介護保険サービスの事業所はまだ全体の5%程度とみられるが、都市部を中心に増加している。

ただ、利用者や日本人スタッフとの意思疎通、介護記録の作成などの面での懸念は多い。

すでに外国人を多く雇用する介護現場の実情はどうか。

社会福祉法人伸こう福祉会(横浜市)は17年末時点でペルー、中国など17カ国・地域の49人の外国人介護スタッフを抱える。

日系人や日本人の配偶者、留学生らで日本語能力は様々だ。

同法人が神奈川県藤沢市で運営する介護付き有料老人ホーム「クロスハート石名坂・藤沢」では、タイ出身のスタッフ、猪野ゲッチャダーさんが車椅子の高齢者に優しく声をかけていた。

「外国人スタッフはにこやかでボディータッチしながらコミュニケーションをとり利用者に喜ばれている」と、足立聖子理事長。

一方で日本人スタッフから仕事のペースや引き継ぎ記録などの面で不満は出るという。

このため外国人スタッフのためのインターナショナルクラブを作って税金・労災の説明会や親睦パーティーを開く。

社内報も多言語化している。「外国人の利用者も出始めており、今後も技能実習生などを増やしたい」(足立理事長)。

介護施設でも国際化と外国人との共生は間違いなく進むとみている。

介護人材がさらに不足する中、来日した外国人の生活支援も含めて介護事業者や自治体、国などそれぞれで対策を進めるべきだ。

(長野支局長 宮内禎一)

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