い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

六十一日

2020-01-31 | 日めくり
穏やかな風が涙のワケを聞いてくる

窓を流れる風景に呼ばれた気がして
空に溶けてく一瞬を捕まえようとした
思い出よりも鮮明な一コマが飛んでいく
あの日あの時
左ナナメの輪郭が照らされて
ほんの数分のきらめきに酔いしれる

幻の中の現実は
蜃気楼の世界を創りだし
目の前の姿さえ
架空の線で描いていた
流れるしずくが落ちる時
ワケも知らずに風が吹く

六十日

2020-01-30 | 日めくり
優しい言葉が突き刺さる

十人十色と言われても
人それぞれだと分かっていても
個性だと許されたとしても

受け止めた心の向きで
寛大な博愛のほころびが
悲鳴をあげる

妄想の世界をこじ開けて
浸る空気の温度差に嘆く
繰り返す後悔にひれ伏しても

顔をあげ
歪んだ泣き顔を
晒すしかない

五十九日

2020-01-29 | 日めくり
夢から覚めても夢の中

こんな日もある
雨の音で気付く朝
開けたはずの瞳には
時刻の針も届かない

夢が映す残像が
消えゆく瞬間に残したもの
こみ上げるような記憶さえ
切ないトゲに涙する



五十八日

2020-01-28 | 日めくり
次のステージのための潔い緞帳の重み

隔てるものが距離ならば
進化の恩恵に感謝して
羽ばたく翼を与えよう

遮るものが時間なら
時差の軋みに逆らって
過行く昨日を巻き戻す

叶わぬ思いが恋ならば
休憩時間の一呼吸
その糸に込められた彩を知る



五十七日

2020-01-27 | 日めくり
知り合える人の数
女神でしかない腕の中
手招きされた初めての一歩も
今日を超える試練の一歩も

差し伸べる温かさを疑いもせず
背中いっぱいのエールを受けて
ただひたすら前を向き
四半世紀の道を見つめる

やわらかな声がささやく
一緒に生きて行こう
お前は私の一部なのだから
明日より一日だけ子供の心にしみ込む

降り注ぐ吐息の呪文は
神話の世界に遡り
絶え間なく続く
地図のない物語を描いてく







五十六日

2020-01-26 | 日めくり
指定されたバレンタイン
催促されたときめき

本来の意味は知らない
商戦に乗ってしまう心
ドキドキの甘い誘惑

このチョコにしてと
空箱を見せられて
冷えていく頷き

気付かないのだろうか

釣られてしまった魚の涙
大海原でひとりさ迷う
自由と心細さ


五十五日

2020-01-25 | 日めくり
あこがれも無いものねだり

努力すれば得られるもの
頑張れば近づけるもの
不可能の結果が見えないもの
もしかしての未来があるもの

どれにも当てはまらない
無いものねだりで引き止められても
悟りの境地で待ち伏せされても
時空の壁に阻まれても

あこがれがすべてを見通し
希望の命を大切につなげる
この思いは
比べる必要はなく

いつも自由に大空を飛び越える

五十四日

2020-01-23 | 日めくり
大木を濡らすひとしずく
種が目覚める光の先
大地を育てた核の熱

真っすぐな視線
先を見る希望の光
君を導く真の強さ

気付いたのはずっと後
目にしたのは偶然の奇跡
膨らみ続ける心の温度

すべてを受け入れて
すべてに感謝して

ひとつになる

五十三日

2020-01-21 | 日めくり
朝に会いたくて透けていく三日月

夜に浮かぶ光色
形を変えて闇を照らす

無数の瞳に映る時
恋しい思いが募ってく

会いたい気持ちは万年の
隔てる空をつないでく

朝の光に溶けるまで
いつか会える時を待つ




五十二日

2020-01-20 | 日めくり
喜怒哀楽の割合

心の整理整頓は苦手だと思う
湧き出す感情を抑える技術
偽物になりきる演技
他人の目を気にする小心

傷を負いながら得た大人の称号
喜と楽で覆いきれない怒哀の強さ
それでも
何事もなかったかのように
忘れたふりをする気もなく
一日のあいさつで始まる

未熟な心