なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

MAC

2018年02月28日 | Weblog

 先週末にICN(感染管理認定看護師CNIC)から、「結核疑いの入院患者さんがガフキー5号でした」、と報告が来た。「個室隔離でPCR待ちです」という。

 食欲低下して元気がないと入院していた。医局の先生の関係者(奥さんの母親)で、以前からのかかわりで、外科の先生が主治医になっていた。入院後は食欲も出ていた。入院後に少量の喀血があり、大学病院から呼吸器科外来に来ている先生にコンサルトしていた。

 胸部X線・CTで気管支拡張症があり、喀血はそこからでしょうと診断された。非結核性抗酸菌のMAC疑いで、抗酸菌検査がオーダーされていた。結核疑いではなく、正しくはMAC疑いだった。結核も否定はできないが。

 画像を確認すると、確かに左葉舌区に気管支拡張がある。右葉下葉にも気管支拡張があり、斑状影もあった。これは結核よりはMAC疑いの画像のようだ。

 PCRの結果は結核菌陰性でM.intracellulare陽性。治療はコンサルトした呼吸器科の先生にお任せだが、本格的に3剤で治療できるのだろうか。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

皮下血腫

2018年02月27日 | Weblog

 後天性血友病の73歳女性が、先月右下肢の腫脹で外来を受診した。外見上は壊死性筋膜炎と思われて、大学病院救急部に搬送した。大学病院でテデブリドマン手術が行われたが、診断は皮下血腫ということだった。

 でっきり下肢切断かと思ったが、デブリドマンと切開などでコンパートメント症候群も軽快して、創部に健側大腿の皮膚移植が行われていた。術後のリハビリ(すっかり寝たきり状態)と創部処置(皮膚科に依頼)目的で昨日当院に戻ってきた(民間救急車)。

 皮膚科医に、「皮下血腫だけで、搬送時のような多発性水疱ができますか」と訊いてみたが、「う~ん、どうでしょう」という返事だった。確かに受診時に炎症反応が上昇してないのは気になったが、プレドニン内服もあり、遅れて上がってくるのかとも思った。皮膚科の処置がメインになるので、便利なように皮膚科の病棟の入院にしている。あとはリハビリスタッフにおまかせ。

 後天性血友病の方はプレドニン30mg/日になっていて、ゆっくり漸減して15mg/日を目標にして下さいということだった。

 

 昨日の夜間に、内科クリニックでの糖尿病治療を中断した87歳女性が救急外来を受診した。症状はめまい・嘔気で、当直の外科医が対応して、頭部MRIは異常なかったと連絡が来た。血糖423mg/dl、HbA1c12.8%で、Hb15.9g/dlと脱水症による血液濃縮を認めた。意識は清明で、血糖のことがなければ帰宅にするくらいだったという。

 入院にしてもらって、まず点滴(ソルアセト)だけで経過をみることにした。血糖は2時間後に350mg/dlで、朝には320mg/dlになっていた。症状は軽快して、食事もできるというので、点滴は継続して通常のインスリン強化療法を開始した。この年齢だと、経口血糖降下薬はDPP4阻害薬しか使えないので、後はインスリンになる。ご本人はできそうもないので、同居しているむすこ夫婦に頼むしかない。BOTくらいならやってもらえそうだ。

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

対麻痺

2018年02月26日 | Weblog

 早朝救急外来に25歳男性が搬入された。当直医(大学病院からのバイトの外科医)が対応して、引き継ぎの外科医から内科にコンサルトされた。

 特に既往歴はない。午前2時ごろに右胸部重苦感が出現して、両下肢のしびれと脱力を自覚した。30分くらいで症状が治まって、そのまま寝たそうだ。すると午前4時ごろにまた右胸部重苦感が出現して、両下肢のしびれと脱力もあった。胸部症状は軽快したが、しびれと脱力は続いていた。横臥した姿勢で、両下肢がわずかにしか持ち上げられない。転換性障害を疑うような患者さんではない(個人の印象)。

 心電図は異常がなかった。胸痛と対麻痺とくれば、急性大動脈解離で脊髄動脈を巻き込んだことが想起されるが、25歳であるだろうか。胸部X線(臥位)で大動脈弓の陰影が濃い?ようにも見えるが、縦隔の拡大はない。

 今日は神経内科の外来があり、大学病院の若い先生が来ていた。病状を伝えて診察を依頼して、まずは大動脈病変の確認ということで胸腹部造影CTを施行したが、異常はなかった。

