太陽から逃げだした欠片が
穴があったらはいりたいと
見つけた穴にはまったら
それがそのまま月となった
月となった逃げだした太陽は
ときおりそうっと顔をだし
そとの様子をながめている
気が大きくなった気分の時には
まるまると顔をのぞかせて
気が小さくなった気分の時には
よばれたってちっともでてこない
太陽から逃げだす欠片は後をたたず
みな、まずはと月のもとへ
月ほど上手に穴を見つけた欠片はいなかった
天の穴はすぐに満たされ、満天の星に
いくアテのない欠片に、月はこう助言した
「もういっそ、地上へおりてみてはどうだろうか。
ここから眺めてみてみるに、地上の人間という生き物は、わりあいに皆、穴があいているぞ」
こうして太陽から逃げだした欠片は
人間を栖(すみか)とすることにした
だからわたしたち人間のすきまには
太陽の欠片がはまっている
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