ふるさとへとかえるつもりがツツジの花の香りに誘われて
ずいぶんと長いあいだ寄り道をしていたらしい
天の水宮(あまのみずのみや)は遥かかなたに
こなたの川辺では蛙と河童がみどり色の喧嘩をしている
水がぴちゃんぴちゃんと飛びはねて
そこから白いコトリが飛びだして
空には虹がかかった
天では天女の演奏が
海からは人魚の歌声が
すみわたる世界にこだまする
そんな景色は砂漠のなかへと消えていき
あとには蛙だけが残った
蛙は勝ったのかそれとも負けたのか
とても悲しそうな顔をして
くらい闇夜にひとり立つ
ゲェロゲェロと鳴く声の
奥にみえるは赤い花
「黄色と青色のネクタイを用意しましょう
きっと貴方にお似合いですよ」
ツツジはしずかに、そう云った
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます