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とつぜん上方落語 第13回 代書屋

 こんなことゆうたから、今回は「代書屋」である。上方落語の噺家で、「代書屋」の代表的な演じ手といえば、3代目桂春團治師匠と桂枝雀師匠だろう。この両師匠の「代書屋」は対照的だ。春團治師匠のは、きっちりした端整な「代書屋」枝雀師匠は自由奔放で破天荒な「代書屋」だ。いわば、春團治師匠のがクラシックだとするならば、枝雀師匠はアヴァンギャルドジャズといったところか。
 春團治師匠のが代書屋にポイントが置かれているが、枝雀師匠は客にポイントが置かれている。その客の名も春團治バージョンでは、河合浅治郎。枝雀バージョンでは松本留五郎。河合は春團治師匠の本名。一方、枝雀師匠は本名は前田。松本はどこから来ているのだろう。聞いた話では前田少年のおじいさんの名前だとか。この松本留五郎氏、上方落語きっての名キャラクターだと小生は思う。ボケキャラ。江戸落語では与太郎。上方落語では喜六といったキャラがあるが、枝雀師匠の松本留五郎氏は、ただたんにボケというのではなく、ぶれないボケというか、芯のあるボケっぷりが爆笑をさそう。この留五郎のボケにふりまわされる代書屋の混乱困惑がおかしい。この松本留五郎バージョンの「代書屋」は弟子の桂雀々さんがしっかり受け継いでいる。生年月日をいうのに「セーネンガッピ」といい、生年月日をいうてください「セーネンガッピ、ヲ」と、後半、ポン菓子のポンを「ポン」と大きな声でいうのには、いつも大爆笑する。
 で、河合浅治朗氏の職歴だが、巴焼き、下駄の減り止め売り、ガタロ。松本留五郎氏は巴焼き、下駄の減り止め売りは同じだが、ポン菓子をやっていた。巴焼きは回転焼きあるいは姫路あたりでは御座候ともいう。小生も作ったことがある
ガタロ。ガタロ=河童のことでんな。これは知らない人が多いだろう。春團治師匠は「河川に埋没せる遺失物を回収して生計をたつ」といったはる。今の川はそんなことはないが、昔の川にはいろんなモノが川底に落ちいていた。川の中に胴までの長い長靴をはいて入って、川底をさらって、クズ鉄や金属を集めて売って生活してた人がいた。これをガタロという。
 ポン菓子。これは小生の子供のころによく来ていた。機械をリヤカーに乗せておじさんがやって来る。町の路地なんかに機械を据えて、火を入れる。そこに米を持って、おじさんに渡すと、おじさん、機械に米を入れて圧力を加えつつゴロゴロゴロと米を炒る。そして圧力を一気に抜く。ポンと大きな音がして、機械の中でポン菓子ができているというすんぽうだ。
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コメント
 
 
 
Unknown (悠々遊)
2017-06-21 17:41:17
自宅から最寄り駅までの途中に、時々軽トラックに機械を積んでポン菓子屋さんがやってきています。
昔のように客が米を持ってきて、という風情ではないですが。
スーパー、コンビニ、至る所に菓子があふれている現在と違い、子供のころは駄菓子屋、紙芝居屋、ロバのパンなどとともに、子供の楽しみの存在でした。
 
 
 
悠々遊さん (雫石鉄也)
2017-06-21 19:08:30
へー、今もポン菓子屋さんが来るんですか。珍しいですね。
駄菓子屋、紙芝居、ロバのパン屋、なつかしいですね。
 
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