よみびとしらず。

あいどんのう。

蛙石

2018-01-20 10:55:36 | 散文(し)
蛙はフタを監視する
水のしずけさを磐(いわお)にしるして
堅いフタ
蛙の眼(まなこ)は
フタの先にある海をみる

稀に絡みくる白蛇は
いつも憐れに自分を語る

気のない蛙に苛立つ蛇は
蛙をそのまま呑み込んだ
時は経ち
白蛇の身体はさらさらと風化し
あとには石となった蛙だけが残った

蛙石(かわずいし)
耳に聴こゆる引き潮の
懐かしき調べぞ
今は昔

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