よみびとしらず。

あいどんのう。

夜のコエ

2021-04-30 12:41:27 | 散文
喉の痛みに夜は言葉を失って朝日のなかにわたしを拾われた音の鳴らない内側はひっくり返って元いた場所へため息を肚の内側にためこめば行方も知れぬ行き先を告げぬ鳥の影眠れないのだと嘆いては眠らなくていい理由を探してる夜を渡る鳥の群れ折り鶴は祈りを燃やして星を得た燃え盛るうちにある水の在処に掌は添えられてあなたを知ったわたしに触れた夜のとばり、の 全てを忘れた昼下がりにわたしの声は鳴り響きあなたは眠らないま . . . 本文を読む

空まわリ

2021-04-29 08:55:44 | 散文
ぱちんと弾けて太陽は顔を出した水面に輝くには遅すぎてわたしの身体はふるふる震えていたそれをみて根性がないとあなたは言ったわたしは根を張らぬ身体で飛び降りるありったけの言葉で抱きしめた声を張るあなたとは裏腹にわたしの思いは露頭に迷う有耶無耶は雲散霧消して明確な視界だけがその時開けた太陽は世界を照らして緑の映える儚くも輝く水面から誰もがここは美しい場所だと見誤る誰よりも輝いてみえたあなたの影に付き従っ . . . 本文を読む

さかな

2021-04-28 11:15:52 | 散文
陸にいて溺れたさかなは海が恋しくて声も出せずにぱくぱくと呼吸をすればなおくらくらと自分に足りないものは何であるかを把握できないまま視界は歪むこの身体は海を求めて細かく震えた海のない場所に漣(さざなみ)揺れてわたしは水を求めて深く息を吐く藁を掴めばさらに溺れた風はさやさやと枯草に添いわたしは此処から彼処へとなおもあなたにはたどり着けずにこの場所に鳴り響くのは海の唄中途半端になれ果てた泳ぎ方も忘れた人 . . . 本文を読む

I wish I were A bird

2021-04-27 08:54:15 | 散文
鳥となることを望まないまま鳥となったひとがいた翼を持つことを良しとせず地に足をつけて歩きたいと願いながらもそれを望む者は誰ひとりなく人々は空を飛ぶ姿を求め喝采したやがて空は灰色の雲におおわれて鳥となったひとは人身御供に捧げらるこれでようやく自由になると翼を持つひとは微笑んだ誰ひとり罪もなく罰もないままそれが正常だと誰が誤解した空を飛ぶ鳥はあれども飛ぶひとの姿はなしそれが最後の望みであったと知るひと . . . 本文を読む

◯と△

2021-04-26 09:19:51 | 散文
丸と三角はつむぎあいさまざまなイロを織りなしたやがて三角はしくしく泣いて丸はその涙を飲みほせば丸は青色の星となり満たされてたったひとりぼっちの悲しさに青色の丸はぽたぽたとその水をしたたったかわいた丸は月となり水のしたたりに三角はうかぶなべてぷかぷか三角は遠くかけ離れた丸い月を仰ぐヨットの帆先には一番星のふたりをたたえた夜の空全てをみずにいとなむからっぽの空はにたりと嗤った三角に与えた始まりの水は大 . . . 本文を読む

ア ワード

2021-04-25 12:03:37 | 散文
少しずつ言葉をはぎとってそれでもどうにかして触れたいあなたの涙は燃えさかる炎に守られている手を伸ばしたら全ては灰となりyesとしか答えられないまやかしの言葉は少しずつ正解からは距離をおいた与(くみ)された思いは有耶無耶にどうかそのままでいてほしいという願いから明確な眼差しであなたを見つめた募る思いの全てを忘れてただもどかしさだけが手元に残った息を吐けば視界は雲の色に染まる透明な身体は空にうかんでど . . . 本文を読む

FIRE

2021-04-24 12:31:17 | 散文
目の痛むまで太陽は全てを明るく照らす赫灼(かくしゃく)として何も赦さずに怒りを孕んでわたしは燃やす焼べる角材には事欠かぬ毎日を笑いながら過ごして太陽は燃えるそれはまるで太陽のようなひとだとあなたは言ったわたしは笑ってわたしを燃やす水は不要だと誰かが言ったそれはその通りだとわたしは頷きいつしか涙も枯渇した渇いた喉元をさする手のひらはあまりに冷たく透き通るようなわたしの声は発せられることもなくどくどく . . . 本文を読む

