NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

ウンコ味のウンコ、『カエルの王女さま』第2話

2012-04-21 | 授業
このドラマを面白いとか言っている人は頭が沸いているか、何にも考えていないんだろうと思います。これと『glee』とか『モテキ』を比べてくれるな。「海外ドラマで人気のやつ?」っていう台詞書いた脚本家は地獄の業火に焼かれるべきだと心底思いました。元ネタへのリスペクトもそれを超えてやろうという熱意も何も無い大変残念なドラマだと思います。


一番残念なのは『glee』は音楽を抜いても十分に楽しめるだけの物語的魅力があったのに、これには一切そんなものが無い。日本の脚本にありがちなやっちゃいけないことが多いですが、一番酷く目に付くのがシャンソンズの神格化です。


この一番の問題は物語上で「伝説のコーラスグループ」という設定があり、物語上では市町村合併を覆すような力があり、市長にも恐れられているという設定。実際のパフォーマンスにそれを担保するような力があれば全く問題ない(無いこともないけれど)けれど、「ショークワイア」と予告されたそれは文化祭の出し物レベルのカラオケショー。シャンソンズの町での馬鹿にされ方とかも唐突。走っているだけで、何故か馬鹿にされる。これはある種の神格化の裏返し。

古い因習に縛られる女性としての忠子。父親のパーティーに着物で出席させられ、しかも着付けの時にこれ見よがしにぎゅっときつく帯を締められる。それ自体は古いモノに囚われている、ある種自分自身もそれを望んでいるというメタファーとして良いとは思うけれど、仮にも市長の娘なのに出席者のおやじ共に芸者よばわりされ、しかもボディタッチされとる。芸者さんに対しても失礼だけれど、市長の娘にそんなこと普通するか?それを注意もしない市長である父親と主人。俺なら石田ゆり子があんな汚いおやじ共に触られてたら、許さねぇ!と思います。

その後の出し物のへの参加を拒まれ、CDを割られて、ステージを引き摺り下ろされるくだり。何でそこまでするの?そんなすごかった?そんな力あるの?と巨大なクエスチョンマークが盛大に湧き出るも「あー、きっとCD割られてくらいでなんだ!アカペラで歌おう!」という流れになるのかなぁと思ったら、前述の忠子がCDを持って駆けつけて歌いきる。ケツメイシの「さくら」を。でもショークワイアでは無く、振り付きカラオケ。ダンスというかステップだけだよ。。。



カラオケにしている一番の問題はやっぱりアレンジの下手さ。そしてなぜこの選曲だったのかが放送後に分かります。それは劇中楽曲の配信販売。gleeも配信なりCDなりでビジネスしているけれど、楽曲の必要性よりも経済性の方が優先されちゃっているんじゃないのか?と疑念を近時得ません。そしてこれからショークワイアになるの?踊れるの?とか思いますが、おそらく第3話以降は観ないでしょうと『glee シーズン3』を観たら、「カエルの王女さま」を観ることがほとほと馬鹿らしくなってきました。マイケルエピソードのシナリオも選曲もパフォーマンスも凄過ぎです。


―GLEE - Smooth Criminal (Youtube)

チェロによるアレンジ。格好良すぎるでしょ。

―Glee - Black or white (Youtube)

原曲のまま使っているんだけれど、アーティのマイケルのボーカルとか後半のモーフィングとかもうねぇ。


劇場版『モテキ』すら超えられないですよ、こんなのじゃ。ダンサーの森山未来と大根監督の選曲と演出。正直、「カエル」に森山未来以上に踊れる人が男女問わずに出演しているとは1ミリも思えないですし。そしてもう一度書きますが、「海外ドラマで人気のやつ?」っていう台詞書いた脚本家は地獄の業火に焼かれるべきだと心底思いました。

『愛のむきだし』、祝ブルーレイ化決定!

