水面をみつめていたトリは逆さまの姿にとりかこまれて籠のなかのトリとなったさかみはとりみに消えた水もえさかる炎黒いたちばなのなかには燃えない鏡さかみがとりは身を無くしあの時の十字路を見失う亀の甲羅と夜の星のはざまで通過できずにこのほしにとどまる見つけてほしいどうかあなたに、見つかりますように . . . 本文を読む
むこうの小山のふもとまで、かめに競争しようともちかけられたうさぎはそれにのった。途中で何だか眠たくなったうさぎは、一眠りすることにした。起きたらかめとの競争のことなどすっかり忘れていた。そらでまんまるく光る月を仰ぐと「そろそろかえるか」とつぶやき、そらの月までジャンプした。本来は月であるうさぎは、自分のかわりに空に居座る月を足蹴にして口悪くこう言った。「おい、月はこのおれだ。お前は一体なんなんだ」 . . . 本文を読む
お月様でできた舟に乗り旅にでたぼくは黄色い砂でできた山を渡り青くひかる海を越えた舟でいることに飽きたお月様はそらにかえると言ってきたそうはさせないとぼくは言ったならばお前が月になれとお月様はむりやり、ぼくをまるめてそらにはなったぼくはそらに光る月になったぼくをまるめたお月様はそれを満足げに眺めるとうさぎになって、ぴょんぴょんどこかへ跳んでいった本当にほしいものを探すため旅にでることにしたぼくだけど . . . 本文を読む
水がほしいとぼくは言ったぼくが本当にほしいものは水ではないけれどぼくが本当にほしいものは手にはいらないものだからぼくのほしいものは水だといったそうしたらお月様がぼくに水をくれたそらにうかぶお月様をその水にうかべてぼくはお月様の舟でぼくの本当にほしいものを探しにいくことにしたそらで笑っていたお月様はいまぼくのしたでしかめ面をしているそんなお月様の舟で、ぼくは旅にでる . . . 本文を読む
みどりの子たちに誘われて、迷いの森につきました幾重にもつづいた十字路、そこに幸いはありました混迷の先にあったのは空のあおさを大地に反転したあたたかき透明な水だったいくつもの時が流れていきました孤独に生きたあなたと取り囲まれていたわたしの間には、いつまでも深い暗闇がありました苦しみを越えてあなたがかけた橋を渡りわたしは豊饒の森を抜けこれからはともに虹のふもとを目指しましょう重なりあったその色は淀みに . . . 本文を読む
にぎにぎしくも 和を尊びしかし輪をなすことはついに果たせず憎しみにも似た悲しみを抱え続けて 幾年月かさらさら流れる水のうえ淀みつづけた砂のしたにがにがしくも 舌の上ざらざらこぼれる 沙(さ)の涙 . . . 本文を読む
あなとなるまる、ならないまる正解するまる、しないまる目の前にあるくろいまるあなとなるとは かぎらないその先にあるしろいまるあなでなしとは かぎらないしろまる、くろまる、あなまるとあなならざるまる、ただのまる . . . 本文を読む
会いに行ったよ会いにきたよほとばしる川の音にさそわれて三つにわかれたあの道は本当はまんなかだったけど私は左へと行ってしまったそれでも道はまっすぐにまちがえてなお近づいてくらやみの向こうのすぐそばに ぽつんとあなたは立っていたごうごうと猛るキカイ音青龍の怒りがあなたに牙をむこうとも常寂のなかにいるあなたはひとり ただ変わらずに美しいざあざあとおちる雨足は悲しみに気枯れた想いに寄り添い共に流れて川へと . . . 本文を読む
卯の刻前 水がばちばち したたりおちて窓のそとでは はちにさされた はとがなく酒のサカキに とりかこまれてうたいは 祝いのさかずきをサカサ十字の交点で太陽と月は互いを見つめる、うたげまえ . . . 本文を読む
おり重なってもひとつにはなれないしがらみのなかで、わたしとともに生きると誓ったあなたはもう開くことはない瞳でわたしを見つめた口を閉ざしたわたしの声はあなたに寄り添いいつまでもやさしい子守唄を奏でよういつかあなたの瞳が開くまでひとつにはなれない悲しみのなかでひとつにはなれない理(ことわり)に触れわたしとあなたはともに笑ったその歓びのなかでわたしとあなたは再会を誓う言葉を失ったわたしの口が、いつかまた . . . 本文を読む
ケンからソンへ白光はおち、世界はしろとくろにわれたうえにしろ、したにくろなんぼくをはしる光はメビウスの輪をえがくくらやみにうかぶ光のたまは悲しみの涙をながさないゴンからコンをみつめるしろとくろのからすはおりかさなり、かなんで門番をしている . . . 本文を読む
あなたの抱いた恨みつらみは今もあなたの側にあり光の届かぬ果てにある暗闇に続く口吸いは全てをなぶりあなたの涙は途方にくれる流した涙の絶望は一筋のシルベとなりあなたをソコまで連れてゆく鏡でフタされた静かな湖畔に一匹のヒツジは迷いこみ透明な交わいを重ね姿を消した全てを照らさんと欲する鏡のフタはあなたの到来を待っている迷子の涙のもどる場所全てを越えてココで待つ . . . 本文を読む
お天道さまへと続く道をただひとりまっすぐ走っていただれもいないと思っていたこの道をふと振り返ってみてみるとボクの後ろにはキミがいた「目的地は一緒かい?」行き先がどこかは分からない。この道でいいのかも分からない。何を目指していたのか分からない。ぐるぐるしていて答えがでないもう、生きていていいのかも分からない。そんな顔をしているねだったらボクもおなじだよ奇遇だね「良かったらご一緒いたしましょう」疲れた . . . 本文を読む