今の堤幸彦に一体何を期待すればいいんだという状況ですが。
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「SPEC~警視庁公安部公安第5課 未詳事件特別対策係事件簿~」(TBS)
「ケイゾク」、「トリック」では、特に「トリック」では自称超能力者による犯罪で、実は本当に超能力があるんじゃないのか?的なその存在を匂わすようなものは在ったけれど、一応はトリックによる嘘ということだった。でも「SPEC」では明確に超能力が存在するという世界観になっている。
堤作品では頻出する未来を予言する能力や超人的な身体能力、弾丸を跳ね返す能力など明確に特殊能力(SPEC)がある世界として存在していて、上川隆也演じる脇智宏(「ごくせん」等に出演したあの人ではない)が能力を有する者を「我々」と称していたので、『HEROES』や『4400』に近い特殊能力者を抱える世界観なのかもしれない。
でも一応ミステリドラマなので、特殊能力を用いた完全犯罪が行われる。まぁ、これまでも奇抜すぎるトリックばっかりだったので超能力といえなくも無いけれど、明確に人知を超えた能力を使って殺人をするというのはもはやミステリーなのかと首を傾げたくなるほど新しい。
「ケイゾク」や「トリック」でぎりぎりだった細かなディティールを用いたギャグはもはやぎりぎりを通り越してしまっている感が強いけど、映像には未だに惹かれるものは少なくない。特殊カメラを使ったスローモーションな演出は見ていて面白いし、戸田恵梨香も加瀬亮も画面栄えする。
ただ戸田恵梨香演じる当麻沙綾のディティールは何で柴田淳を模倣しているんだろうか。長いロングスカートに白い靴下という見た目的なものから、高学歴の変人という経歴的なものまで。そもそも何で天才というのを表すのに学部卒なんだろう。そろそも院卒とか中退みたいなギミックが欲しい気が。
当麻の性格付けにしても、浮世離れしていそうで言葉遣いは口汚く、加瀬亮演じる瀬文と対立するというバディスタイル。柴田と真山との対比なのかも知れないけど、いまいちかなぁ。
ただ映像は面白いし、今のところドラマとしても面白くはあるかなぁと。SPECがどのように物語に、世界観に絡んでくるのかという点は非常に気になります。