 神経内科医の診察を見せてもらった。脳神経症状はなかった。対麻痺は右側が強い。両上肢の違和感も訴えたが、明らかな脱力はない。腱反射の亢進とは言えないが、両側に病的反射を認めた。脊髄梗塞でしょうか、ということだった。脊髄硬膜下(外)血腫なども考えられるが、睡眠中の発症で外傷はない。

 地域の基幹病院に紹介することになり、神経内科医が電話してくれた。話ぶりから向こうの神経内科医は親しい先生だったようだ。脊髄のMRIを見てみたかったが、救急搬送が先なので、お任せすることにした。どのような診断になるのだろうか。

 日曜日に入院した3名の高齢女性と、大学病院から転院してきた高齢女性の計4名の新規入院の指示出しがあり、午前中から忙しかった。明日も転院予定があり、下請け業務は盛業だ。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肝機能障害その3

2018年02月25日 | Weblog

 金曜日の午後に甲状腺外来を診ていた外科の先生から内科コンサルトがあった。バセドウ病で通院している20歳女性の検査で肝機能障害があるという。外来にお邪魔した。

 この患者さんは8年前から通院しているが、メルカゾール15mg/日の投与が続いていて、放射線治療も考慮しているという。ふだんは毎回生化学検査全般を出しているわけではないが、その日はそういう事情で生化学検査も行われていた。訊けば少しだるいかもと言うくらいで、検査していなければ、そのまま自然軽快したかもしれない。

 2~3日前から鼻汁・咽頭痛があったそうだ。その時点では咽頭違和感くらいで、発赤・白苔はほとんどなかった。後頸部リンパ節は小指頭大くらいには触れる。白血球数10800と上昇していて、リンパ球が66.0%で異型リンパ球9.0%だった。AST188・ALT225・ALP568・γ-GTP233・総ビリルビン0.4と中等度の肝機能障害だった。

 まあ年齢的にはEBウイルスでしょうということで、一応肝炎ウイルスとEBV・CMVの検査を提出して、1週間後再検とした。まあ、名もなきウイルスかもしれないが。外科だから基本的には甲状腺腫瘍を診ているが、甲状腺外来ということで、バセドウ病や橋本病まで診ているのだった。お疲れさまです。

 

 

 

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肝機能障害その2

2018年02月24日 | Weblog

 木曜日の夜間に救急外来を受診した85歳女性は、炎症反応上昇と肝機能障害を認めた。腹部CT(単純)では著明な脂肪肝があった(胆嚢結石も)。なかなかここまでの脂肪肝はないと思いがら画像をみていた。肝機能はAST205・ALT61・ALP922・γ-GTP209・総ビリルビン2.6。単純性脂肪肝というより、脂肪肝炎が心配になるが、肝硬変とは言えない。

 発熱と炎症反応上昇があり、腹痛・肺炎像がなく尿混濁があることから、尿路感染症(急性腎盂腎炎)として当直医(外科医)主治医で入院となった。抗菌薬が開始されたが、経過をみて内科も治療に参加することにした。

 

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肝機能障害その1

2018年02月23日 | Weblog

 昨日他院からの紹介で入院した、大腿骨転子部骨折の88歳女性のことで、整形外科から内科コンサルトがあった。今日手術予定だったが、昨日の血液検査で肝機能障害を認めて、今日再検しても同程度か少し悪化していたので(AST・ALTが100から130くらい)、手術は延期したそうだ。

 紹介先の病院の検査結果はγ-GTPが100ちょっとで上昇しているが、AST・ALT・LDHは正常域だった(ALTとビリルビンは測定なし)。HBs抗原・HCV抗体は陰性。単純CTは施行されていたので確認すると、脾腫があり、門脈系が全体的に拡張しているように見える。腹部エコーを追加すると、肝表面はsmoothではなく、軽度に凹凸があるようだ。肝内部エコーはcoarseと表現されていた。胆道系は異常がない。SOL(HCCや転移性肝腫瘍)もない。

 うっ血肝でもなく、薬剤性は可能性はあるが否定的だ。画像所見からも慢性肝疾患が隠れているように思える。血小板が10万弱だった(紹介先の結果は14万)。自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎の検査(ANA・AMA)を提出して、とりあえずSNMC40ml静脈とウルソ内服で経過をみることにした。

 

 

 

 

 

コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

総胆管結石、急性胆管炎

2018年02月22日 | Weblog

 早朝に69歳男性が心窩部痛で救急外来を受診した(当直医は整形外科の若い先生)。普段は糖尿病・高血圧症で内科外来に通院していて、HbA1cは5.9%と良好だ。腹痛はブスコパン注で軽快した。

 37℃台の微熱があり、血液検査で肝機能障害を認めた。腹部エコー、腹部CTで胆嚢が腫大しているようだが、明らかな結石は指摘できなかった。炎症反応は陰性だが、時間の問題のようだ(発症早期)。胆嚢炎として、院内で待機していた外科医に連絡がいって、外科入院となった。

 入院後に40℃の高熱になって一時的に血圧が低下した(意識は清明)。点滴で回復したところで、予定されていたMRCPを行うと総胆管下部に結石が1個あった。総胆管結石・急性胆管炎(閉塞性化膿性)と診断はついた。それにしても、時間が経っても画像上胆道系の拡張がみられないのが不思議だった。内視鏡治療のできる病院にお願いして搬送になる。

 

 1か月前、85歳女性が休日に頻脈性心房細動・心不全で受診した。当直医の外科医(大学病院からのバイト)は心臓血管センターのある病院に救急搬送した。この患者さんは精神発達遅滞(会話不可・全介助)があり、施設に入所している。

 治療により症状軽快したが、経口摂取ができなかった。とりあえず、抗不整脈薬・抗凝固薬投与の問題もあり、NGチューブからの経管栄養を行って当院に転院してきた。覚醒の問題もあり、入院前からしだいに進行していただろう嚥下障害もあり、経口摂取は無理と判断された。今後どうするか(胃瘻操設?高カロリー輸液)家族と相談するしかない。

 昨日の夜間に発熱があり、肺炎疑いで今日検査(胸部X線、血液検査)をすることにしていた。朝病室に診に行くと呼吸が弱い。脈拍は普通に触れた。末梢の静脈から採血できそうもないので、動脈から採血しようと病室に戻ったところで、心肺停止になった。心肺蘇生術を行って、心拍は戻って血圧測定できるのようになったが、自発呼吸は戻らなかった。人工呼吸器につないだが、しだいに心拍数・血圧が低下して、結局死亡確認に至った。

 遠方から責任者になっている甥御さんの家族が来てくれた。午前中救急当番だったが、救急隊からの搬入依頼が来なくて助かった。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

HCV抗体陽性、3日連続救急要請

2018年02月21日 | Weblog

 整形外科医からHCV抗体陽性の患者さんのことで相談された。昨日46歳女性が左橈骨遠位端骨折で入院して手術を受けた。今日には退院して外来で抜糸予定となった。入院時の検査でHCV抗体が陽性と判明したという。

 輸血歴はなかった。妊娠した時にHCV抗体陽性を指摘されていたが、特に精査・治療は受けていなかったそうだ。肝機能はほぼ正常域だった。HCV・RNAとHCVgroupingの外注検査を提出した。腹部エコーで肝臓は辺縁平滑で内部エコーも異常がない。SOL(HCC)もなかった。

 整形外科外来に来た時に外注検査の結果をみて、肝臓専門医のいる基幹病院消化器内科に紹介することにした。それにしても今時まったく精査治療を受けていないHCV陽性の患者さんは珍しい(治癒してはいないと思う)。

 67歳女性が午前3時過ぎに救急搬入された。当直医は外科の先生だった。頭部MRIで右被殻~放線冠のラクナ梗塞を認めて神経内科に入院した。これだけだと普通だが、実はこの方は一昨日、昨日、本日と3回救急要請されていた。

 一昨日路上で動けなくなっているのを通りかかった人が発見して救急要請したそうだ。救急隊が到着した時は歩行できるようになっていて、救急搬送を希望しなかったので、救急隊は帰った。

 昨日も自宅で動けなくなったと救急要請した。救急隊が到着した時は歩行できるようになっていて、ま搬送を希望せず、救急隊は帰った。そして今日も救急要請して、今日は動きが悪かったので当院に救急搬入された。症状は左不全半身麻痺だった。

 これはTIAが2回続いた?。MRAでは両側中大脳動脈の起始部に狭窄があるから、ありえなくはないか。不思議な経過だった。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

