なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

前回のドクターG~微小血管狭心症

2016年04月30日 | Weblog

 NHKの総合診療医ドクターGをできるだけ全部みるようにしている。前回のドクターGは岡山大学の片岡仁美先生で、微小血管狭心症の症例だった。微小血管狭心症、知りませんでした。

 冠動脈造影で描出されない100μm以下の微小冠動脈の機能異常で胸痛・心筋虚血が起きる。閉経期の女性に多く、エストロゲン減少が関与する。症状は労作時、安静時に起きる。硝酸薬に対する反応は半数以上で不良だそうだ。冠攣縮性狭心症に合併することもある。治療はCa拮抗薬。

 番組では、研修医がすぐに狭心症と判断した。その後に、何か所かの病院を受診して異常なしとされたことや、心因性の要素が大きいようなエピソードがあり、精神的なものという判断に変わった。そして最後に、あまり医師の間でも認識されていない病気となった。

 これまで診たことがあったのだろうか。動悸ではなく、はっきりした胸痛・背部痛が発作的に起きるという訴えだと、心因性で片づけることはない。受診時の心電図で虚血性変化がなければ、ホルター心電図は行う。最近だと、冠動脈CTを行う。冠動脈の狭窄がなければ、冠攣縮性狭心症疑いとして、循環器科と相談してCa拮抗薬を処方して経過をみるか、そのまま循環器科に紹介する。Ca拮抗薬が効けば、そのまま冠攣縮性狭心症(診断は違うが)として治療を継続するだろう。

 循環器科の若い先生に訊いてみたが、治療で使用するCa拮抗薬は、ヘルベッサーRを使う派とコニールを使う派があるそうだ。東北大学の下川教授はコニール派とのこと。それにしても、今時は一般向けのテレビ番組で知らない疾患を勉強するというのが面白い。

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今日は日直

2016年04月29日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。東北道の下りが朝から混んでいて、連休スタートを実感して病院に来た。結局救急搬入は1例だけ。高熱の87歳女性だった。酸素飽和度は91%(室内気)。今朝からの急な発熱で、インフルエンザかと思ったが、迅速試験は陰性だった。胸部X線でははっきりしなかったが、胸部CTで左肺に斑状影が散在していて、肺炎だった。

 当番医の先生が内科系外科系とも割と人気のある先生方で、そちらを受診したのかもしれない。全体的に受診は少なく、小児科の喘息発作が数人いた。1週間前から発熱と少しの咳が続いていた4歳男児が、昨日から39℃台になって受診した。鼻汁もあって、最初は耳鼻咽喉科医院を受診していたが、一昨日当院の小児科を受診した。胸部X線で肺炎はなく、血液検査はウイルス感染を示唆するものだった。各種迅速試験が出されたが、いずれも陰性だった。患児はぐったりしているわけでもなく重症感はないが、母親が心配してインターネットでいろいろ調べたらしい。入院させてほしいという希望があり、小児科の先生に連絡して入院で経過をみることになった。再検査でも、ウイルス感染だろうと思う結果だった(白血球7000、CRP0.9)。4月から幼稚園に行き始めたはかりという。

 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)から膵癌が発症した90歳男性は、1か月前から食欲不振と背部痛で入院していた。癌性疼痛にフェンステープを使用して、点滴とステロイド投与で経過をみていた。1週間前から、毎日夕方になると家族を呼んで外泊を続けた。水分を少しとるだけで、まったく食べないので迷ったが、家族と相談していったん退院とした。昨日退院して、今日外来に点滴に来院した。連休中は来院した時にはすぐ点滴ができるように入力しておいた。2~3日に1回は来るかと予想している。本当は往診して点滴してくれる先生がいればいいのだが、地域の開業医の事情で難しく、当院外来での点滴とした。

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連休直前に

2016年04月28日 | Weblog

 夕方放射線科の先生から電話が来た。内科医院からの紹介で頭部CTを行ったところ、小脳出血だったそうだ。内科医院に電話で報告したが、当院から脳外科のある病院に送って下さいと言われたという(それはそうだ)。

 患者さんをすぐに救急外来に移して下さいとお願いして、救急室にいると誰もいなかった。救急室の前にある患者さんの家族が待機するところにいたのが、その患者さんだった。立ち上がるときにふらっとするが、まあほとんど普通に歩行できる。血腫自体は1cm程度だが、周囲に浮腫があった。頭痛・嘔気はない。

 3日前に入浴して上がった時に、ふらつきを感じて、嘔吐したという。翌日の夕方にかかりつけの内科医院を受診した。症状が続くので、今日当院の放射線科に頭部CTの依頼があった。内科や神経内科に直接紹介ではないので、念のためというつもりだろう。すぐに当地域の基幹病院の脳外科医に電話したところ、快く引き受けてくれた。高血圧症で通院していて、普段も140くらいというからやや高い。今日は血圧が210/110mmHgと高かった。ストレチャーに横にして、血管確保・ペルジピン静注を行った後に、救急搬送した。

