本来、会社法440条にて、定時株主総会終結後には遅滞なく貸借対照表の要旨を公告する必要があります。
一方、清算会社では、定時株主総会後の決算公告は不要となっております(509条1項2号)。440条の規定について適用しないこととなっているのです。
では、定時株主総会で期限付解散決議をしたような会社の場合はどうでしょうか。すなわち、3月決算の会社が6月25日の定時株主総会で6月30日をもって解散する旨を決議した場合です。
このような場合、定時株主総会終結をもって発生した決算公告義務が清算手続移行によってどのような影響をうけるのか、501条の解釈との関係で問題となってきそうです。
まず、期限付解散決議が有効か否か問題となりますが、期間が2週間以内であれば存続期間制度を潜脱する行為とまでいかないので、できるというのが実務上の扱いです。
では、本題の決算公告義務の取扱いはどうでしょうか。
(1)決算公告義務はないと考える根拠
509条本文が、440条の公告義務を「適用しない」としていることから、決算公告をする直接の根拠条文を欠くことになると解することができそうです。解釈としては509条は、440条より優先することとなります。
(2)決算公告義務はやはりあると考える根拠
440条にて、すでに義務が発生した以上、509条をもってしても当該義務が消滅すると考えることはできないと考えます。509条はあくまでも決算公告義務があらたに発生しないことを定めており、発生した義務の履行とは関係ないものと解釈することができそうです。
う~ん、私には難問…
では、(1)・(2)の解釈を採用する場合実務上、どのように取り扱ったらいいのでしょうかね。
続く
にほんブログ村 2013年7月12日 (金) 会社法その他 | 固定リンク
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コメント
継続した場合に過去の義務が発生するそうですから、解散後は逆にないのでしょうね。
投稿: みうら | 2013年7月12日 (金) 21時16分
会社法440条3項のみ清算中も適用があります。電子公告の場合は解散で打ち切りでしょうか。
投稿: みうら | 2013年7月13日 (土) 20時53分
http://sihousyositalaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-e3cb.html?cid=80111644#comment-80111644
一方、清算会社では、定時株主総会後の決算公告は不要となっております(509条1項2号)。440条の規定について適用しないこととなっているのです。
では、定時株主総会で期限付解散決議をしたような会社の場合はどうでしょうか。すなわち、3月決算の会社が6月25日の定時株主総会で6月30日をもって解散する旨を決議した場合です。
このような場合、定時株主総会終結をもって発生した決算公告義務が清算手続移行によってどのような影響をうけるのか、501条の解釈との関係で問題となってきそうです。
まず、期限付解散決議が有効か否か問題となりますが、期間が2週間以内であれば存続期間制度を潜脱する行為とまでいかないので、できるというのが実務上の扱いです。
では、本題の決算公告義務の取扱いはどうでしょうか。
(1)決算公告義務はないと考える根拠
509条本文が、440条の公告義務を「適用しない」としていることから、決算公告をする直接の根拠条文を欠くことになると解することができそうです。解釈としては509条は、440条より優先することとなります。
(2)決算公告義務はやはりあると考える根拠
440条にて、すでに義務が発生した以上、509条をもってしても当該義務が消滅すると考えることはできないと考えます。509条はあくまでも決算公告義務があらたに発生しないことを定めており、発生した義務の履行とは関係ないものと解釈することができそうです。
う~ん、私には難問…
では、(1)・(2)の解釈を採用する場合実務上、どのように取り扱ったらいいのでしょうかね。
続く
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コメント
継続した場合に過去の義務が発生するそうですから、解散後は逆にないのでしょうね。
投稿: みうら | 2013年7月12日 (金) 21時16分
会社法440条3項のみ清算中も適用があります。電子公告の場合は解散で打ち切りでしょうか。
投稿: みうら | 2013年7月13日 (土) 20時53分
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