い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

その七十七

2020-12-31 | オキテ
家族のクジラが同じ方向に進んでいた

たった数分で一番上を行くクジラが消えていく

下で追う小さなクジラが方向を変えた

紅茶を飲むひとときにみるみる姿を変える空

しあわせな時の継続を願っても
悲しみから逃れる術を求めても
いつも冷静に同じ時を刻むなら

形を変える雲に倣って
陽射しを飛び越え突き進む
風の始まりに会いに行く




その七十六

2020-12-30 | オキテ
同じ台詞同じ言葉
聴こえ方が違うのは
沁みるフィルターが違うのは
私の心がひとつだから

たった数時間の出来事でも
見た目の変わりはなくっても
その時持ってる気分の強さは
あまりにも自己中の支配下で

善し悪しを論ずる暇もなく
ただその言葉に満たされる
好き嫌いで分けられた
意味さえ変わる言葉の不思議



その七十五

2020-12-29 | オキテ
横切る太陽の光が曇り空を白くする
期限切れの焦りを浮かべて帯の中を漂う
今度こそは
来年こそは
重なる決意が少し沈む

念入りに掃除をして
花の似合う場所を作り
くもりのないガラスを透かす

笑ってもいいのです
諦めの悪い大人でも無邪気が覗く大人でも
昨日と変わらぬ未熟をほめて

今日と変わらぬ明日だとしても

その七十四

2020-12-28 | オキテ
少しズルして明日が見えたら何か変わるだろうか

その後に付いてくる現実が良い方向に向かうだろうか

タイムマシーンのない世界に
努力を超えた明日を夢見た
手探りで傷つく後悔ならば
気付かぬ振りして飛び越えろ

無駄を拾い集める無理な姿勢も
やってみなくちゃ分からない
途中を濡らす汗も涙も
固まる大地の土台にしみ込む


その七十三

2020-12-27 | オキテ
登りきった景色を描きながら息を切らす

耳に残る言葉が想像を更に美しくする

同じ景色の中で同じことを感じたいけど

時間の通過が温度の変化がその時を変える

流した涙の意味を考える

分からなくても想うことが優しさを運ぶ

元気ですかと打てない言葉が

北風に乗ってヒューと鳴いた 泣いた

その七十二

2020-12-26 | オキテ
それぞれが踏ん張ってる粒たちを
ひとつにしようと押し込めて
大きな丸を作ったら
点と点で支え合う球体の謎

ひとつのまとまりに見えても
触れ合う点は交わらず
曲線の歪みを借りて接点をずらす
それを優しさと気付くべきか

自分だけの痛みを武器に
突き刺す鋭さを表に出せば
程よい隙間を埋めるように
一点の曇りが闇を作る

その七十一

2020-12-24 | オキテ
順番を決めてやらなければ
忘れ物をしたみたいに
落ち着かないかもしれない

優先順位を守って
やろうとしたけれど
余計に落ち着かない

だから今は心のままに
知りたいことを探し求め
見たいものは息を止めて見つめる

信じられる優しさと強さを知り
変わらぬ決意と志に触れ
心に灯る明りが広がる



その七十

2020-12-23 | オキテ
夢見る頃の制限を受け入れて
念入りに化粧をして街に出る

行き交う人と目が合うことは無い
視線をずらし瞬時に判断を下す

見えない第一印象感じない第六感
あやふやな先入観が愚かさを説く

ふわふわと浮かびそうな心をツカマエテ
地に足を付けて歩き続けた



その六十九

2020-12-22 | オキテ
躊躇いと勇気を握りしめ仁王立ち
進む一歩 退く一歩 逃げの一歩
全方向の圧力が次の一歩を決める

全速力の思考はぶっちぎりの一位
先頭の風は容赦なく吹き抜け
声援の中を突っ走る

頭と心の綱引きが体を縛る
体裁の温度で固まる常識と
守る鎖に縛られた愛しさの正体




その六十八

2020-12-21 | オキテ
明日に向かっていると思っていた
変わらない朝見慣れた風景
当たり前に受け止める時の流れ
いつもの挨拶に微笑みを返す
止まった景色に息をかける

眠るまで悩んでいた憂鬱は息をひそめ
これからの数時間に全集中する
雲の流れる音が聴こえる
吹き抜ける風が振り返る
高まる鼓動に深呼吸する

目を閉じて考えれば
向かった先が明日だった
今日を糧に道が続く
蹴飛ばされるまで居座る石も
地中に眠る新しい命も

今を蓄え今を生きて今を迎える