とつぜんコラム №185 あの小学校のモンダイ

　大阪の豊中で、なんたらいう幼稚園を経営しているおっさんが、あらたに小学校をつくろうと目論んで、国有地を買った。その買値がベラボーに安い。ただ同然である。こりゃなんぞあるに違いないと、何かと話題になっている。なんでも8億円も値引きしてもろたそうな。売った近畿財務局はゴミ撤去費用のぶんを差し引いたなんぞといってるが、どうも怪しい。近畿財務局にどこぞから、なんぞ圧力をかけたヤツがいるに違いないというわけ。
　このおっさん、かの「日本会議」のメンバーで、小生なんざ、絶対にお近づきになりたくない考え方のおっさんで、おっさん経営の幼稚園では教育勅語を暗誦させ、「アベさんがんばれ」なんぞと園児に叫ばしておる。で、開校をもくろむ小学校の名誉校長にアベアキエがなっておった。さわぎになってアキエ夫人は、あわてて名誉校長を辞めたが、さわぎにならなかったらアキエ名誉校長が実現してたのではないのか。
　アキエの夫、シンゾーは、国会で追及されると「妻は私人」なんぞといっておるが、アキエはシンゾー総理の妻ということで、くだんのおっさんが近づき、知り合いになり、講演を頼んで、こんどできる小学校の名誉校長をお願いしたのだろう。これが、総理の妻ではなく、そのへんのおばさんではあるが、人柄、見識、能力などが申し分のない人がいたら、どうだろう。おっさんは名誉校長を頼んだだろうか。アキエ夫人がどのようなご仁か知らぬが、アキエ夫人の人柄見識にほれ込んで名誉校長を頼んだのではあるまい。首相夫人という肩書きにほれ込んだろう。これでアキエは完全な私人とはいまい。
　このモンダイ、疑惑の宝箱みたいに、いろんなことがゴソゴソでてくる。推薦枠を取ったという中学校が、そんなことは知らん。ウチの名前を勝手につかうな。とか。国から買い取る前は、この土地は借りもんだった。その借り賃を未納だった時期がある。とか。なんだかんだとモンダイ山積で、これじゃ小学校の開校の認可はとてもできないと、大阪府のタカジンみたいな府知事がいっている。これ、土地をベラボー値段で買ったことがバレたから、いろいろあって開校認可不可の流れになっておるが、もし世間にバレなかったら、ゴミの埋まった小学校が開校し、アキエ夫人が名誉校長で、運動会で生徒たちに「アベさんがんばれ」と叫ばせていたのだろうか。
　しかし、このモンダイ、日本の、選挙前の有権者→政治屋→役人という三すくみの構造がよくあらわれている。政治屋は有権者（選挙前だけ）にへいへいゆう。役人は政治屋にへいへいゆう。政治屋が有権者にへいへいゆうのは当然である。連中はわれわれ有権者の代弁者にすぎないのだから。わからんのは役人がなんで政治屋にへいへいゆうのか。このたびのモンダイでも、まあ、普通に考えて、だれぞ政治屋が近畿財務局になんらかの圧力を加えたのだろう。また、たとえそうでなくても近畿財務局が、政権に近いスジに気を使って、土地取得に便宜をはかったのかも知れない。これって三権分立の原則に反してるのではないのか。政治屋は立法である。近畿財務局は役所だから行政である。立法の人間が口をさしはさんで、行政をゆがめること許していいものだろうか。
この小学校、神道の小学校でアベさん好みの小学校。で、これが、もし神道ではなく、マルクス・レーニン主義を標榜する小学校であったのなら、格安で土地を取得できたのであろうか。
　土地も取得し校舎も建築中だ。当然、職員の募集も終わっているだろう。「名誉」がつかない校長や先生方も決まっているだろう。中にはそれまで勤めていた学校をやめ、くだんのおっさんの小学校の先生になる予定のご仁もいただろう。不認可ということになれば、そういう人たちの生活はそうなるのだろう。