よみびとしらず。

あいどんのう。

岩清水

2021-11-30 11:32:03 | 散文
ふたりで出会ったお月様のある最後の一日にて思うもうここにはずっといないあなたのことをあるものとして振る舞ってきたそんな偽りをさらに裏返してもう鏡のなかには戻れずにこよみに合わせてこよりを結んだかみよりに縁も酣(たけなわ)のあなたを隠したゆうべは明けて私のうたた寝は夜を迎えにやって来るお隣さんから音の鳴る夜からまた会う日のある真昼の空まで音のない日常に止まぬ音楽はどうか生き長らえてと息を吐く寿命を与 . . . 本文を読む

プリクエル

2021-11-29 13:26:48 | 散文
月の明かりに変化した狼に化けた羊が歌う子守唄月の明かりに変化してわたしにはないものをどうしても希(こいねが)う太陽は北に光る星に焦がれてた風に吹かれて長らえてそれはもう水を飲むこともないわたしのなかに棲んでいる「このコートの内側をどうか見たいか?」顔を隠したままの老人は静かに言問(ことと)いわたしはあらがうことも知らぬまま煌々と照らすみなもとは本当はただ水が欲しかった . . . 本文を読む

夢の花

2021-11-28 19:07:45 | 散文
直ることを忘れて夢に入り その後先に奪われたわたしの素直な在り方を奪って逃げたわたし自身は追いかける恐怖に見舞われてその正面のどちらかをどちらも正しいその現実をメビウスの輪からは逃げ出せず抱え込んだところで直らずにただ一歩進んで時間は千切れた先ほどまでに返り咲いたのはなおりかたも知らないわたしから目が醒めた朝にはなにも残らない花の匂いも千切れた時間のかけらの糸も優しいあなたの口づけも其処で裏返って . . . 本文を読む

NAO

2021-11-27 13:27:31 | 散文
なおさずにいたずっとなおいままだったからだからなおらないその矛盾をたずさえて月の廻りは一杯の水から泳ぎ方を忘れたわたしはずっとあなたに溺れている言葉の泡沫は空に溶け込む真っ直ぐなわたしはただそれを享受して息をつないだ息継ぎも忘れて焦がれてしまうには未だ遠くなおさずになおる手段を求めてはアオイ鳥の行方に風は吹く . . . 本文を読む

Luna

2021-11-26 01:24:10 | 散文
余裕をもたせた今日のことお日様の香りは8月のままで冷たい風は2月が好きだと思いを告げた草木は桃や紅色に染まり恋をして私の居る場所は四角く真っさらな白色の空間であったところに思いきり墨をぶちまけてようやく夜は訪れた目に沁みる白色は黒になりかわりこの瞳の奥に同化したはれて目を閉じた夜はぎこちなくわたしは無意識のうちに手を差し伸べる光の在処のあなたまで暗闇は怖いとあなたは言ったわたしの掌は振り払われて夜 . . . 本文を読む

2021-11-25 12:38:14 | 散文
そんなところから始まった綺麗や素直な言葉や思いのてんやわんやがあいまってどろりと垂れては夜の色全てを隠そうとしてくれていたひとりでぜんぶを飲み干した静けさを求めたわたしは何処へ行こうか山の向こうや海の奥からこっちへおいでと呼ぶ声に目隠しをしたままわたしは立ち尽くすその場所に朝はやって来たひとりまたひとりと眠りに落ちていくこの街でわたしの目は冴えわたり今日もひとりきり静けさに包まれた身体に心臓の音は . . . 本文を読む

追いかけっこ

2021-11-24 10:27:32 | 散文
後ろから伸びた手のひらに掴まれたはずのわたしはあなたを追いかけている首根っこは常に縛られてわたしは手を伸ばす思いは裏腹捕まえたくない捕まりたくない者同士の鬼ごっこは続く討伐するための刃を研いだならどうかこの手首を切り落としてと鬼の子の涙はわたしの頬をつたう涙の出処はわたしの背後から捕まるわけにはいかないとわたしは振り返りわたしに伸ばされた掌に手を伸ばす途端に怯えた掌は踵を返して時は遡(さかのぼ)り . . . 本文を読む

