い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

十七番

2021-08-31 | 順番
分母で変わる分子の意味

その他大勢の中
ぬるま湯の心地よさも
広さで変わる
中身で温度も変わる

ひしめき合う楽しさも
ただひたすら冷めていくのに
身動きの取れない窮屈を
安らぎと感じてしまうのに

愚かな選択を
思い込みで処理しながら
これで良かったと
線の下を切り捨てながら

十六番

2021-08-30 | 順番
昼下がりの静寂
モーター音だけが息を熱くする

健康すぎる12時の食欲が
上手く消化できない
向かい合わない言葉が
ズレたままでか細くなる

聞こえてはいるけど
返事が見つからず
ため息に音を付けただけの
短い息を吐く

このままの戸を閉めて
パスワードを忘れた時
思い出の中にも取説の中にも
答えが見つからなかったら

風も吹かない静寂
陽射しだけが容赦なく照り付ける

十五番

2021-08-29 | 順番
自由と背中合わせの孤独

求めていた背の君が人違いだった時
気付いた場所を出発点にするか
もうひとつの予想図を書き始めるか

遅いと嘆くのではなく
ここからを始まりとする

両手を広げても
抱えきれない大きさを
いっぱいだと喜んだ小さい自分

はしゃぎ回れる視界の中が
自由なんだと思っていた

視線の高さが変わっても
気持ちの種類が増えすぎても
自由自在の孤独を背負う

十四番

2021-08-28 | 順番
満月より一日前の月

見上げた角度が球体を示す
近付いたら見えない曲線が
本体を隠しながら反射する

近付きたいと思っても
もっと知りたいと望んでも
叶わないから思いは膨らむ

機織りの姿を盗み見た驚きと
約束を破った後悔が
羽ばたく月に描かれても

太陽の光で輝く星空が
形を変える場所にとどまり
叶わぬ夢の続きを見せる



十三番

2021-08-27 | 順番
十三番目にたどり着いた猫

一番から順番にスポットライトを浴びる
誇らしげに胸を張り一年を示す干支たちの
順番を描いたいくつかの物語
神話と呼べないそれぞれの生き様がある

途切れない時間の長さに印をつける
時代という名前の元で区切りをつける
ひとりひとりの長さの価値を探して
十三番目の猫と出会う


十二番

2021-08-26 | 順番
あの人は誰だろう
いつも見ているはずなのに
いつも違う顔をしている

目に映った表情が脳を混乱させる

一緒にいたいと思ったことも
顔も見たくないと嫌ったことも
期待も心配も苦しさも
慈悲の心に酔ったまま誤解と錯覚の狭間で
訳の分からぬ百面相の催眠にかかる

人は皆
まがい物を避けてるつもりが
知らず知らずのうちに
求め惹かれ慣れようとする
本物だと思い込む事でその身を守る

十一番

2021-08-25 | 順番
急激に変化する心模様

たとえ
どんよりとした朝でも
晴れの予報を信じ淡色を選ぶ
街並みを濡らす雨粒が
いつか乾くことを願いながら

木々の緑が嬉しそうに葉を広げ
陽射しの微笑みを受ける頃
愁いの雫も泣き止んで
大きな歩幅で進むだろう

繰り返しやって来る
色とりどりの変化の中で
好きと嫌いを胸にしまい
何が何でも突破する


十番

2021-08-24 | 順番
全身洗いたての真っ新な今日

平均台を軽やかに進む日と
一歩ずつ慎重に進む日
ここまでという区切りを見つけて
渡りきろうとその日を終える

足幅くらいの狭い道でも
花を見つけて飛び越える
飛んだ先の泥濘にはまる
汚れたらまた洗えばいい

何も言わなくても
頷く角度が優しさを湛える
閉じた瞳に涙を隠して
日の光が空を染める

九番

2021-08-23 | 順番
心を保つための入れ物があるのなら
それさえも透き通る不思議に出会った

生きていれば知ること
寂しさも苦しみも
楽しさも喜びも
違いが曖昧な幸せと不幸せ

その次が分からないから
未来も夢で終わることもある
現実を受け止めてみたら
あの日の願いだったりもする

あれこれ悩んで間違って
思わぬ出来事に助けられ
どん底からてっぺんまで
見えない深さと高さを行き来する




八番

2021-08-22 | 順番
試験勉強を続ける毎日
どんな問題を出されても
対応できる柔軟な頭脳

たぶん一生訪れない天才の域
万能という頭脳は無いに等しく
修業だけが歩める事実

ひと時の安らぎが
あちらこちらで押し合えば
潰されかねない世の中で

気持ちだけでも羽を付けて
飛び立つ場所を見極める
その高さに手を伸ばす