2012-04-17 | 授業
『愛のむきだし』が最近の園子温監督ブームの影響でようやくブルーレイソフトとしてリリースされるよう。ソースは園監督若しくはスタッフノのツイッターのツイート。DVD版は容量の関係で2枚組み。しかも音のバランスがおかしく、台詞が聞こえ辛いという大きな欠点が。今回は音も作り直したということなので期待大。しかもパッケージもあの微妙なものからリニューアルされるとのこと。正式情報公開、早く来い!

劇場版『モテキ』を、観る

2012-04-15 | 授業
TBSラジオ「Dig」の金曜パーソナリティーが大根仁監督だったので、満島ひかり出演ということだったので、ドラマ版は事前番宣番組から観ておりましたが、サブカル糞野郎(ただしお洒落じゃないほうのサブカル)であるところの根っからの引きこもりなもので映画館には足が伸びず好評が聞こえてくるとなるべく耳を塞ぎブルーレイの発売を持っておりました。だけれども根っからのものぐさがたたり発売から1ヶ月近くたった今頃に封を開けた次第。



まずテレビ番組の映画版ながらも、フジテレビなどのそれと違うのは単純な続編では無いと言うこと。一応テレビドラマ版を踏まえてはいるが、観ていなくても話が通じる続編。というか、続編というよりもリプリント版というか、『フレンチコネクション』に置ける『フレンチコネクション2』というか、上辺は異なるけれども物語の基本構造は同じという新約版といった趣き。あっ、『エヴァ』と『ヱヴァ』か。

ドラマ版のメインなヒロインであったサブカルないつかちゃんと小悪魔系の夏樹ちゃんが合わさったのが今回のみゆき。墨さんとセックスしちゃう点ではいつかちゃんの部分、恋愛が下手という部分に関しては、今回はるみ子が引き受けている。幸世を導く一段上の存在であったリンダはナタリー編集部の唐木が引き受けている。ヒロインの彼氏という点では島田が山下ダイスケになったと。

ラブコメ、若しくはブロマンスなのだけれど、本質は童貞の、セカンド童貞の冒険譚。可愛い女の子との楽しくも苦しい関わり合いの中で、時には好きな女の子の彼氏と闘うことで女の子を獲るまでの話。これはテレビドラマ版でも同様で、幸世は4人の女の子たちの間でふらふらしつつも「人生で一番好きになった」女の子を求めて闘っていた。ただドラマ版の後半に関しては、ぼくは否定派。だってぐずぐずなんだもの。

でも映画版は基本的には肯定派。ラスト、幸世の恋が成就するところなどを踏まえると本当に『フレンチコネクション』における『フレンチコネクション2』という感じがする。初っ端の他人の痴話喧嘩からの刃傷沙汰に巻き込まれる冒頭からして、かましが聴いていて鷲掴み。ラストのみゆきとの成就からの、スチャダラとの『今夜はブギー・バック』の流れは最高にアガります。『モテキ』の最後の最期にぴったり!

『モテキ』は幸世の冒険譚、成長譚なので仕方は無い部分はあるにしても、ちょっと引っかかる部分もやっぱりあって、何でるみ子は幸世に惹かれたのかがいまいち分からない。なんかきっかけらしい、きっかけってあったっけ。とか、幸世のるみ子に対する態度とかいくらなんでも酷すぎるとか。ただ基本的な部分では不満はないです。ドラマ版よりもすっきりとまとまっている印象でいいと思います。

ドラマ版で数少ない不満だったダンスシーンも映画版は改善されていました。楽曲はドラマ版と同じくPerfumeの「Baby Cruising Love」。ここに関しては今作でも不満ではあるけど(みゆきへの恋心を表現するシーンのはずなのに「Baby Cruising Love」は単純に恋の展開にワクワクしているだけの曲には思えないから。)、Perfume本人が登場したり規模が大きくなったことで大分ポップになったと思う。

80年だから現代まで網羅する音楽の選曲センスももちろん良くて、これは『glee』に匹敵するセンスの良さ。男性視点で歌われている岡村ちゃんの「カルーアミルク」をるみ子側の視点で用いたり、「カルーアミルク」がかかっているシーンでは早朝の吉野家で牛丼をかっ込んでいるという演出もすばらしい。何故かは分からないけれど、これはすき屋やなか卵だと画にならないと思うですし。ふっきるシーンだから。



