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別のブログにあげている絵ですが、そちらのブログではカテゴリー分けがよく分からないのでこちらでまとめます。
はじめはメガネなしで描き(何もみえてない)、その後メガネをかけて仕上げた絵。
向かって左がメガネなし、右がメガネあり。
横向きに描いた絵も、便宜上すべてたて向きにしています。 . . . 本文を読む
かいなに抱かれた幼子(おさなご)の
みた夢は現に続けども
目をあけてみた世界に夢はなく
なくした悲しみに赤子泣く
幼子の世界に満つ歓びは
空かけめぐり風となり
歓びを世界にともすとも
火の明かりともす暗闇に
また静かなる夜はくる
見えぬ海続く暗闇の
波音(なみね)は絶えることもなく
いつかみた夢を知る海の
闇を飲む波に背を向ける
視覚によらないさざ波は
それでも記憶のそこにあり
たとえ海か . . . 本文を読む
熱のこもる身体を抱いた大地は
清らかな風をまとわせて
いやしみずの調べをかぎわけよ
強すぎる光にある影の
瞳に沈んだ鏡がひとつ
ひび割れたままの姿して
光さえぎるこの身は燃ゆる
守ることこそ我がいのち
彼は誰時に会う片割れの
伸びる手つかむ
手をつかむ . . . 本文を読む
キツネとタヌキとテングに会いました。キツネがまいごで泣いていたので、お社までつれて行きました。
お社につくとキツネは言いました。
「お礼になにを望む?」
遠くでゴーンゴーンと鐘の音がきこえます。除夜の鐘でしょうか。
わたしはキツネに答えました。
「よいお年を」
目がさめるとわたしはふとんの中にいて、そのとなりにはタヌキが寝ていました。
わたしはタヌキを起こして言いました。
「おとなに見つか . . . 本文を読む
とん、とと
舞いながら 願い
とん、とと
舞いながら 戦う
思いが叶うかどうかは問題ではなく
届くかどうかも定かではない
俺はただ、踊るのだ
とん、とと
(しゃんしゃん)
とん、とと
(しゃんしゃん)
聴こえる気のする鈴の音は
遠くの外から
近くの内へと
鈴音に重なるお前の姿は
現し世(うつしよ)に生きる歓びを
いつか円舞の重なる日まで
どうか幸せでありますように . . . 本文を読む
トンネルで迷った蝶々の影
その羽は漆黒におおわれた
トンネルの黒とは異なる種類の黒色に
トンネルのなかをうねりゆく
真夏の風は蝶々の姿を翻弄し
右も左もなくなるも
始まりと終わりの光は常に
蝶々の到来を待ちわびる
迎えにいくことは能わずとも
迷わぬ思いをただ差しのべた
誰かの手に似た、一筋の光
一直線上の暗闇で
迷子の蝶はしかし、トンネルを抜け
抜けた先の光明(こうみょう)はあきらかなる
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通り雨に包まれた
気のせいにしたかったことは
気のせいなんかではなくて
気のせいになんかにできないと知った時
雨はやみ
私は歩き出すしかなくなった
晴れ渡る空のしたを歩くことは
思いのほか大変で
たとえ日傘をさそうとも
助けを求めれば雨は降り
潤いに満ちた世界で私は
傘をさしひとり歩いていく
傘から滴り落ちる雫(しずく)は
私の涙と重なって
塩辛い海へと繋がっていく
身体はその場に残されて
傘 . . . 本文を読む
鳥通る桃李取る道理の調べに
道ゆき紅ひく童女は
ミューズに従い瑠璃色のカンバスを
空に投げ入ればカンバス割れて
青い鳥は白雲を目指しはらはらと
此方から彼方へと飛んでいく
桃李取り喜ぶ幼子に
通る鳥取らんとするおのこ
道理は十里を駆け抜けて
千里の道も一歩から
夢や現に通ずる道は
迷いの森のその先に
通り通らぬ通りゃんせ
取るは通りの道理のトリを
鳥の通ったその道へ
浄瑠璃の色音に耳すます . . . 本文を読む
どこまで行ってもマクの中にいる
マクの中は息苦しさと緊張感に満ちていて
わたしはマクの外を目指すけれど
辺りはどこまでもマクの中で
駈けても駈けても外には出られない
そのうちにわたしは
いっそ内側を目指すようになり
くるんとひとつ、ひっくり返ってみれば
ぱちんと弾けて弾けたわたしは
シャボン玉になった
ゆうらりゆらりと
不安定に空を舞い、海を目指す
いずれカラスがわたしを見つけて
其の黄色 . . . 本文を読む
赤い目の兎に誘われて
眠りのなかにぬくもりは
いつまでも覚えぬ夢のなか
どこまでも叶わぬ再会に
とこしなえに続く糸をはい
たとえこの身の朽ちるとも
いつの日か夢は現(うつつ)へと
どこまでものばしたこの指に
いつまでもたくした糸を絡めて
赤い目の兎はじっとみる
どうか、この願いが叶いますように
糸を縒る(よる)とばりの夜は過ぎ
空をうつす海の波間から
また新しい朝を告げる日が昇る . . . 本文を読む
風に揺れ鳥の鳴く
蝶々はゆらめき陽炎に立つ
ゆらいだ蝶々は少女と重なり
麦わら帽子は飛んでいく
蝉のざわめきに空は青く
少女の汗は滴り落ちて
落ちた雫(しずく)は影もなく
少女はかつていた場所を思い出して
海へとかえる
潮騒に
階段駆けのぼる少年の
弾む息のかたわらには蝉のぬけがら
何も知らないはずの少年に一切の迷いはなく
たとえ何もかもを知り得ずとも
全ては熱のみなわに覆われて
引く潮 . . . 本文を読む
いつもわたしの後ろに立っている後悔を
わたしは立ち止まって振り返り
後悔を抱きかかえてくるりとまわり
わたしの前に置いてみた
すると後悔はその場でぺたりと座りこみ
「ここは僕の居場所じゃない」
「こんな場所知らない!こわい!」
と大声をあげて泣き出した
後悔は先に立たないというのは本当なんだなと
わたしもその場に座りこみ
泣きじゃくる後悔をいつまでもまじまじと見つめていた . . . 本文を読む
ずっとお願いしている
ちょっと待ってちょっと待ってと
だけど貴方はちっとも待ってはくれないから
私はたとえどんなにそれが苦しくとも
自分の足を動かすしかなくて
いろんなものを置き去りにしながら
必死で貴方の後を追う . . . 本文を読む