横田予防医学研究所

現代医学で原因未解明とされている慢性諸病は
今だ本当に解明されていないのか?
その答えを述べたいと思っています。

日本再生論(その52)

2011-11-28 18:38:27 | Weblog
 腐敗便研究の前駆者としては、パスツール研究所第三代所長を務められたイリヤ・メチニコフ博士(Elie Metchinikoff: 1845~1916年、ロシア生まれ。1908年に、『免疫の食細胞説を支持する研究』でノーベル医学生理学賞を受賞)がおられます。同博士は、『楽観論者のエッセイ』というタイトルのそのご著書の中で、“腐敗便が人畜の急死と短命の主因であり、ほとんどすべての病気及び死は腐敗便によって起こる”という学説を発表されています。
 私どもは、メチニコフ博士とその研究の発端は異なりますが、ほぼ同じ結論に到達しました。すなわち、酸性腐敗便学説は、メチニコフ博士の学説を理論的に証明する証拠をも提供したものであると私どもは確信しています。つまり、この酸性腐敗便の研究成果こそ、メチニコフ博士の指摘した『腐敗便の害』の正体(その害の原因物質や、その吸収により発症する病気の種類や、それぞれの病気発症のメカニズムなど)を詳細に解明したものだという結論に私どもは達しているのです。
 メチニコフ博士以降の20世紀前期に於いては、腐敗便や腐敗菌に関しての研究が多数の科学者によって盛んになされました。そして、様々な有害作用を持つ物質が産生されるなどの研究成果も得られています。しかし残念ながら、それが具体的に何らかの病気の原因というレベルの成果にまで結実しませんでした。
 70~80年ほど前までは盛んであった腐敗便研究でありますが、腸内には様々な菌が数多く存在し、この複雑な環境の中で起こる変化を調べることは至難でありました。結局は腸内で起こる変化は複雑すぎてブラックボックスのままが続くこととなったのです。

 酸性腐敗便を原因とする病気の問題を予防・治癒するに当たっては、これに関連する医療行為はもちろん医師の仕事の範疇です。しかし、慢性病の発症はそもそも、食生活を主体とする生活環境が密接に関連したことですので、個々人乃至個々のご家庭で実践可能な事が極めて多々あります(というよりも、慢性病の予防・治癒は個々のレベルが主体となって行うべきものだと私どもは確信しています)。
 現在は、個人レベルでの慢性病防止あるいは治癒ということに関して余りに様々な情報が巷に氾濫していて、どれを頼りとしていいのやら人々は混迷した状態にあるというのが現実の実態であると思われます(もちろん、それらの情報のすべてが間違っているというわけではありません。しかし、いついかなる場合に、どのような対処を行うことが適切であるのか、人々が迷うことなく指針とできるものが無いのです。とくに、平時は多少間違っている方法であっても、体力に大きな余裕がありますので、大きな失敗に結びつかないケースが大半です。しかし、危急時に於いては、少しのミスが致命的となりえます。この肝心な場合の情報が極めて欠如していると私は感じています)。
 したがって、人々がなるほど!と理解・納得できる科学的裏付けを伴った行動の指針の出現することは、極めて大きな意味があると私は強く確信しています。

 私はこのブログで何度か、酸性腐敗便学説を広く周知させることにより、慢性病罹患者を半減させることすら夢では無いと言ってきました。かつては伝染病(結核)でその原因が解明されたことにより、根本療法の諸手段が見つけられ、その死亡率を劇的に低下させ、ピーク時の百分の一以下にしえたという事実を見ました時、慢性病の場合も、その原因解明により、半減させるくらいの成果は十分望みうると私は考えているのです。
 なお、伝染病の場合に比べ遥か桁違いの成果しか得られないと私が考えている理由は以下に示す通りです。
 一つは、慢性病は、伝染病の場合のように薬剤の利用によって極めて劇的に予防・治癒することが望みえないということです。
 また一つには、食欲という欲望を一時的にせよ抑制することが治療(及び予防)の鍵となるのですが、これを容易に行えない人が圧倒的多数であるからです。もちろん現在は、慢性病の原因が医学界ですら未解明だとされておりますから、酸性腐敗便学説をご存知の方は極めてごく少数ですので、どういう時に、なぜ食べる事の欲望をコントロールせねばならぬのか、ほとんどの人々はご存知ありません。
 このような理解が進まぬ状態にあっては、一時的にせよ欲望をコントロールすることの意味を人々は納得できず、納得できない指示にしたがう人はほとんどおりません。また、私どもの患者さんですら、父の指示に十分したがわず、何度か失敗を繰り返す間にも幸いにして命を落とすこと無く、「やっと酸性腐敗便の害を理解できた」と述べた方ですら、時の経過と共に酸性腐敗便への注意を忘れ去って(あるいは、もう大丈夫と侮って)、心臓発作あるいは脳卒中で亡くなられたという方もおられます。

 人生の大半を占める平時には、上手く消化できて健康の維持・増進の根源であった食べ物が、非常時に於いては、それとはほとんど正反対の作用を持つ物質に変身し、その吸収により様々な種類の慢性病の発症原因になっていることが、現在もなお医学界を始めとするほとんどの人々の完全に盲点となってしまっております。そのため、なかなかこのことが人々に理解されにくく、そのために年間何千万人もの莫大な犠牲者が出て、それに伴って経費も莫大に掛かる状態となっているのです。
 物を知らぬということが原因で様々な怖い目に会うことがありますが、酸性腐敗便の問題はその中でも特別大きな存在であると私は確信しています。
 人々が酸性腐敗便のことを知らぬゆえに大きな問題が生じているのですから、このようなことの情報を大々的に知らせる必要があります。
学校教育の中で、健康の維持・増進に関連して、人体の構造や機能、食べ物に関する基礎知識を学びますが、人間の健康状態をつまづかせる主要な原因としてどのようなものが存在し、病気さらには死へと導く因子となっているのかを、各人の必須の知識とできるよう教え込む授業が是非とも必要だと私は考えています。