まぁ、そんなことよりも『モテキ』の凄さ、大根監督の凄さって言うのは徹底的なリアリティの積み重ねによる実存感、リアリティ。幸世もみゆきもそして墨さんもどこかに実在しているんではないかとうっかり思ってしまうほどにリアル。その理由はやっぱりこのキャラクターはどんな人物なのかということを監督と俳優が考えて作っているなんだからということを再認識させられる。絶対性格悪そうだけど。

そして大根監督の『モテキ』の最大の功績は長澤まさみを救ったこと。『モテキ』以前の長澤まさみって『ラストフレンズ』とかヒット作もあったのに、映画が『曲がれ!スプーン』とか『深呼吸の必要』とかが大コケしたから週刊誌、夕刊紙とかで叩かれていたけれど、結局は本広なんちゃらとか行定なんちゃらとかがウンコちゃんだったってことを証明したことなんじゃないのか。

誰かの言葉ですが、「下手な俳優など居ない。下手な脚本と監督が居るだけだ」という言葉を思い出すが、まさに。「都市伝説の女」のスタッフの人たちには猛省していただきたいと思います。長澤まさみを使って駄作を作ったら、それは製作者側の責任なのですから。それにしてもここまでの女優陣があっけらかんとセックスを肯定する感じの日本映画って、ここだけ治外法権なのか。


にしても、『モテキ』に関しては、ドラマ版も凄かったけれど、映画版の一般層への浸透が半端無いのがとても印象的でした。会社で普段はドラマとか映画に興味無い様な人たちが口々に「『モテキ』面白かった!」と言っているのを聞いて、これがブームなのだと。大根監督の好きな美人OLの方々も誉めておられました。

『坂道のアポロン』

2012-04-14 | 授業


『坂道のアポロン』(ノイタミナ)
学校きっての不良学生である千太郎に反発していた薫だが、千太郎のJAZZドラムの力強い演奏に耳をふさぎ聴かないようにしていたのにその迫力に圧倒されて聴き入ってしまう。クラシックしか聴かない薫だったが、帰り際にJAZZのレコードを購入する。千太郎のJAZZドラムのビートが頭から離れず、歩くときもそのビートに合わせて歩いてしまう。

その千太郎のドラム演奏シーンは劇中の薫だけが圧倒される物語の設定ではなく、アニメであるにもかかわらず、またアニメではあるが『のだめカンタービレ』と同様にCGによるアニメーションではあるが比較にならないほどの実存感。アニメの中に人が居るような、アニメーションとドラムの音が完全にシンクロしている。それだけではなくちゃんとドラムは一定のリズムから逃れているので、当たり前だけれどグルーヴ感を生み出している。それをアニメでやるって!

今週号のテレビブロスには渡辺信一郎監督と菅野よう子さんの対談が掲載されていましたが、このシーンは原作では薫のモノローグがあったとのこと。それを全部取り去って、アニメーションのみで表現したのだという。やっぱりそうなんだよ、圧倒的な表現が出来れば、無駄なモノローグや説明なんて要らないんだよ。むしろモノローグや説明以上に説得力が増す。だって自分でそのシーンを理解しようと努めるから。(そして部ロスの対談では面白い話がいっぱい!)


トップクリエーターの仕事を持って比べるのは悪いんだけれど、果たして日本の実写ドラマの方々がこういった表現を作りこめるのかというと、昨日の「カエルの王女さま」を観るとはなはだ疑問。菅野よう子さんは凄いとは思うけれど、苦手だった(殊に映画版『カウボーイビバップ』とかの”ネオ”な感じが)けれど、今回はサントラを予約しました。アニメの続きとサントラが待ち遠しいですよ!

