い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

二十六拍

2022-03-31 | 心音
その文字を指でなぞる
その姿がハッキリと見える

覚えてしまった記憶は
繰り返し思い出すことで
忘れるはずの本能さえ止める

限界を知らない枠の中に
増え続ける想いがあって
ふわふわと湧き上がる

追いやられた悲しみも苦しさも
決して消えることは無いけれど
やわらかな軽さで隙間は埋まる


二十五拍

2022-03-30 | 心音
目をギュッとつぶって
手をギュッと握って
気持ちまで硬くなった時

突然聞きなれたメロディー
さっきまで流れていた曲は分からないのに
全神経がほぐれて行く

何だろう
このキセキみたいな偶然
歌声と共に緩やかな時に変わる

不安と緊張が穏やかに溶けて
すべてが上手くいくような
やさしい微笑みで踏み出した



二十四拍

2022-03-29 | 心音
憂鬱がひとつ減る

心配事と言うべきか
楽しいはずの会話にも
美味しいはずの食事にも
一段下を行くような

愛想笑いもぎこちなく
悟られないことに腹を立て
自分勝手なモヤモヤが
空気より重い層を成す

確かに曇り空だけど
花も眠る寒さだけど
思い切って始めたら
ほんのり優しい声がする


二十三拍

2022-03-28 | 心音
個性を重んじるのであれば
好き嫌いこそそれぞれな訳で
機能説明を読み終えたとしても
取り扱いを間違えたりする

恋の始まりみたいに
好みのすべてを知りたがり
好みのままになろうとする
思い込みとカン違いはさておき

傍目からすれば
愛おしくもあり恨めしくても
自分とは別次元のものとして
ため息交じりに距離を置く


二十二拍

2022-03-27 | 心音
偶然が重なった結果なら
良いか悪いかで分けるより
何が一番上かで決まる

その中には
重すぎる努力も夢に見た幻も
現実に置き換える深さがある

判断するのは難しい
結果の意味を受け取るには
どこまでも未熟な集まりだから

手にしたバトンの行方も知らず
たどり着いた様々な場所で
ゴールの位置さえ歪んでしまう

二十一拍

2022-03-26 | 心音
これ以上の言葉が見つからない時は
それ以下の言葉もないはず

黙っていても分かる思いは
もうすでに伝わっていたのだから

上手くいかない事の方が多すぎて
慣れてしまった中途半端

途中で見つけた「どうせ」の逃げ道
初めから知ってたずるい脇道

先頭の見えない行列を避けて
これからを探し続ける我儘の途中

二十拍

2022-03-25 | 心音
100対0の違いでも
億の差がある視線でも
あり得ない絶対を付けてやる

優しさと思いやりを持って
どこかはかなげで清らかな
憧れの人物像を頭の片隅に置く

時に夢は
色を変えて大きさを変えて動き出す
あれからの時を数えて
本物と忍耐の違いに悩む

けれど
目の前に現れた視線の先が
違う方向に向いていようと
目を合わせるなんて

絶対に無理

十九拍

2022-03-24 | 心音
ひらひらと舞う日常を
気にとめることなく生きてきた

自分なりにそれなりに
ハラハラとこぼれる苦しみを
つかめる限り握りしめ
繕いながら過去にした

比べてみても分からない
比べるものもありはしない
ぽろぽろとこぼれる涙さえ
喜びと悲しみにあふれるから

十八拍

2022-03-23 | 心音
あれもダメこれもダメ
言われなくても分かってる
言われないから分かっちゃう

おはようの挨拶は届かない
起こさないでのメッセージが
いつもの夜明けを拒むから

おやすみのラインは送るだけ
距離のない時差に阻まれて
眠りの中で付く既読

分かっているから物足りない
母性以上の弱さのままに
子供未満の自分を笑う

十七拍

2022-03-22 | 心音
誰もが思う

もっと寝ていたい
今日は行きたくない
それでも
毎日起きて行動する

習慣になった責任感と
身に付いた義務感が
一日中付きまとっても

たまに埃を払うように
深呼吸の場所を選ぶように
途切れ途切れの
自己満足が顔を出す