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SKAT.6


第44回宣伝会議賞実行委員会編      宣伝会議

 宣伝会議賞は宣伝会議(昔は久保田宣伝研究所といった)が毎年実施している広告コピーのコンテスト。キャッチフレーズだけが審査対象で原稿用紙に鉛筆だけで応募できる。広告関係のコンテストとしてはたぶん日本最大だろう。
 1962年に始まり2006年で44回を数える。第44回目は20万624本の応募があった。
 小生は昔、広告の勉強をしたことがある。少しの間だがコピーライターをやっていた。クボセンのコピーライター養成講座大阪校の17期生だった。「情熱の17期」のみなさん、お元気ですか。
 紆余曲折があって広告業界を去ったが、宣伝会議賞には毎年応募している。なんらかの結果を出すまで応募を続けるつもりだ。もちろんこの44回にも応募した。2作品だけ1次審査を通っていた。
 この「SKAT.6」は第44回宣伝会議賞に応募された作品のうちで、1次審査を通過した作品すべてが収録されている。
 553ページの本で、審査員のあいさつと協賛企業の課題紹介のページをのぞくと、あとはすべて応募された広告コピー。小さな活字で広告のコピーがえんえんと掲載されている。コピーや広告に興味のない人が手にしてもまったく面白くないだろう。しかし興味のある人にとってこれほど面白い本はない。
 1つの課題に対して実にたくさんの応募作品が掲載されている。一読してわかるのはのは人間の考えることはみんな同じ、ということ。同じアイデア同じ切り口の作品がいくつか並んでいる。さすがに賞に選ばれた作品は他と一味違うコピーになっていた。
 小生もさんざん頭を悩まして応募したからよく分かるが、人と違うことを考え出すのはいかに難しいか実感できる。

「こんにちは土曜日くん」 土屋耕一
「おいしい生活」     糸井重里
「おしりだって洗ってほしい」 仲畑貴志

 いずれも日本の広告史に残る名作である。土屋と糸井の作品はデパートの伊勢丹のコピー。特に土屋の「こんにちは土曜日くん」はわが国に週休二日制が定着しはじめた時代のもの。土曜日も買い物にいらっしゃい、ということをストレートに出さず、土曜日を擬人化してそれをデパートの広告に使うという発想がすごい。これらの作品は土屋、糸井、仲畑にしか作れないコピーだ。
 「SKAT.6」を読むと、小生の作品も含めて、死体が累々と転がる戦場を思わせる。それも同じ所に同じ弾を受けた死体ばかり。なかには虫の息でまだ生きている作品もあるが。大虐殺の弾丸の嵐をくぐり抜けて生き残るのは大変だ。今年こそがんばろう。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (Unknown)
2009-06-24 01:19:38
大雑把な質問で恐縮ですが・・・。
二次審査の通過コピーと、一次通過のコピーの出来の差がよくわかりません。
一次と二次通過のコピーを全部いっせいに見せられたら、どれが二次通過のものか多分、わからないと思います。
二次まで進むのは、基本的に何が優れていると考えられるのでしょう。さすがに、最終ノミネートや入賞しているものは、何か違うと思えるのですが・・・。
 
 
 
Unknownさん (雫石鉄也)
2009-06-24 04:29:22
正直、私もよくわかりません。
ただ、2次のモノは1次のモノに比べて、少しだけ広告になっているような気がします。
コピーは川柳や俳句と違い、必ずクライアントがいます。そのクライアントのビジネスを支援するのがコピーです。自分自身の表現だけにこだわっていてはダメです。そのへんのビジネス感覚を持つ必要があります。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2009-06-28 00:00:39
当たり前ですが「広告になっている」のがポイントですね。
その選球視力はまだ当分あがりそうになりですが意識してみます。
ありがとうございました。
 
 
 
Unknownさん (雫石鉄也)
2009-06-28 08:48:14
詩、俳句、川柳、短歌などの文芸の場合は、「作品」を創っている意識で、創作者の頭の中は「自分」があればいいのです。
コピーの場合は、「仕事」を遂行している意識で、クリエイターの頭の中は「クライアント」がいなければいけません。
それから、名のってください。ネットの中のことですから本名を名乗る必要はありません。
ハンドルネームでもいいですから、なんらかの名を名乗るべきです。Unknownでは失礼ですね。
 
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