い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

三十七片

2021-12-31 | 雪花
焦らなくてもいいのに
師走に走る心

その一瞬で新しい年になろうとも
やるべきことは同じはず
何もかもはじめの一歩を願いつつ
気分だけが忙しない

ホコリを払った部屋の隅まで
元の色に近づいても
いる場所を追われた
月日の影が寂しい痕を残す

年毎に変わらぬ景色を
無邪気に遊んだ時を過ぎ
大人と呼ばれる区切りの中で
一段進んだ鐘が響く

三十六片

2021-12-30 | 雪花
ひらひらと落ちる場所を探す

思い通りに行くはずはない
蝶の羽ばたきさえひとひらになり
吐息の熱ささえふたひらになる

誰にも邪魔されず
自由に舞うのが望みなのか

教えもなく手本もなく
誰の目にも留まらない
独りよがりが空を舞う

虚しさだけを知りたくないなら
寂しさだけを覚えたくないなら
繋がる温度の緩やかさで

ひらひらとゆっくりと
見える速さで追える高さで

三十五片

2021-12-29 | 雪花
昨日までの反省を折りたたんでシマウ
いつでも見返せるように
何度でもやり直せるように
笑い話のオチになるように

今日からの自分をスタートラインに立たせる
いつでも始められるように
何度でもやる気が出るように
笑顔の涙を流せるように

区切りをつけて初めてのラッキーをもらう
怖いもの知らずのダッシュでも
中だるみの後ずさりでも
すべてが繋がる今だから

三十四片

2021-12-28 | 雪花
神様の姿を作った時

同じ形の中に
憧れのエッセンスと理想の容姿をハメ
あたかもそこに存在するかのような
わがままな妄想の中に描く

一日の始まりに同じ日は無く
夜明けのカーテンを開ける時
ワクワクしてても気合が必要でも
冷たい空気は徐々に色付く

変わらぬ日々にも両手を広げ
おはようの白い息を吐いたら
天空の神の高さを仰ぎ見て
降り注ぐ光の中で感謝する


三十三片

2021-12-27 | 雪花
その感謝を形にする
力に変えて見せてくれる

どれほどの苦悩が
抱えきれない重荷が
全身を覆いつくそうと
闘うための鎧に変えて
ただひたすら立ち向かう

時代に生きた人たちは
それぞれの定めの中で名を残し
知りえぬ未来の現実に
希望と感謝を伝えても
その日その時の真実を知る人はいない

同じ時この場所で知ったキセキとは
誰よりも感謝の心を力に変えて
すべてを背負って前を向く
永遠と思える時の中の
たった一点の出会いをくれた

三十二片

2021-12-25 | 雪花
心が見えた
その指先に踏み込む力に

どうしようもない緊張感と
神頼みもふるえる鼓動の音

目の前にある道を
楽しいと思うか怖いと思うか
どちらを望むか迷う前に
歩き出していたから

坂道に息を切らして
泥濘に足を取られて
冷たい雨が頬を刺して
涙さえこぼれ方を忘れても

今なら乗り越えられる
この先を見たいと思う
何よりも誰よりも
この先を照らす光があるから

三十一片

2021-12-23 | 雪花
すべてが揃う時あの笑みがもらえる

費やした時間に数字を付けても
表せない単位がある

読み聞かせの昔ばなしに
幾通りのおしまいがあるように
ちぐはぐな言葉合わせに
いくつもの意味が生まれる

あとがきの説明が答え合わせなら
ひとつだけの満点を避けて
この世界で初めての
自分だけの開拓者になるのもいい

三十片

2021-12-22 | 雪花
岩をも通す一滴の威力

天の恵みを流れに変えて
なめらかな曲線で包む

根気強い弱さの隠れ蓑
人並に隠されたスタートラインも知らず
流れのままに同じ方向を目指した

導かれるままに変わる一番が
途切れることなく硬さを超えて
鋭さに臆することなく進み続ける



二十九片

2021-12-21 | 雪花
寝不足の思考が夢を見る

現実じゃないと分かっていても
ピーターパンより複雑な回路で
大人の振りして夜空をかける

夜明けを境に
成長した細胞とバトンタッチした細胞が
役目を引き継ぎ目覚めるように

いつも頭の中にある
絶えず心の中にいる
心音の間で息づくような

眠れないほどに鮮やかな想い

二十八片

2021-12-20 | 雪花
こわばる寒さに負けない様に
白い息を吐く

怒った顔は出来ないから
泣き顔はしわが出来るから
無表情よりほんの少し
無邪気な微笑みが似合うように

汚れた心を絞り出して
お日様にさらけ出す
歳を重ねるごとに
苦みを知った濁りが増える

すべてを吸い上げて
色を変え形を整えながら
丸い地球に寄り添い続ける
儚い軽さは空の上を目指す