軟弱な精神は軟弱なまま闘争心は消え失せたなんて平和なはずなのに痛みや怒りはご承知の通り爪も牙も失い乾いた笑いで消え失せたはずの世界を見るここにあるのはどちらの私か世界平和に愛の手をそんな合いの手を入れてやり過ごせト軟弱なわたしはささやいているどうか明るい未来に微笑みを葦(よし)と葦(あし)とは同じものあなたはわたしよへらへら笑って受け流せ . . . 本文を読む
わたしがそうさせないという強い視線に射抜かれて私は立ち止まる呼吸さえも忘れて執着は居場所を見失なう感情も欲望も置き去りにされたままただその瞳だけが此処に残されたそれこそが私の唯一の光漣(さざなみ)にこの身は揺れながら私は目を瞑り夜を追いかけるどこまでも止むことのない喉の渇きにあなたは幽(かそけ)し水が欲しいとささやいた . . . 本文を読む
ずれていたのかずらされていたのかどちらにもとれてとられて記憶は曖昧都合の良いほうへと塗り替えられている太陽は都合の良いほうへは沈まずに鬼さんこちらと鬼の本音は果たしてどちらであったのか不正は不正解の末不成立となりそれでもなおここにたたずむ鬼さんどちら歪んだままでいたかった真っ直ぐな心は五十歩百歩痛みを携えることにはお変わりなく腹の中で膿んだ感情は産み落とされることなく腹はふくれていく空腹なままいつ . . . 本文を読む
少ない言葉で伝えられるはずの思いはたくさんの言葉で未だ未だ至らず数の暴力は少しでもあなたに近づきたくて言葉は刃それに触れてようやくこぼれた涙からまだまだ足りない多すぎる言葉たちは疲弊を隠してただわたしたちに寄り添う誤魔化してばかりの愚か者たちそれはわたしのほうが先であったか目の前にあるあなたを素通りしてまた今日も誰もが誰かしら単に少ない言葉を探している . . . 本文を読む
いま誰の靴のなかに小石が入ってんのかってそんなことすら分からない世界で誰にぶつけていいはずもない言葉をにぎりしめているつぶさに怯えて恐がりなそんなものは認めたくない僕は震えて震えたままの声で音にもならずにぱちんと消えた消えたままってことにしといて僕たちは無邪気な自分を演じてる . . . 本文を読む
希望なんてないで泣いてないで凪いだこんな空の青さにも負けることなんてない青さで海なんかないって叫んだただ苦いだけの春を噛み締めて持て余してばかりの身体を丸める殻に篭った未だ飛び始める前のわたしたち . . . 本文を読む
言葉が多くて困るわたしにまだ足りないとあなたは泣いた伝えたいことが多いかわりにほんとうの気持ちは蚊帳の外ゆっくりと流れてそれを否定されていつしかみんな同じ流れに乗り込むそれは違うと否定してくるくると廻り辿り着きたい場所はいつかの音楽泣きたい理由は封じられたままたくさん泣いてわたしは少しずつ欠けていくどこまでも追いかけられる良い子は夢の中たえずあなたの居る場所を探している . . . 本文を読む
眼鏡を落とした白昼夢からあなたはわたしをぬいぐるみ代わりにしてその優しいぬくもりにどうか意味を持たせないでとわたしはささやいた壊れたおもちゃに蓋をする壊された蓋を閉じず落としてこの暗闇にあなたは賑わうそれはなんて清らかな夜にきらきらと輝く微笑みでこなたの淡い口付けは目が醒めるまでの約束でした . . . 本文を読む
同じ脈を打つわたしとそれ以外のわたしからひとつの身体でふたつ以上を重ね合わせた背中合わせの息苦しさにひとつ息を吐き深く吐く心模様は忙(せわ)しくも心を忘れてどうにか叶えとただの祈りからそれは空に瞬く星と同じくもうここにはないあなたはわたしを明日の夜空に置いてきたあんな彼方も無心に届くあなたはたえなる泡沫でした . . . 本文を読む
生きていてごめんなさいと、何度だって繰り返すそれは一体誰のための言葉なのかと誰もが疑問に思い絶えることはないそれは誰かにとっての祈りだった産まれてきてくれて産んでくれてありがとうと、嘘を吐く嘘を吐く吐いて吐いて吐き出されたものは自分が嫌いになったこと嫌いにはなりきれずに嫌になったもの愛して愛されて苦しくなってうつむいた自分がなにを望んでいたのかそれは宇宙の彼方まで飛んでった探して見つかりたくて迷子 . . . 本文を読む
かみむすびかたはこるかみくくりそのしまりかたからおしまいまではうみつはぐくみくれなずむそのでいねいのあたたかさをばこのみにくるんだにわかあめあもわがままないたみからほねみにしみてゆれるくろかみいくえにもゆくえもしれぬあまのくもいとそれをたばねてよはくくる . . . 本文を読む
森は消え生まれ変わりはこの掌のうえすぐに流れて袂(たもと)を分かつ別れた末に待つ君は夜にかかる月を見て泣いていた雨の音は静かに時を打つわたしはお前そう微笑んでいた白色の影はいまもあの森に棲みついている . . . 本文を読む