い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

六十五拝

2021-03-31 | 願い
晴れやかな決断

優柔不断が似合っていても
決める時は決める
もちろんギリギリ追い詰められて
何度も出た結論に
裏技の異議を唱えて
したり顔で振出しに戻る

頭も心も柔らかくして
選択肢を増やしても
時代を超えた宝の地図は
汗ばみ色を変えていた
あぶり出しの要領で
浮かぶ秘密の合言葉



六十四拝

2021-03-30 | 願い
行ってきますとただいまの扉

今日も始まる初めての時
昨日を一番上に乗せて
今を積み上げていく

喜びと悲しみを引きずったまま
次の一歩を阻む時は
少しずつ捨てればいい

心を小分けするには
幼い思いが定まらず
鏡の前で反転を見る

捨てられなかった過去と
持ち帰った現実に
元気に挨拶できたなら

ただいまの扉を開けて
お帰りの言葉を聞いて
泣いてもいいんだよ


六十三拝

2021-03-29 | 願い
午後九時の睡魔に負けて眠る日は
課せられた大人の時間と闘った証

裏技で抜けられるならズルをして
魂を魔物に変える呪文なら暗記する
ゴールが同じなら
結果が同じなら
それで終わりなのだろうか

過程と結果のにらめっこ
それぞれの長さと重みが
かけ引きをする
最初に笑い出した方
勝敗を決めるのは誰


六十二拝

2021-03-28 | 願い
ここにいる

後悔を掘り起こしたら指先が痛い
探し物さえ分からずに傷を負う

涙と汗がポタポタと落ち
崩れる穴を埋めながら
ほぐれた大地に種をまく
花咲くことをあきらめず
繰り返した絆の証

痛みの重さを悔やむのではなく
重ねる強さの土台を目指し
踏み出せ踏み越せ
今より高く
見えた世界は君のモノ




六十一拝

2021-03-27 | 願い
明日の夢を見る

超能力は無い
タイムマシーンの開発も無理
第六感をまねてその気にはなれる
けれど
望む人に変わる能力もない
ならば
せめて同じ夢を追いかけ
たとえ
叶わなくても同じ思いに浸る

胃が痛くなるほどの時間も
花畑を見下ろすほどの高まりも
言い聞かせる喜び
照れるほどの緊張
すべてを動員して
夢を追う



六十拝

2021-03-26 | 願い
涙色の雲
青空に恋をして
近付きたくて
息を吸い込む

地球の幅を抱えるほどの
大きな大きな心を持って
見守る方を選んだけれど

耐え忍ぶ和歌にならって
たおやかな重ねに隠れ
羽衣で泣き顔を伏せた



五十九拝

2021-03-25 | 願い
季節を問わず蠢くもの

変換に頷いた春の虫虫
今の時期だと改めて思う

形を変えるまで
何になるか教えられぬまま
願いは虚しく
抗うことなく
受け入れた運命を全うする

それが自然だと分かる前から
流れに逆らう引力は持たない

時の長さを計る速さで
それぞれの一歩を
比べることなく
嘆くことなく
ひたすら道を付けていく



五十八拝

2021-03-24 | 願い
風の通り道

穏やかに空間をなぞりながら
壁に当たれば舞い上がり
迷路の隙間もすり抜ける

丘の上のタテガミを起こし
季節を求める羽を追い越し
大地の恵みの種を運ぶ

痛いほどの願いを連れて
世界中の祈りを集め
ひとつの星の空を巡る


五十七拝

2021-03-23 | 願い
すべてを受け入れるのは難しい

タテマエだけなら世渡り上手に
見せかけだったらその場しのぎに

きっかけは与えられたとしても
その先を見たいと思った
明日の数を指折り数えて
出会えるはずの夢を信じた

重ねすぎた期待の重さを
ほどくような指先で
頬を拭う優しさだけが
真実だと思っていいなら



五十六拝

2021-03-22 | 願い
大切なものを手のひらで包む

大きすぎて落としてしまうなら
重すぎてこぼれてしまうなら
残ったものを握りしめるか
失ったものを忘れるか

もう一度すくい直すか

今考える事
ひとつの答えが次の問題を作る
終止符を打つ印しを決める時
裏返しの笑い声が聞こえた