 搬送の手続きをしている時に、その前に救急搬入の連絡が入っていた70歳女性が来た。COPDがあって、体動時の息切れを訴えるが、いっこうに喫煙をやめない方だった。肥満による肺胞低換気でもある。死んでもタバコはやめないと言う。穏やかな感じでやめないという患者さんは、まずやめない(たぶん)。37℃台の発熱と炎症反応上昇があった。胸部X線を半座位で撮影したが、明らかな肺炎像はなかった。横臥するとよけいに呼吸困難になり、呼吸が止まりそうになるため、横臥しての胸部CTは撮影しなかった。

 救急隊到着時に酸素飽和度が60%台で、酸素8L/分で搬入してきた。連絡がきた時には酸素3L/分で90%というので、そのまま来てもららったが、途中で随分と上げていた。PaO2が138、PaCO2が78、pH7.2で呼吸性アシドーシスだった。酸素飽和度が90%前後になるように、94%以上にならないように酸素量を調整した。東京に姉がいるそうだが、昨年同様の病状で入院した時も病院には来なかった。独身で当地に身寄りはいない。今日は近所の方が、姿を見かけないと自宅に行って発見したそうだ。東京だったら、そのままいわゆる孤独死になるのかもしれない。田舎は近所の付き合いがあっていい。躁うつ病で精神科医院にも通院していた。明日診て内服できそうなら、当院で処方できる同効薬を処方することにした。

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みるみる心電図

2016年04月27日 | Weblog

 感染管理加算の疑義照会が緩和された。院内の巡回は全員で行うことが望ましく、少なくとも2名以上で行うこと、少なくともリスクの高い病棟を毎回巡回し、それ以外の病棟についても巡回を行っていない月がないこと、となった。まあ、そうでしょう。

 MCA領域の脳梗塞を発症した89歳は3回目の脳梗塞で、寝たきり状態で発語もなく、到底食事摂取できない状態となった。けっこう痰の絡みも多く、胃瘻造設の適応はなさそうだ。家族と相談したが、高カロリー輸液で経過をみることになった。息子さんは患者さんが通院していた町立病院(病床のほとんどは療養型病床)の担当医に、落ち着いたら入院治療をお願いしますと挨拶してきたそうだ。

 誤嚥性肺炎で入院して抗菌薬投与で治癒した85歳男性も、嚥下訓練を開始したが、到底経口摂取できそうになかった。以前からの嚥下障害が進行していた。認知症で発語はほとんなく、寝たきり状態だった。今日家族と相談したが、胃瘻造設は勧めないことをお話した。さて高カロリー輸液にするかどうかだが、考えて返事しますということになった。

 高齢者のこうした認知症の進行あるいは脳梗塞後遺症での嚥下障害に対して、どう治療するかは正解がない。あまり濃厚な治療は勧めないという指診はあるが、個別に決めなければならない。

 村川裕二先生の(田宮栄治先生との共著)「みるみる心電図」を読んでいる。教科書というよりは、楽しい読み物。洞性頻拍のように見えるが、心拍数が高い心電図所見が出ていた。洞性頻拍で予想される最大心拍数は(220ー年齢)/分で、それ以上の心拍数では不整脈による頻拍だそうだ。症例は心拍数150/分で、PSVTだった。安静時150分では洞性頻拍とはとらないが、以前140/分の患者さんがいた。違和感があるが、形的には洞性頻拍だった。その後心拍数160~180/分になってPSVTだった。頻拍ではまずP波やF波を探す。Ⅱ・Ⅲ・aVFとV1誘導で見るが、P波は丸く、F波はギザギザと尖っている(はっきりした定義はないそうだ)。心房粗動(AFL)のF波はT波に隠れているので、そこに注目して読む。ギザギザ感がポイントだそうだ。カバーにある通り、みるみるわかるかどうかは別にして、みるみる楽しくはなる。

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わからないことが多い日

2016年04月26日 | Weblog

 整形外科の若い先生から、両側の肩から上腕にかけて疼痛のある70歳男性のことで相談を受けた。昨年の12月から上肢のしびれがあったというが、それは関連するかどうかわからない。1か月くらい前から両側の肩から上肢近位の疼痛があり、近くの病院から当院整形外科へ紹介された。この方は当院皮膚科に尋常性乾癬で通院治療している。

 朝のこわばりは、訊かれればあるようなということで、はっきりしない。両側手指の症状はなかった。下肢の症状はなく、すたすたと歩いているそうだ。発熱もなかった。両側上肢の拳上が痛くて十分できない。リウマチ性多発筋痛症を疑ったということだったが、上肢だけというのはあるのだろうか。血液検査は、白血球数7600、CRP4.2で軽度に上昇していた。血沈はとっていなかった。リウマトイド因子は陰性で、抗CCP抗体が陽性だった。頸椎症疑いとして、頚椎MRIを検査して頚椎脊柱管狭窄(軽度らしい)という読影レポートだった。

