よみびとしらず。

あいどんのう。

旅人の詩〜7月26日

2017-07-29 13:25:22 | 散文(し)
何のあてもなくここへきたこの地に目的はなにもないなにもないわけがないまま 時が過ぎればまた流れる見つめても気付かないふりをしているあなた私の視線の背後をとって見つめた先にあなたはいないこんなにもあなたの気配は満ちているのに私の前にあなたはいない冬にかわした約束は夏になっても保たれたままであなたはあなたの居場所を守るたとえ夜空に大輪の花火があがろうともあなたは私の前には現れないお互いの目的を果たすた . . . 本文を読む

恋心

2017-07-27 11:29:42 | 散文(ぶん)
あなたに会いたい思いの丈はいつしか天まで届いてしまい、その丈に欠けた月が引っかかった。「おおい、交通のじゃまだよ。その思いはどこかに追いやってくれ」月は空から叫んだものの、答えはない。仕方なく月は、その丈をつたって地上へと降りてきた。降りたとたんに、月はびりびりと体が痺れるような感覚におちいった。いま自分の目の前にいる、天までまっすぐとのびる思いの丈を募らせている女性から目が話せなくなった。月は女 . . . 本文を読む

【通り雨】

2017-07-25 13:00:08 | 
音の聞こえない四角い箱からみる景色 泣き女に似た 濡れる窓 雨霧に包まれ 景色は消ゆる 灰色の雲と白いもやにかこまれた平たい大地に 山々は半円を描いて 誰かを隠す 泣き女が泣き止んだあとの窓からは すみわたる景色 隠すものなど何も無いとでもいうような ありきたりな風景を 夢まぼろしのような 通り雨 . . . 本文を読む

2017-07-23 15:43:05 | 散文(し)
魚の心になってみたらいつのまにか 眠るのも忘れてどこまでも海を泳いでいた本当は 眠るのがこわいからつかれも不安も恐怖も全てを引き連れてぼくは今日も 大海を泳ぐ . . . 本文を読む

でもないわたし〜7月17日

2017-07-18 10:10:14 | 散文(し)
絵描きでもないのに絵を描く作家でもないのに文字を綴る魚でもないのに海を泳ぎ鳥でもないのに空を飛びチーターでもないのに時速100キロメートルで地を駆けるライオンでもないのに肉を食み牛でもないのに草を食み赤ん坊でもないのに乳を食む何者でもないわたしは何者でもあるわたしのかけらわたしでもないのにわたしを生きるそんなわたしと共に在る . . . 本文を読む

線香

2017-07-17 18:39:35 | 散文(し)
その香のなかに 姿をとどめるありし日の君へ君の姿は空気にとけこみ深呼吸とともにゆっくりとぼくのからだのなかを巡るいつも変わらぬ君はいつも変わりゆくぼくとともにいつまでもこの世界をどこまでも一緒に駆けようとぼくは今日もカーテンを開いて暗闇と木漏れ日のはざまひとり静かに線香に火をともす . . . 本文を読む

蜘蛛と蝶々

2017-07-16 11:59:42 | 散文(し)
蜘蛛の巣にひっかかった蝶々はその蜘蛛の巣を焼きはらう自らの思いではないにせよ力を行使した蝶々は罪の意識に泣き暮らすその力のありどころは本来の彼女の姿なれども蝶々はそれを罪と思う巣を焼きはらわれた蜘蛛の心は「決してとらえたかったわけではない」「ただ、一緒に居たかった」思いは蝶々に届くことなく太さ5マイクロメートルの蜘蛛の糸となり、空をさまよう罪と罰 . . . 本文を読む

15分間

2017-07-15 14:14:19 | 散文(し)
夢から醒めた魔物のありかはどこにある?暗闇の寝床か 真昼のまぶたの裏側か夢の中で勇ましく戦った魔物の瞳は現実の空のもと にごった瞳で電車に揺るぐ醜かった魔物はそれなりの人間に気高き魔物の精神は ことなかれ主義なヒトの心に夢の中の魔物、現実の人間15分だけ 時が重なるその時あなたは、何を思う? . . . 本文を読む

【三つ蜂】

2017-07-07 15:21:41 | 
ハチが一匹、案内したらたどり着いたその先の場所で 十字架は土色の氷柱となり地上におちた その帰り道、二匹のハチが互いのお尻をぴったりあわせて八の字に飛ぶ ぶんぶん、ぶんぶん 愛を奏でる . . . 本文を読む

キオク

2017-07-05 22:51:38 | 
愛しているとささやいたかつての私ただ風に揺られ何も語らなかったかつての私とても薄汚い言葉で相手を罵ったかつての私水のなかをどこまでも泳いだかつての私愛しているとささやかれたかつての私いまはもう全てを忘れてただ、いまを生きている「ただいま」「おかえりなさい」「またきたよ」「またきたね」『ありがとう』 . . . 本文を読む

7月3日〜16年8月5日夢からの引用

2017-07-03 08:05:41 | 夢日記
11階だての白い灯台に、わたしははいった。 白い灯台のなかにはいると、そこにはやさしい笑顔のおじいちゃんがいた。上へとつづく螺旋上の階段がさまざまなところにある。いろんなたくさんのひと(それは主に女性)がその階段をのぼっていくけど、わたしは誰かがのぼっている階段にはのぼる気にならず、それらは避けてべつの階段を探していた。階段のある部屋はどこも明るく、蝋燭の炎がゆらゆらと赤く揺れていた。しだいに . . . 本文を読む