好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 バーンスタイン/バイエルン放送響/バイエルン放送合唱団 他

2017-12-02 12:07:20 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…バーンスタイン
演奏…バイエルン放送響
合唱…シュターツカペレドレスデン団員 ニューヨークフィル団員 キーロフ歌劇場管団員 バイエルン放送合唱団 ベルリン放送合唱団員 他団員 他
好み度…5(5点満点)

ベルリンの壁の崩壊という歴史的出来事の後、クリスマスに5カ国の演奏者を擁して行われた演奏。歌詞中の「喜び」を「自由」に替えて演奏されたという。
推進力などで押していくタイプではない。ゆっくりどっしり力強く、少し長めに弾かれる一音一音は情を込めて心に打ち付けていくような響きで、第1楽章から荘厳な雰囲気を醸している。
第2楽章もゆっくりめで、ティンパニの目立った強打等はないが、緊張感を保ってどっしりした響き。
第3楽章の冒頭は悲劇もあった過去を含めて万感の想いを静かに込めるように美しい。
終楽章前半は、コントラバスも歓喜の前の闇のように美しくも深く、オケによる主題の歌は激しさは伴わないがおおらかに歌う。中盤以降、独唱はうまく音量も程よいし、合唱は力強く美しく雄大で感動的。ゆったりめの力強く謳いあげる歓喜の歌に続き、いったん音を絞った後、再び強奏に戻るまでの祈りのような歌は神聖かつ地の底から生まれるような力強い美しさを湛えて圧巻の感。フィナーレも大曲感あふれたこの演奏に相応しく劇的に雄大に、熱狂的雰囲気も加えてこの記念碑的演奏を〆ている。
バイロイトがそうであったように、このときがそうであったように、解放あるいは自由を分かち合うにはやはり第九ほど合う曲はないだろうし、ベルリンの壁の崩壊という歴史的出来事の後の、クリスマスに第九である、聴く前から何かに期待し、高揚している聴衆の前での音楽はたっぷりの情と熱が欲しいし、そういう意味ではバーンスタインは適任だったろうと思う。ウィーン盤と比べて10年を経て深みを加え、悠大に、情と熱のあふれた演奏は、こういった舞台故に違和感なく、聴衆との一体感を生んでいるようであるし、聴衆の期待を受け止め、さらに高められるだけのエネルギーと奏者の意気に満ちた演奏だったのだと思う。演奏会の意義も含め、一級の名盤でしょう。

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