イスラエルでの暮らし

イスラエルでの暮らしなど、紹介します。そして今現在の生活で感じたことなど

宮本輝をヨイショしてみる

2006年08月09日 21時57分38秒 | Weblog
宮本輝は戦後随一の作家と言われている。
言われてはいるが、どうにも読む気にはなれなかった。
だいたい恋愛小説などかったるくってしょうがない、そう決め付けていたのだ。読みもしないで。

しかし権威に弱い僕にとって、芥川賞をとった作家の作品を一度も読んだことが無いと言うのは僕自身の沽券にかかわるようで、何か自己否定をしているような、とにかく気にかかる存在ではあったのだ。

しかも、戦後随一などと言う称号まで与えられては無視しようにも限界があると言うもの。何せ僕は権威に弱い。

本屋に足を運ぶたび、宮本輝の本は必ず手に取り、ペラペラとページをめくっては拾い読みなどしてみたりして、しかしどの本を手にしてみても、男と女がどうなったと言う話ばかりで、これのどこが戦後随一なのか毎回毎回理解に苦しみ、また、もとの通りに本棚にひっそりと戻すことが常であった。

しかし、今の僕は自他共に認める、かなり熱狂的な宮本輝のファンである。

きっかけは「泥の川」。
僕の人生の中で、立ち読みをして、そのまま一つの小説を読みきってしまったのは後にも先も「泥の川」これだけ。たち続けることの苦痛すら忘れるくらい、それぐらい引き込まれた。

後はもう、手当たりしだい読みまくった。

しかも、あまり「はずれ」と言うものがなかった。

熱狂した作家は他にもいたが、「はずれ」というか、僕自身の趣向にあわず途中で読むのをやめてしまうという作品は必ずあった。

無かったのは宮本輝だけ。
この人、只者じゃあないよ。