2021-04-23 09:17:47 | 散文
なくなって現れたのはおなじかたちのけれど別の場所に現れたためにそれは同様とは見做されずあなたは戸惑い動揺はさらに加速するそんななか鳴り響くのは懐かしき童謡(わらべうた)幼な子のうた声ははるか遠くの彼方からなにも覚えていない明日に向かい駆けていくほんとうに行きたい場所からはどんどん離れて切なくてお月様だけは東へ西へ道なりに続いた夜は開けてわたしの真正面から朝日は昇るそれを見たわたしの口から飛び出した . . . 本文を読む

スリープ

2021-04-22 10:48:57 | 散文
眠れや眠れ身体に熱の戻るまであなたのうちにあるその熱量を求めてさまよった顔のないひと眠れや眠れどうかわたしに会いに来ておくれと子守唄のかそけく鳴り響く不眠だらけのひとの町眠れない夜を引き連れて明るく澄んだ真昼の空に夜の恐怖を敷き詰めた天日干しされた恐怖はさらさらと乾いてそんなことはまるで存じ上げずに大変申し訳ございませんでした頭を下げた頭のなかから何事もなかったふりをしたどうかお休みなさいませ全て . . . 本文を読む

ゴースト

2021-04-21 11:34:04 | 散文
 ゴ    トどさっと背後で音がした振り返ることはしないままなんにも見えない身体はいつもおおいかぶさり大切なあなたを守ってた 見なくていいものを見ないようにそれでもあなたはなんだって見るから聞かなくていいものを聞かせぬようにそれでもあなたはいつだってなんでも耳にするなんの役にも立たないことなどとうの昔から変わらずに誰もが知っていたそれでも変わらずみんな守りたいものを守ってる臆病に震えるあなたといつ . . . 本文を読む

×××

2021-04-20 09:34:53 | 散文
あくまかあなたかわたしかどなたか明らかな自分の正体も薄明にまぎれてその姿を見失う現実は目覚めて息を飲みこんださめやらぬまま遠ざけられてここにいるのにいないとされた不器用なわたしのこの在処から誰彼となくもてはやされて未明の空の色さえ分からないままどなたかのかたちに凝り固まって朝は来る姿かたちのない面影を夢に置き去りにしたのはあなたの為よと柔らかな口づけで目が醒めたのは告げ口をふさいで身を守る口実とど . . . 本文を読む

さめやらず

2021-04-19 11:02:14 | 散文
さめやらずあなたへの熱は際限もなく冷めやらずわたしの毎日は緩んだ笑顔で出来ているさめやらずわたしの眠気は醒めやらずどちらが現か幻か目の前の蛇に語りかけるも返答はなく蛇はしゅるると舌を出すさめやらずお前に一体何が守れるのかと鮫の親父は娘の結婚に激怒したそれでも嫁ぐと娘の意思のかたい様をば嘆いて空を仰ぐ鮫の親父殿さめやらず目を醒ましたら全てが終わるとさめやらずあなたへの思いの何もかもをがさめやらずわた . . . 本文を読む

青い家

2021-04-18 11:14:46 | 散文
家の中にいれば安心と外したマスクからは甘いチョコの匂いがしたついたひと息は姿を隠しわたしは窓を開けて風にさらわれた青い家の中にいれば安心となんの対策もなく窓は開かれて奪われたのはわたしの記憶忘れたことさえ気づかないまま青い家は安全を確保する . . . 本文を読む

オリガミ

2021-04-17 13:10:55 | 散文
折り重なって羽ばたいた折り紙でできた鶴の行方を昨日と今日と本日と明日は追いかけた行き先は四つに分かれて元の場所にはあらず頑なな意思で紡がれてきたのはしわくちゃになった折り紙の不器用な心根に折りたたむ掌は重なった二人からなる四季のいろどりに鶴は戯れその色を変える頑なな身体からカラカラとその眼差しはただ真っ直ぐにわたしを貫いてそうは言っても触れないままのわたしたちはいつも苦しんで泣いていた雨に濡れた折 . . . 本文を読む

シンゲツ

2021-04-12 16:21:22 | 詩(イラスト付)
真昼に昇った新月は黒色の姿を露出して明るく照らされた真昼の空のぽっかりと空いたその穴へ是が非でも落ちていきたいと翼を広げた太陽の在処には目もくれずあの光なき月の姿にこそまほろばを砕けて散った月明かりからまた新しき光の生まれ出(いず)るを元に戻したのは夜の暗闇それは真昼の空と重なって無色透明な月の在処に真の心を求めていはく×××は何処のどちら様? わたしに重なるわ . . . 本文を読む