朝礼の話題

見たり読んだりして、感じたことを朝礼で話しています。この頃は仕事の話は少なくなりました。

土木と建築

2015-12-24 17:59:54 | 21世紀
土木と建築
2015/12/25
 三井住友建設のマンション沈下の報道を聞きながら、土木現場の現場監督だった私は、建築やと土木屋の違いを意識しました。
 土木は、道路や鉄道・飛行場・港湾設備・河川工事・トンネル・水路・水道・地下鉄工事など、種類の違う自然に密着した工事、一工区4kmと言う長い範囲の仕事、場所場所で皆違う条件で仕事をします。転勤する度に、転職したような雰囲気で、常に、その工事について勉強しなければ、まともな仕事は出来ません。
 現場の基本となる学問分野も、土質・地質学・水理学・コンクリート・構造力学・測量・施工計画・河川工学・鉄道工学など、現場現場で違ってきます。
 それに比べ、建築では、規模の大小に関わらず、同じ建築学のみで、処理できるようです。20階建てのビルでも、1階の工事を上に積み重ねるだけです。但し、職種が多く、内装・設備・塗装・外壁など専門職が活躍します。
 土木現場の現場監督は、施工内容についても、自分の責任として、下請け作業員を指導して工事を行います。出面(でずら=参加した作業員の数)をチェックし、支払がスムースになるよう、作業単価を決めてやります。
 若い頃から、下請けの親父さんから、「お店の番頭さん」と呼ばれ、不都合なことをしたりすると「お店の番頭さんがそれでいいのかい?」などとチェックされたりして、一体となって仕事をします。
 特殊な工事は外注しますが、地盤の薬液注入なども、使用材料の量などもチェックし、溶接・圧接などでは、破壊試験などして確かめます。
 ほとんどの仕事は、労務提供の土方・大工・鉄筋工などで行い、元受直営管理です。
 丸投げの外注工事など、ほとんどありません。
 建築では、職種ごとに、専門業者に外注します。
 土木工事では、周辺の地主たちとの渉外交渉も、施工責任者がします。事務屋さんが段取りしますが、技術者が説明して納得させます。騒音・ホコリ・排水処理・作業時間など、被害を与えることも多く、周辺との打ち合わせ、約束ごとも、建前の話でなく、実際の話をしなくては、前に進みません。施工距離の4kmもあるところでは、打ち合わせする集落は20か所にもなり、同一条件の扱いでなければおさまりません。
 施工の苦労も少々の事ではありません。
 建築工事では、被害を与える範囲も狭く、うらやましい感じもします。
 重機を使い、労務者を使うのは、同じですが、現場監督としては、土木工事の方が、仕事にどっぷり浸かってしまいます。サラリーマンと言うより、事業者として我が家の仕事と言う感覚でないと、務まらないです。
 私どもの時代の杭打ちは、ディーゼルハンマーで、騒音・振動で迷惑を掛けますが、打ち止めの管理などは、簡単なことでした。
 無騒音無振動を要求され、オーガーで穴を掘り、杭を埋め込む時代は管理も難しいでしょう? しかし土木現場ならば、現場監督が張り付き打ち止めは確認するでしょう。
 丸投げで管理も下請け任せとはしないです。
  土木屋は 何でも自分で やりますよ    建築は おんなじことの  繰り返し