い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

八片

2021-11-30 | 雪花
これでもいいかと思わせるような
北風もくつろぐ陽だまりの心地よさ

切り取った風景画のように
何も動いていない空間の中
頭だけは忙しく行き交い
落ち着きのない心は
ごちゃ混ぜの思いが飛び交う

大人未満の境界線が
風に遊ばれ上下する
子供以上の規則の壁が
向こうの世界を閉ざそうとする

今ここで
声を上げたら聞こえるだろうか
背伸びをしたら見えるだろうか
緩やかな暖かさに浸り
これでもいいかと夢を見る

七片

2021-11-29 | 雪花
同じ形の花びらが集まって
ひとつのきれいな花が咲く

不動の均等を望むなら
弱さに合わせて引けばいい
あくびの温度が伝わって
傾く速度で転がれば
見上げた諦めが嘘になる

どちらも止めない未熟さが
優しい言葉を変えていく
相手の立場が見つからず
思いやりの意味を違える
沈黙の重さが心をしずめる

六片

2021-11-28 | 雪花
途中まではあっていたはず

何処で間違ったのか
何を間違えたのか
ここで思い出せたなら
ここで理由がわかったら

やり直せるのだろうか
違う結果に出会えるのだろうか

不可能な戻り道
あり得ない過ぎた時間
選べる先の道
変えられる次の時間

思い出せなくても
やり直せなくても
今は今
未来は果てしない



五片

2021-11-27 | 雪花
手のひらで受け止めたら
姿を変えて流れて行く
零れる前に握りしめ
結晶の儚さに夢を託す

匠の技もかなわない
精巧な設計図も及ばない

キラキラと漂う空中の魔法が
無垢な心を呼び起こす
懐かしさより前にある
おとぎ話の淡い色

眠りの扉を開けるように
軋む温度で手招きをする

四片

2021-11-26 | 雪花
年月が二人の間を決めるなら
長い年月の多すぎる思い出と
短い年月の濃すぎる出来事に
違いはあるのだろうか

見慣れるという事が
当たり前の生活に溶け込み
反発も苛立ちも
同じ時間を過ぎていく

立ち止まって探さなくても
時間をかけて頑張らなくても
痛みに負けて泣き出しても
視界の中にいつもいる人

三片

2021-11-25 | 雪花
あの頃しか知らない人は
そのままでいいと言うけれど

陽だまりのうたたねを知り
汗に濡れる一歩を踏み出し
落ち葉の数に涙を流し
凍える寒さに背中を丸めた

このままがいいと願い
重い荷物を引きずりながら
穴からこぼれる軽さを捨てた
振り返らずに今を見つめて

二回目の花が咲く時
記憶の中の同じが見えても
忘れ去られた色を変えて
これから新しい花が開く

二片

2021-11-24 | 雪花
何処に落ちても同じなら
役目を終えた色を閉じ
ほんの少しの温もりに
そっと触れた花の片

数百年の時を経て
霞の中に生きようと
不変の思いを信じつつ
幼くも忍ぶ心の奥深く

変わる時代を懐かしみ
憧れだけを紡いでた






一片

2021-11-23 | 雪花
希望を表す儚さがキラキラと輝く

ひとひらに秘められた無音の軽さで
抗うことなく地表を目指す

凍てつく空気を吸い込んで
痛む心が熱くなる
苦しみを少しずつ濾過しながら
苦みの濃さを味見する

たった一日だとしても
一瞬の積み重ねが愛しくて
千の季節を超えたよな
待ちわびる想いを急き立てる




百番

2021-11-22 | 順番
百人の一通り
百人の百通り

平等を謳う個性の配列にある歪み
その他大勢の中の居心地が
ぬるま湯の温度を保つ

顔さえ出ていれば
呼吸もできる話もできる
浸かった部分の揺らめきが
凍える心を隠しながら

ひとつずつが集まった100の重みと
100をつぶしたひとつの塊が
加速しながら転がる道の先

見たいような知りたいような
百通りのそれぞれの考えがある


九十九番

2021-11-21 | 順番
ひとつ足りないと考えるか
あとひとつと思うべきか
九十九の白さ

何色にも染まる強さを武器に
土台に溶け込むか
自らを基盤とするか
選び方で変わるプラスマイナス

格言の厳しさに翻弄されながら
いつしか酔いしれる凡人の掟
何が正解でどれが間違いか
とんちのリズムで時間を稼ぎ

たったひとつを見つける