危局の火の粉をふり払う炎にまぎれてあなたは踊りなさい風に揺らいだその眼差しはわたしのほんとうの名前を貫いたなんの痛みもないままに傷ついてばかりのわたしからなるなんの感情も持たないことばは最(いと)も容易く退けられて今日もやぶれかぶれに太陽は昇る眩い炎は昏く微笑み無責任に告げた恐るるなかれと誰よりも臆病なあなたは健在何も無い暗闇を探し求めてひとりを愛したそれなのにこの身は太古から受け継ぐあなたの温も . . . 本文を読む
またでてきたのはほら、我が君よ歓迎のこえそこから守ってくれるよう寄り添いながら一歩離れるわたしからも少しずつみんなからもそれは大いになんにもわからずに落とされてみんなおなじだよと当たり前に笑う遠い遠い宇宙からやってきたそれすらあなたにはなんてことない日常だったその公平さに救われてわたしはきれいな川の氾濫も流されることなくその場に耐えた透明な水面はあの青い山の裾野につながる たえて遠ざかっていたあな . . . 本文を読む
それは願いとは異なるかたちなんて平和な祭典でわたしは煩い争いを厭(いと)い愛のない言葉で感情はほとばしるそれは昔からよくある話わたしやあなたや此処彼処からいつまで経っても手に入らないこの宝物を手放してわたしたちはまことの姿を見失なうあなたの愛はいつもその場所にありて透明なままその色の無い姿にわたしはひとり途方に暮れて俯いたこの青い空はただ広い空を抱きしめている . . . 本文を読む
爆発して飛び出した悲しみは海となりこの青色の透明な涙をいつか私に見せてほしい誰かの祈りは叶うこともなく夜明けに流れて昨日は朔(さく)の日いつものこの時間振り出しに戻ってまた明日折り重なりを考慮してそうはならずに混迷はつづく苛立ちや不安に影の色は染まるただ一色にはならない黒色の濃いや淡いはあなたに揺らいだ一陣の風視界は開けて雲を突き抜けて青い鳥は飛ぶ目的地も知らぬまま崩れゆく世界もままならぬおぼつか . . . 本文を読む
どこかへ深く潜りこむうちはこのうちの内面外面を巡る警備のうちに眠り沈(しず)めりその奥からは地を這うようにどこへと問う声どこからどこまでもどこかまで空の広さに怯えたわたしは井戸に飛び込み蛙(かわず)は鳴いたいつからか泣いていつまでも渇く喉の深淵はかつての海に繋がっているすべてを忘れて幸せになってそれもまた忘れて夜に酔いしれた今は昔どこにでもあるあなたはもうどこにもいないわたしを手招きその内側を見つ . . . 本文を読む
空にあいた穴の月のかたちにダイブして海に飛び込めば目の前は深淵泡(あぶく)は白色ことばを運ぶどんどん遠ざかるあの水面まではじけて割れた漣(さざなみ)はそのささやきを隠さんと揺れるいつの時までいつまでもその本質は本音を誤魔化したあなたの子守唄どうか眠れと夜の祈りは星には届かぬわたしのいろは . . . 本文を読む
いまと過去とをあったこともなかったこともこれからの話はこれまでに起こったターンテーブルなんどでもいくつものいくらでもあったいつくるときもすこやかなれとあなたは歌う壁に並べられたのは御伽噺のあなたの幸願い雨の降る明るい未来にこんにちはわたしの背後には昨日のお月様こなたはいつまでも手を振(ふ)るいいまは再びかえりこむ . . . 本文を読む
そのからに収まろうとする大きな影よそっちじゃないよこっちだよその甘言に惑えと誘う大きな影にさらわれないようさりとてその声は聞こえずにこのからにたくさんの甘い水を蓄えてとんと踏み出した先に広がるのは一寸先にある闇夜の物語なにがこのからに満たされるかを最後まで見つめた月の穴 . . . 本文を読む
夜は真っ直ぐに風呂敷を広げてその一面の暗闇色に魔が差して落ちてきたのは赤い月頬染めたあなたは俯き加減にいつまで経っても私を見ないまま私は歯軋りなんて酷いと地団駄を踏みその拍子木はあなたの元へ暗闇はそっくりひっくり返って光を浴びた泣いて凪いで夜を染め上げた私の夜は明けるなんて酷いと地団駄踏めども真昼の空に月は届かない . . . 本文を読む
百年は思いのほか短かったと云われた確かにその通りなのかもしれないと私は思ったその声の主の姿は見えずけれど確かに知った声だった懐かしいかいと尋ねればさほどでも無いと声のする吹く風は確かなることに頓着のないまま百年なんてあっという間だと云う声を運ぶ私はなんの変わり映えもなく変わり果てた街角に立つ砂は流れて水を求めた私は今もなお佇んでいる交わした約束は当たり前に忘れ去られて炎は揺らぐ日の昇る頃に私の双眸 . . . 本文を読む
いつの間にかただ真っ白くて四角い部屋のなかにいた。私はその中央に立っている。「留まりますかそれとも向かいますか」誰かに問われて私は留まると答えた。真っ白くて四角い部屋の四隅にはそれぞれ老若男女が座り込んでいる。その一角にいた男が立ち上がり「それでは私は向かいます」とその部屋を出て行った。必然的に私はその男が居た一角に座り込み、自分はいまなぜここに居るのかと自らに問うた。答えはまるで返ってこなかった . . . 本文を読む
座して待つこころざしの有りて不動の争(あらが)わぬ日差しは熱を帯びその覚悟露(あらわ)なりやがて手の添えて呼吸は静かに風を呼ぶその内側に差し込むは月明かり明暗ともに動かざることかみのまにまにならずしてあなたは呼んだわたしの名前をそうして光は輝きて待つことを望んだその日は近く遠いあなたの恋しやと . . . 本文を読む
その面(つら)目掛けて檄(げき)を飛ばした一撃は突き刺さり遠いあなたの眼差しはこの目に焼きつけて未だ果たせず悲しみをたたえて赤く染まったもう片方は非情なままのさま心を持たずして心に触れるその慟哭を知らずのたまうかこの平平たる面に乗せるは海の深さに勝る浄 . . . 本文を読む
花は燃えて砕けて流れるその色に水は染まらずにいた儚くもなきその香に焦がれ夜は夜へと落とし込む漂う気配の灯火(ともしび)揺れるは花幽霊の思い出話いくつ数えて消えましょかいつも変わらずあなたは滲(にじ)むその瞳(め)の中に咲いたとてわたしの在処をあなたは知らない記憶に餞(はなむけ)花を贈ろうそんなあなたは在りし日のままいつまでも水の色にも染まらずにいる絶えて姿は久しからずや花の色 . . . 本文を読む
水の山光をそそぎ火の山に熱はしずまり朝(あした)を迎えるあなたをたたえてわたしは飛びだした落ち着きを取り戻した太陽は分散し虹に焦がれる失敗ばかりのこの世の果てはいつも此処にばかりあり視界は歪む真っ直ぐな心は常に惑うて笑い声の絶えぬ明るい夜の闇に君は居た . . . 本文を読む