よみびとしらず。

あいどんのう。

せいたん

2022-12-15 18:35:14 | 散文
青色の光を見つけたくてただわたしは産まれた欲しいものは得られないまま絶えずこの内側に宿るもの水を求めて渇きを覚えどちらから始まる物語かを取り決めたのは誰の心かわたしのなかにあるというわたしをゆるしたわたしの在処 . . . 本文を読む

私に似たひと

2022-12-14 18:33:59 | 散文
果たせなかった約束を果たすひとあの日勇気が出なかったひと声を臆して飲み込んだ言葉を放つひと閉ざした瞳を開くひと塞いだ耳を開けるひと溢れる涙をぬぐうひと冷えた身体を抱くひとひとに優しく能うひと光のなかを歩くひとわたしではない、わたしに似たひと . . . 本文を読む

2022-12-12 12:18:41 | 散文
泥濘の淵に立ち美しい世界を誰よりも望むわたしには縁のないものと手を伸ばしそれが手に入らないからと拒絶したこの穴だらけの感情を黒く塗りつぶせばわたしは癒されるなんて遠くかけ離れた水の底すべてを閉ざせば彼方は間際さわさわと触れる温もりも冷たさも同化した風のなか耳をすませばわたしの瀬戸際ぽんと花ひらく音がした . . . 本文を読む

2022-12-11 12:12:28 | 散文
嵐のなかを誰の目にも触れられずただわたしはとんだ羽の無い身体でその顔は滂沱(ぼうだ)に濡れている雨か涙かどちらもおなじと大きく息を吐き冷たい身体に心を燃やした誰が認めるでもなくただひとつわたしは青色の見えない空を飛ぶ知らない声に名前をつけてこの目はずっと先にいるあなたまで知っている世界を見つめてた . . . 本文を読む

黄昏時

2022-12-10 12:11:02 | 散文
たそがれ時に姿を変えてそれが本当であるようにわたしのうつした姿かたちはひとを騙して日の入りを待つそれが本当であるかのようにわたしはうつしたあなたとわたしをその指先に触れた温もりの正体はなんと云う誰そ彼暗闇をうつして影は伸びていく夜まで届けと小さな月はつぶやいた . . . 本文を読む

BLUE

2022-12-09 12:09:40 | 散文
きりこまれたのは空の青色灯りの列に心は揺られ規則正しくあるように乱れたすがたであなたは希うそれは願いとは違うものその熱は喉元まで赤く燃やして言葉ではないもので息は詰まった何か吐き出したくて何も産まれずわたしからあるようなこの苦しみを共にするこの炎に一陣の空の青さは目に焼きついた最初から焦がれてわたしは産まれたこの内側に猛る思いに名前も知らずにとらわれた . . . 本文を読む

いのり

2022-12-08 12:07:02 | 散文
言葉ではないから態度であらわした流れ星のあるようにわたしとあなたは違うものとははじめに産まれた約束事のとりなしもなくまるめこまれて星は生まれた混沌として秩序を乞うわたしの失うものとは裏腹に物音もたてずに静かな祈りよその場所に水はさしこめる . . . 本文を読む

夜に寝る

2022-12-06 12:03:53 | 散文
ゆだねるように眠りについた儚い眠りに光さしこむ目が覚めるまでの御伽噺に耳を傾けては月昇るあなたの香りに誘(いざな)われてはわたしは明るい夢に落ち暗闇はこの目の奥まで飲み干した引き戻されて放たれてわたしはわたしあなたとは出会うことのない場所に居る . . . 本文を読む

SEVEN

2022-12-05 12:02:41 | 散文
虹の名を言わぬ者に与えた合言葉天国よりも遠い楽園までの道七つあるとは誰にも言わぬ口はふさいで全てを飲み干し鯨の光彩は乱れて夜に落ち着く明るさを携えたままの身は歯がゆくも私は私の知らない私を愛撫して流れる水の音は止まるこの身はどこまでもとこしなえ下へ落ちていき落ちていきこの目は七色の光を焼きつけた . . . 本文を読む

グール

2022-12-04 12:01:42 | 散文
ぐるぐると甘えてわたしから離れられないように何度だって構わないからと微笑んだいつもの過ちを笑って耐えてあなたはそんなにも柔らかな眼差しでなんて可哀想にと憐れみながらいつもわたしに触れていた . . . 本文を読む