Flower

2021-11-23 16:19:52 | 散文
花の香りが嫌いなあなたに花束を贈ってわたしは感情のほつろをあなたに求めたあなたは花のような微笑みでわたしも花のように微笑んだ握りつぶすことなど造作ない花束に息を吐き出せば青色に輝くわたしの瞳はなにもうつさずにあなたの内側はわたしの願いで沁(し)み渡るそう思って手を広げた空の彼方は届くはずもないこの花束に感情をおくるいつの間にか消え失せた憤りに涙をこぼしたわたしは花のようには笑えずに . . . 本文を読む

羽衣

2021-11-22 18:06:07 | 散文
言葉に染まった水の色炎に包まれたあなたの明かり私は産まれてこなければ良かったのかとはじめから間違えていた思いの便りを大空はいつまでも手放すことのない風に舞う虹の橋かかった空の切れ端を得たわたしたちは歌うあなたの思いのなにもかもを受け入れてそうしてわたしは泳ぎ方を忘れた空の色には辿り着けずに目が醒めたわたしはコップ一杯の水を飲む透明な言葉を飲み干したわたしは魚空を飛ぶことに憧れている . . . 本文を読む

ホームワーク

2021-11-21 10:31:43 | 散文
割りきれないのに 足りなくもないしあまってもいないこの頭のなかにあるイコールとノットがともに正しくもあるうちは(不)正解もなしゴールもないまま四方八方に道しるべは在り「此の道は行き止まりですまたのお越しを」そんな壁をぶん殴った先は何処までも続いて東奔西走いつからか右往左往してまた立ち往生し思わず吐き出したわたしの言葉から元(はじ)めから用意されている答えは始まった . . . 本文を読む

BELIEVE

2021-11-20 11:11:02 | 散文
この俺ならば空気の汚れた場所でも生きていけるこの俺ならば残飯を漁ってでも生き延びてやる俺ならば俺ならば俺ならばそう疑わずに進んだ道の穢らわしさに誰もが目をそらす楽しそうに手を叩きながら美しい花の香りに顔はほころびるそれぞれが素晴らしい世界を謳歌しているわたしは愛おしいあなたの幸せを希(こいねが)う頭にわいた蟲は飛び回りその羽はブンブンと耳障りな音を鳴らした世界を憎めと誰が言ったかこの不必要な存在を . . . 本文を読む

変化

2021-11-18 12:52:28 | 散文
変わりたくないよという声に変わらねばならぬという声と現実は変化を求めた変わるはずがないものを変わりゆくべきと変換されて歪んだ景色にわたしは受け入れられて拒まれた変様は断絶されてみる影も無く内側に押し留めることで生き長らえたそれすらも吐き出せと変化は求められ歯を食いしばり耐えてきたわたしの深いため息は海へと沈む変わらねばならぬものは変わってしまってはならぬもの矛盾を抱えて月日は巡るそのひとかかえのど . . . 本文を読む

HERO

2021-11-17 13:10:57 | 散文
いつからかヒーローに憧れて本当はそんなものにはなりたくなんかない臆病な私が携えるこの正義感もどきの正体はただ傲慢で強欲な生きていく姿そのものだったこんなままではいたくはないとそんな場所から抜け出したくてもがいた悪あがきのうえに正義感は掲げられて大義名分わたしの殻はなんて堂々巡りなこの檻のなかで着実に澱は溜まりゆく誰か助けての一声にわたしの姿は正義感ではありえない部分が呼応した . . . 本文を読む

天使と悪魔

2021-11-16 12:19:07 | 散文
この肚のうちにある醜さも泥濘もあなたはかっさらい嬉しそうに微笑んだこれでまだまだ遊べるとそんなあなたが天使になる方法を模索したわたしはあなた以上の悪魔であると距離をとろうとしたあなたをわたしの泥濘は捕らえて離さずわたしは天使の微笑みであなたに愛していますとささやいた . . . 本文を読む

リュウ

2021-11-15 15:04:38 | 散文
風は流れるか流されているのか何者かゆえに源は虹の根元に吹く対流の息吹は吐かれて私は産まれたたったひとりきりの在処から悲しいと思う感情もなく世の中は歓びに満ちていたそんな疑う余地も無いことを疑う私にまた風は吹いて龍は鳴く . . . 本文を読む