『glee』をパクるなら、もっと巧くパクれ。「カエルの王女さま」

2012-04-13 | 授業
ツイッターで反応を検索したら、元ネタを知らない痴情波なかたがたは概ね高評しているという現状に頭がくらくらしてくる思いがしました。。。


「カエルの王女さま」(フジテレビ)



日本のドラマの歴史を見れば、海外ドラマのパクリの歴史であることは周知の事実ですが、先人たちには元ネタを超えてやろう的な野心や知恵などがあったような気がします。犯罪都市マイアミを横浜に置き換え、コミカルにアレンジしなおした日本版『マイアミバイス』こと『あぶない刑事』とかこちらも日本的な湿ったユーモアで包みなおした『刑事コロンボ』の日本版『警部補古畑任三郎』など枚挙に暇がありません。

それでは「カエルの王女さま」はどうか。開始前から言われていた下馬評通り、『フラガール』をベースとした『glee』のパクリ。それも本当に酷いエピゴーネン。「歌って踊れるキャストを揃えた」と製作側が言う割には何故かアテレコの歌唱シーン。オープニングの天海祐希のダンスシーンの微妙さ。本人の問題もありそうだけれど、一番の問題は振り付けと演出。観ていて全然アガラない。演出はいつものフジテレビ演出。



「歌って踊れる人を集めたから、お芝居は、物語は二の次ね」と言わんばかりの最近の日本のドラマに良く観る、起伏を作り出すためだけに作られたコンフリクト。物語的にあまり意味の無い山場は意味が無いので、イラつくだけ。コーラスとはどんなものかと隣の市のコーラスグループの公演を見に行くシーンはその極み。何故再開間もない弱小コーラスグループの存在を隣の市のコーラスグループが把握してたのか。あんまり考えて書いてないのはもちろんこと、このシーン自体が『glee』の第一話の同様のシーンの丸パクリ。

さらに言うと、glee部のメンバーが視察した強豪校のグリー部の公演はエイミー・ワインハウスの「Rehab」のショークワイア。観るものを圧倒する素晴らしいコーラスワークと一糸乱れぬダンスが展開されるワンコーラス。劇中のglee部の面々も顧問のシュースター先生もそのパフォーマンスに圧倒されるが、同時に観ている視聴者を圧倒する。だからこそ描写に真実味が増すのに、「カエル」のそれは単なる80人のママさんコーラス。それは普通想像するママさんコーラスの域を出るものでは決して無いし、ましてやパフォーマンス全体を見せるわけでもない。正直見ていて少しもすごいとは思えないのに、劇中のコーラス部の面々は打ちのめされる。ここの乖離からして視聴者に不誠実だし説得力が無い。

唐突に加わるゲイっぽいフェミニンな少年。ファッションからも見るからに『glee』のカート。ピアノ弾きのおじさんもそのまま。練習部屋もglee部の部室そのもの。『glee』で描かれたスクールカーストの代わりに地方の底辺を描いているんだろうけれど、その描き方が中途半端でステレオタイプで全然そこを真剣に描こうとしているとは、少なくとも第一話を見た限りだと感じられなかった。またいつもの上っ面だけの感動路線を展開する気がすすけて見える気がするのは気のせいでしょうか。福原美穂を引っ張り出してきたのは面白い試みだと思うんですが、他にもミュージシャンを引っ張り出せばよかったのに。でも演出付けられないか、こんなドラマの演出家じゃ。




『glee』(NHK Eテレ)
こんな三流のバッタものを見るくらいなら本物を見たほうがよいはずです。百聞は一見にしかず。幸いEテレで4月から本家が地上波で放送開始されています。絶対こっちのほうが面白いって!吹き替え版の主要キャストに関しては若干いいたいこともあるけれど、基本的には素晴らしいと思います。とりあえず『坂道のアポロン』観ましょ。『Lupin the third 峰不二子という女』も素晴らしい。菊池成孔の音楽素晴らしい。

追記:『坂道のアポロン』の千太郎のドラムシーン!劇中の人物も視聴者も圧倒する表現をちゃんとしてる!こういうことだよ!