よみびとしらず。

あいどんのう。

ツツジのみる夢

2018-01-15 18:45:05 | 散文(し)
ふるさとへとかえるつもりがツツジの花の香りに誘われて
ずいぶんと長いあいだ寄り道をしていたらしい

天の水宮(あまのみずのみや)は遥かかなたに
こなたの川辺では蛙と河童がみどり色の喧嘩をしている

水がぴちゃんぴちゃんと飛びはねて
そこから白いコトリが飛びだして
空には虹がかかった
天では天女の演奏が
海からは人魚の歌声が
すみわたる世界にこだまする

そんな景色は砂漠のなかへと消えていき
あとには蛙だけが残った

蛙は勝ったのかそれとも負けたのか
とても悲しそうな顔をして
くらい闇夜にひとり立つ

ゲェロゲェロと鳴く声の
奥にみえるは赤い花

「黄色と青色のネクタイを用意しましょう
きっと貴方にお似合いですよ」

ツツジはしずかに、そう云った

最新の画像もっと見る

コメントを投稿