い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

十三歩

2016-10-30 | 道しるべ

星の線 波の鼓動で 描く蒼

海の映像は
CMでもドラマでも
観てしまう

海のない故郷を持つと
そこは旅先であり
思い出であり
眩しい輝きを放つ

足元の大地が
宇宙の星である前に
包む
水の儚さと強さを


十二歩

2016-10-29 | 道しるべ

離された 余った片手で ノックする

中途半端な子離れ
生涯続く年齢差と
変わらない目線

いつの間にか
飛び立ったのは
親と変わらない翼

空いた手のひら
しばし見つめて
力を込め握りしめた

目の前に扉はある
これからは
トントントン・・と
合図する

十一歩

2016-10-26 | 道しるべ

当たり前 右へならえの 非常識

彼女は脇腹にラップを貼っていた
その苦痛を和らげる教えと言う薬を手に入れた
同年代をターゲットに
その薬の効果を説いていく

共鳴の輪の中
現実から離脱して
常識の定義を歪める

気付く人はいない
信じる心に酔う

そんな姿を見た時
トンッと
背中を押され
踏ん張ることより
はみ出す 勇気

十歩

2016-10-23 | 道しるべ

見落とすな 連鎖の闇の 曲がり角

誰だって間違う事がある
繰り返さなければ良いと言う
だけど
この先に目指すものがあったら
突っ走ってしまうのも事実

ゴールがないとしたら
分かれ道があったとしたら
もしも・・
架空の真実はないなら
遠回りかもしれない
未知の曲がり角

立ち止まってみたら

九歩

2016-10-19 | 道しるべ

気合い入れ 全身メイク 誰だっけ?

髪を染める
眉を整える
盛る

出会った歳の
倍は過ぎたか
呼び合うあだ名は
タイムマシーン

思い出とか
面影とか
一気に吹き飛ぶ

心のアルバム
めくっても・・・

八歩

2016-10-18 | 道しるべ

瞬きの 合間にまとう あでやかさ

主人のいない庭木の手入れ
ここ数年シルバーさんにお願いしている
夏に茂った木々も新入生みたいにサッパリ

昨日の雨で洗われて
いつの間に
衣替えした
紅の彩

七歩

2016-10-17 | 道しるべ

いつだって 夢は現実に 起こされる

隣に芝生は無いけれど
息を切らし
目指した頂上だけど

たどり着けば 今

だけどね
人生の三分の一 四分の一は
寝ているわけだから

独り占めのその時間
夢はいつだって見放題


六歩

2016-10-15 | 道しるべ

はっきりと アホゥ連呼で へこむ朝

平日は日の出より前に起きる
休日は久し振りの太陽の下
洗濯物を干す眩しさ

静かな田舎の風景は
生き物たちも
自分の時計で動く

手をかざし
ドラマのワンシーン真似て
見上げた空に

アホゥアホゥ
・・・と
これまた鳴くと言うより
叫ぶ勢いで
私めがけて 飛んできた

五歩

2016-10-12 | 道しるべ

お披露目は 眠る横顔 母の中

初めての土地
新しい職場

環境を変えれば・・が
最後の手段

季節は秋から冬を耐え
桜の便りが届く頃

彼女は
やわらかい微笑で
芽生えたばかりの命を
見せてくれた

四歩

2016-10-08 | 道しるべ

朝もやに 羽音もとける 静の白

東の窓から見える景色
稲刈りが終わったばかりの土
水路と並ぶ雑草の線
断ち切るようにたたずむ

視界の中の真っ白な鳥が
首を伸ばし 天に刺さる
見上げると
広げた翼の先だけ色付く

浮かぶように
回る 静かに静かに