最近昔の曲のカバーが多いような気がする。鮎貝健ですの「ジャパンカウントダウン」を見ていると、倖田來未さんとEXILEがバブルガムブラザーズの「Want be long」をカバーするというトピックが紹介されていた。この「Want be long」という曲は90年代の大ヒット曲で100万枚以上売れた大ヒット曲らしく、しかもデュエット曲らしい。それゆえに今回のカバーバージョンはカラオケ事業者の団体が応援しているそうで。
よく時代を表していると思うのは、どうも企画先行の匂いがするこのカバー曲が、90年代の「Want be long」であるということ。何だかんだ言っても、90年代後半に入る手前までは今よりは皆がヒット曲を知っていたように思う。あくまで感覚でしかないけれども。曲が共有されていたので、大ヒットも生まれやすかったんじゃないかなぁと。共同体意識というか、そう言うものがまだ薄っらと残っていた最後の時代。
安室さんやTRFやモーニング娘のヒット曲はたぶん多くの人が答えられそうだけれども、倖田來未さんのヒット曲はたぶん皆が答えられるとは思えない。同じくらい知名度はあるはずなのに。倖田來未さんの時代まで来ると大ヒットといってもその多くがマスコミの情報によってもたらされる本当に、本当の意味で記号的な消費になって来ているような気がする。エロカッコイイと言うイメージでは認知しているけれども、内実まではと言うような。
だからこそ2つのビックネームであっても、ヒットを当て込むためには、カラオケで歌ってもらうためには過去のヒット曲で無ければならなかったんじゃないだろうか。アーティストが「Want be long」好きであるとかは関係なく。まさにポストモダン的思考と言うか、アウフヘーベンだなぁ。
ただもっと凄いのがRIZEの「Pink spider」。無くなったHIDEさんが生前最後にリリースした楽曲をRIZEがカバーしているんだけれども、PVのスタッフがオリジナルのスタッフで、映像も全く同じに作られている。まんま。本当にこういうのを目の当たりにするとポストモダンと言うのが思想家の戯言ではなくて実感を持って感じられる。RIZEはTOKIEさんが抜けてから興味ないけれども、この記号遊び的な楽曲への姿勢は興味深い。もはやリスペクトとか言う次元じゃないよこれは。
全く文脈に関係ないような木もするけれども、一時期椎名林檎さんが戸川純さんのマネであるというような批判がネットであったけれども、戸川さんは天然で、椎名さんはかなり自覚的だったように思うけれどなぁ。まぁベクトルが全く異なるんで。