い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

九十五片

2022-02-28 | 雪花
言葉より先に
気持ちが飛び出してしまうので
一度透明人間になる

一呼吸で足らない時は
三つ数える
十じゃないの?と言われても

数秒間自分を消したら
もう一度向き合ってみる

変わっただろうか
さっきと違う気持ちだろうか

どれにしようかな
神様の言う通り・・

九十四片

2022-02-27 | 雪花
夜明けが少し慌ててのぞき込む
いつもより鋭い角度で見下ろす朝

季節が変わる瞬間を
見えない温度で連れてくる
汗ばむひなたの揺らめきに
厚手の上着を脱ぎながら

眠る木々の若葉のように
春の日の目覚めを促す
大地に張った根っこに抱かれ
新しい朝に出会うために


九十三片

2022-02-26 | 雪花
背伸びしても届かないなら
何を踏み台にしようか

一日にして成らぬものばかり
昨日より進んだものを
確かめたつもりの時間だけが過ぎる

すべてを癒してくれると言う時の流れは
悲しみと苦しみをこれでもかと詰め込み
いつしか涙の理由も薄れて行く

音もたてずに過行く時に
逆らうことなく泣くだけ泣いて
お腹がすいて眠くなれば
パンパンな心もいつしか緩む

ほんの少しの弾力に
手のひら分のやわらかさで
もう一度だけ弾みをつけて
ジャンプしたら届くだろうか


九十二片

2022-02-25 | 雪花
近くの屋根が遠い山に重なる
明日まで見渡せるような大地の景色

想いは距離を選ばずに
まつ毛の隙間を自由に羽ばたく

自分勝手な深呼吸が
現実逃避の旅に出かける

気が遠くなるような短い時間に
たったひとつの願いを込めて

明るい陽射しの裏側で準備する
流れ星のキラメキを待っている


九十一片

2022-02-24 | 雪花
誰も見ていないのに視線を気にした
誰も聞いていないのに嘘をついた

雨が降っていないのに頬が濡れた
懐かしい歌声が風の間に流れた

忘れ物をしたようで落ち着かない

知らない明日が不安なのか
置いてきた昨日を忘れられないのか

水色の空と白い雲だけが浮かぶ
描き上げたばかりの風景も

いつしかイニシエの色に染まる

淡々と進むだけの時につかまり
落とされない様にしがみ付いた今

九十片

2022-02-23 | 雪花
好きでも嫌いでもない

普通とか中間とか
曖昧な言葉で片付ければ
安全な位置をキープできたとして

誰にもさとられず
賛同も否定もされずに
ひとりの中で静かに熱い息を吐く

そんな内側の楽園の
四季を問わずに咲く花は
涸れぬ心に大輪の夢を抱かせる

好きであり嫌いでもある


八十九片

2022-02-22 | 雪花
ひとつずつ形の違う結晶も
落ちる速度は気になって
手を繋いだ偶然を
楽しみながら空に舞う

昔々の物語
始まりと終わりが同じでも
続きの話は止まらない
そこで終わるはずがない

逞しい想像力と無謀な希望
未来の夢の中心に
置いて回すには重すぎて
よろけながら芯を探す


八十八片

2022-02-21 | 雪花
占いは信じないと言いつつ横目で見る

ニンマリしながらいつも通りを装ったり
ラッキーアイテムを探しに出かける

人の言葉に左右されたり
人と違う自分を恥じたり

弱いとか強いとか
簡単な単語で分けるものほど難しい

基準も無ければ公式も無く
調べて済む話じゃないから

今日をラッキーな日にするために
昨日の自分と希望を連れて

今の景色に自分を描こうと
何処までも透き通る君を重ねた


八十七片

2022-02-20 | 雪花
人数分だけ見え方があって
それぞれの思いはいろいろあって
区別できない見えない部分まで
分ける意味など存在しない

自分が感じた気持ちの中身を
違うとかダメだとか
否定してから改めるには
少しの時間と優しさが必要で

もう一度目をそらさずに
仙人の気持ちで判断するには
重い修業と無垢な心の鎧が要る

それらをすべて纏っても
天の高さを知りたいなら
心の中に大空を写す




八十六片

2022-02-19 | 雪花
誰かのために耐えた涙が
溢れてこぼれないように
ひとひらに涙をすくって
波紋の広がりを追いかける

淵から落ちたかなしみが
心のヒビにしみるなら
体温のやさしさに包まれて
静かに眠りにつけばいい

落し物は見つかりましたか
心の旅に終わりは無いから
合わせた手のひらの分だけ
拍手と祈りが届きますように