炎症反応がひっかかった

2018年02月20日 | Weblog

 クリニックからの紹介で38歳女性が受診した。血液検査上の炎症反応上昇が問題だった。

 4年前から体外受精を希望して、有名な産婦人科病院で治療を受けていたが、成功しなかった。それで2年前から別のARTクリニックに通院することにした。スクリーニング検査として行われた血液検査は、2年前は異常がなかったが、昨年11月は異常を認めた。白血球数11000、CRP1.1と微妙なものだった。発熱はない。「内科を受診すること。この値では不妊治療はできない。」と言われた。

 そのころに感冒症状(鼻汁・咳・発熱)が出て、他の症状は治まったのに咳だけが続いた。近くのクリニックを受診して処方を受けたが、咳は遷延して、結局2か月弱で症状が消失した。抗菌薬がミノマイシン・レボフロキサシン・ジスロマックと次々に処方されたが、効果はなく、自然経過で治ったようだ。血液検査の異常値も同程度で続いていた。

 今日受診して、何か気になる症状はと訊くと、朝に両手がこわばるという。時間は30分くらいらしい。以前から自分でも自覚して、他の人にも言われるのが、手が腫れているということだった。体格が良くて体重はけっこうあるが、体重が変わらないのに結婚指輪はきつくなったというので、有意なのだろう。両手指は少し硬くなっているようだ。ソーセージ様の腫脹とは言い切れない。診察室で見た手指は普通に赤みがかっているが、自分としては赤く見えるというので、寒いところでは白くなるのだろうか。

 血液検査では、白血球数9100、CRP1.3と、これまでとほぼ同程度の値だった。血沈46mmHg/時。他の生化学検査は正常域だった。印象としては強皮症が疑われた。リウマチ膠原病の外注検査を提出して、2週間後に外来予約とした。異常がない時はどうしようかと思ったが、高次医療機関に紹介するしかない。

 もうひとり別の医院から紹介された83歳女性は、昨年11月から顔のほてりと微熱が続くということだった。程度は変わらないという。漢方薬などを処方されたが、効果がなかったそうだ。もともと心気症の傾向があり、見た目は元気そのもので、付いてきた夫は「すぐ気に病むから」と言う。

 血液検査は極々わずかにひっかかるが、やはりこれといったものはない。何か隠れている可能性はあるが、積極的に検査をする気にはならなかった。1か月経過をみてもいいですかと訊くと、それでいいと言う。途中で症状に変化がある時は早めに受診してもらうことにした。

 診断力ないなあ。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

糖尿病治療の請負い

2018年02月19日 | Weblog

 先週末、地域の基幹病院神経内科から当院の回復期リハビリ病棟に、76歳男性が転院してきた。30年来の糖尿病があり、HbA1cが9.2%だったので担当の神経内科医から糖尿病治療を依頼された。

 基幹病院の糖尿病外来に通院する前は、遠方の総合病院に通院していた。担当医を聞いたところ、どちらの病院でも知り合いの先生が担当していて、特に遠方の先生はずっとお目にかかっていないので懐かしい。

 この患者さんは昨年末に回転性めまいで受診したが、頭部MRIで小脳脳幹部病変は認められなかった。そこで良性発作性頭位めまい(BPPV)として耳鼻咽喉科に入院した。ところがめまいはずっと続き、2週間後の年明けに頭部MRIを再検すると両側小脳に脳梗塞を認めた。そこて神経内科に転科となったという経緯だった。普通は症状が続けば、翌日か3日後には再検するような気はするが、まあ後からは何とでもいえる。

 急性期の治療(すでに過ぎているが)とリハビリもして退院といわれたが、まだ歩行に自信がなくて退院できませんということで当院に回された。現在平行棒と歩行器を使用して歩行訓練をしている。経営的には個室希望のありがたい患者さんだった。

 糖尿病の処方はトレシーバ少量とDPP4阻害薬だった。まだ空腹時血糖も高いので、まずBOTのままトレシーバを増量していって、空腹時血糖が改善しても食後血糖が高い時は強化療法にすることにした。

 昨日の日曜日に呼吸困難の90歳男性が救急搬入された。住所は基幹病院のすぐ近くだが、ベット満床で受け入れできなかったのだろう。大動脈起始部から右総腸骨動脈までの急性大動脈解離だった。

 心不全で入院した既往があり、家族は延命処置は希望しないと決めていたそうだ(右下肢切断術後でもある)。心臓血管外科のある病院への転送はせず、当院入院で経過をみることになった(DNR)。(腎機能から造影は不可能ではないが、CTは単純だけ)入院後に昇圧薬が使用されたが、血圧低下が改善していないので、搬送の適応はなかったのだろう。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする