この前、思い出したお話です。
Kちゃんという、27歳の女性がいます。
彼女は、子供の頃、曾じいちゃんと、曾ばあちゃんに大切に育
てられました。
両親も祖父母も小さい頃に他界していたそうです。
凄い運命を背負った人だなって、出会った頃は思っていましたが、
付合ううちに、ユニークな人間性に惹かれていきました。
ただ、一般的な言い方をすれば、「変った子」です。
挨拶できない、字がかけない、家事(料理や掃除)も出来ない。
出来ないんじゃなくてしないだけなんですが、普通の人が普通に
することをしようとしません。
彼女いわく、
曾じいちゃん達が、この子は生かさなくてはいけないと、思って
危険な事は一切させなかったそうです。
料理は刃物や火を使うので駄目。
知らない人に連れて行かれるといけないので、外では人に話しか
けては駄目。
小学校の頃、図工の授業で、誤って手を切ってしまい、
一週間入院させられたそう。
その傷は、とても小さいもので、担任の先生が必死になって
入院の必要はないと曾じいちゃんを止めたそうですが、
頑として聞き入れなかったとか。
そんな極端な子供時代を過ごしたせいか、感覚が凄くユニーク
な女性です。
でも、一般社会にはなかなか受入れられないらしく、まわりを
イライラさせています。
一緒に食事に行くと、お肉や魚料理の皿を他の人の目の前に
置きます。
曾じいちゃん達は、お肉を切り分けたり、魚の骨をとって
くれたので、人がそうしてくれるのが当然だと思っているのです。
決して悪気はありません。
もう一人、Yちゃんという25歳の女性がいます。
彼女は、国立大学を卒業後、商社に就職し、毎年いくつかの資格
試験にチャレンジしたり、音楽バンドを組んで定期的にライブを
したりして、傍から見ると、充実した人生を歩んでいるように
見えます。
同じ頃、私はこの2人と友達になり、一年間、仕事の手伝いを
お願いしていました。
Yちゃんはとても字がうまいので、お客様への宛名書きなどを
お願いし、Kちゃんにはコピーや資料のファイリングなどを
お願いしてました。
比べちゃ失礼ですが、
誰が見てもYちゃんの方が、優秀に見えます。
お客さんからも、アルバイトとはいえどうしてKちゃんのような
人に手伝ってもらうの?
とよく言われてました。
しかし…、
ある時、新商品が出たので、1千通のDM送付を2人にしてもらった
時のことです。
各5百通ずつ、分けて送信したのですが、Kちゃんが出した方のDM
のレスポンスが異常に高いのです。
しかし中身の内容は全く同じです。
不思議に思って、Kちゃんのルームシェアの友人にそのことを話した
ところ、
「それ、わかるような気がする」
と言うのです。
私は???全くわかりません。
その友人は、
「だってKちゃんは、『ちゃんと開けてくれますように…』
『良いお返事が来ますように…』『喜んでもらえますように…』
って、一つ一つ言いながら封をしてましたよ」
これには、ホント驚きました。
実験と言っては失礼ですが、その後、YちゃんとKちゃんに
フォローのFAXを送信してもらったら、これもKちゃんが送った
方のレスポンスがやっぱり高い。
見てるとKちゃんは一枚一枚の送信ごとに、声をかけていました。
相手に聞こえてなくても、言霊には力があるのでしょうか。
何か見えない力が働いているとしか思えません。
大切なことなら、小さな事でも気持ちを込める!
その気持ちを言葉に出す。
Kちゃんに教わった大きな教えです。