よみびとしらず。

あいどんのう。

命の坂道

2018-01-16 13:35:16 | 散文(し)
ふるえてのぼった登り坂
傾斜はどんどんきつくなり
さいごは逆さまになっていた

お天道様が真下にあって
湿った大地が上にある
逆さまで頭に血がのぼり
そこから坂道がまた始まった

どんどんのぼる どんどんと
ただひたすらに この道を

血でできた赤い登り坂
ぼくの空には水の坂
赤い登り坂と水の坂は
くるくると二重螺旋を描きながら
ぼくを遠い場所まで運んでいく

本当は行きたくなかったけれど
本当に本当のことなんて
このぼくにだって分からない

ただの一度も
後ろを振り返ったりはしなかった

ふるさとからはほど遠い
はるかかなたの始まりの場所まで
ぼくはこの坂道をどんどんのぼる

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