七十三歩 2017-04-30 | 道しるべ 屋根囲む 半円の虹 雨に勝つ 予報通り 夕方の雷雨に 息をひそめた 静寂を取り戻した 窓の向こうに 七色の柱が登っている それは 眺める距離感はなく アーチの両端は 大地に届いている 間にある 大粒の雨のカーテン 並んで光を反射する 空の架け橋
七十二歩 2017-04-27 | 道しるべ 季語笑う 言葉遊びの 胸の内 決まりがある はみ出たものは 間違いだと 排除する ある日 心に触れた景色を 言葉にする 忘れられない思いは リズムに乘る 今までの道のりであり これからの道しるべになる
七十歩 2017-04-19 | 道しるべ 透き通る 闇夜の影を 射貫く月 目に見えないもの 奇跡のような偶然 嘘であって欲しい必然 繰り返す夢 気付いてしまった絶望 目を閉じて 見ない振りした 心を眠らせ 知らない振りした 太陽の光を受けて 夜を見守る月明り 雲に遮られても 影を映す
六十九歩 2017-04-18 | 道しるべ 振り向いた 笑顔の涙 映る虹 きっと その人にとっては 初めての思い どんな例えよりも 深い重い 絶望の涙 時が経てば 気持ちに優しく ベールをかけて 思い出という箱の中 ・・・ だけど今は 慰めの言葉は聞こえない 孤独の底に 沈み込むまで 待っています いつの日か 声をかけたら 振り向いてくれるまで
朝の訪問者 2017-04-13 | 人々 24時間誰かが起きていて 回っている世の中 それぞれの目覚めの時刻 新聞配達のバイク音 鳥の挨拶 動き出す空気の中 気合いを入れて 今日が始まる 朝6時15分のチャイム 何事かと手を止める暇もなく 二度目の催促の音 田舎の朝は たぶんのどか 隣人の忙しい音も知らず 自分の速さで動く 街中であれば 顔も知らない距離の住人が 訪問してくる 今日じゃなくてもいいような 今は必要じゃないような 電話でも済むような メールでお知らせでも構わない その訪問者は きっと朝の6時から 自転車に跨り 班内を巡る
六十八歩 2017-04-12 | 道しるべ 坂道の 上か下かで 変わる空 自分がいる場所 立場とか 関係とか すべて剝がしたら 何が残る 人間ひとり 何かに頼り 何かに縛られ 誰かを想い 登るのか 下るのか
六十六歩 2017-04-06 | 道しるべ 願い事 合わせる両手で ネジを巻く 柱時計 どこの家の茶の間にも 真ん中で時を刻み 生活を見守り 時代は変わり 家族も変わり 己を動かす 力を 心を 途切れることなく
六十五歩 2017-04-05 | 道しるべ 瞬きで 見ないふりして 涙消し 毎日笑って暮らせたら それが当たり前になって それが普通になって 頬の渇きが 心に伝わる 鼻の奥に 響く涙も 浸み込み 浸み込み ヒビも埋まるなら 時には ツンとした痛みに 耐えるのも いい