 これは何でしょうかと訊かれたが、わからない。直接診察してもわかる気がしなかった。他院のリウマチ膠原病科外来に紹介してもらうことにした。

 2週間前に施設嘱託医の紹介で受診した88歳女性は、認知症で訴えが把握し難かったが、どうも後頸部が痛いらしいと判断された。発熱はなかったが、首を動かすと痛がった(もともと固いのでたぶん)。白血球数12000、CRP20とけっこうな炎症反応上昇だった。手関節や膝関節の(新たな)症状はない。意識は清明(たぶん)。頸椎偽痛風を疑って頸椎CTで歯突起周囲の石灰化をみようと思ったが、なんだかあるようなないようなで、はっきりしない。NSAID(セレコックス)で経過をみたが、今日は症状も消失して、採血で炎症反応陰性となっていた。まあ治ればいいか。

 日曜日に入院したインフルエンザ+肺炎球菌肺炎の患者さんは解熱してきて、炎症反応も少し低下はしてきた。ただし入院時から上昇していたCKが、入院さらに上昇した。筋肉痛の訴えはないが、屋外で倒れているところを発見されたという経緯なので、横紋筋融解なのか。骨格筋由来の酵素以外に肝機能障害としても目立つので、多臓器の障害を伴う肺炎なのか、抗菌薬の肝障害なのか判断が難しい。腎機能も補液(腎前性腎不全として)の割に入院翌日に悪化したが、今日は少し改善してきた。胸部X線・CTも撮り直したが、悪化はなかった。もう数日悩みながらハラハラして経過をみるしかない。

 今日臨時の会議があって(地域包括ケア病棟編成で)、その中で在宅扱いになる施設の一覧票が出された。実はまったく知らなかった。回復期リハビリ病棟と地域包括ケア病棟は、原則自宅退院なので、施設に戻る患者さんは入れないと思っていた。事務やソーシャルワーカーは知っているそうだが、病棟の看護師さんは知らないのではないか(ひとくくりに施設の人と言っているので知らないのだろう)。これは病棟編成の根幹にかかわると思うが・・・。長期に入院する回復期病棟では退所扱いになってしまうが、地域包括ケア病棟は短い入院でも使うので、在宅扱いになるかどうかは大きな問題だ。

 本当にいろいろなことが、よくわからない。

 

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感染防止対策加算のラウンド(院内巡回)

2016年04月25日 | Weblog

 昨日は内科系の日直を終えた後、当直は外科系医師の全科当直になるため、院内に泊まって待機していた。糖質制限的には問題のあるカップラーメンを食べ終わって休んでいると。、午後10時に連絡が来た。救急搬入された50歳女性の意識障害がよくわからないという。救急室に行くと、ストレッシャーに横向きに寝ていた。呼びかけても開眼しない。

 救急当直の看護師さんに事情を聞いた。なんでも夫と不仲でもめていたそうだ、それが昨日は仲直りすることになり、一緒に飲酒し始めた(ビール500ml程度)。夫がトイレに行った後に、転倒して意識障害に陥った。それを見たこの患者さんが、過呼吸状態となり、意識朦朧となった。夫は当地域の基幹病院に救急搬送となり、妻である患者さんは当院に搬入されたというわけだった。

 一瞬痛み刺激を加えてみたところ、開眼した。話かけるとちょっと会話ができたが、また閉眼して過呼吸になる。手指は突っ張ったような印象がある。当直医が一般的な血液検査を提出していて、血液検査でわかる病状でもないとは思うが、特に異常はなかった。バイタルはまったく問題ない。何だか精神科的な印象を受けて、後で看護師さんも受診する科が違うと思いましたと言っていた。精神科通院の既往ははっきりしなかった。更年期障害的な症状で通院していたと救急隊の聞き取った既往があったが、詳細はわからない。

 精査すべきかちょっと迷ったが、2時間くらい外来で経過をみることにした。アタラックスPの点滴を側管から入れることにした。2時間経って診に行くと、穏やか顔つきで寝ていた。息子と娘が付き添っていたが(夫の方は娘婿が付き添っているそうだ)、最近不眠が続いていたという。ひと寝入りして落ち着けば帰宅できると思っていたが、家族もせっかく気持ちよさそうに寝ているのに動かすのもかわいそうということで、そのまま朝まで寝かせることになった。息子ひとりが付き添って、あとの人たちは帰宅とした。朝7時に診にいくと、過呼吸もなく落ち着いていた。帰宅して、自宅で休みましょうというと頷いた。夫は検査で異常がなく、意識も戻って帰宅になったそうだ。排尿失神だった?

 今日はICT会議で、感染防止対策加算のラウンドの話も出た。加算をとるためには、感染制御チームが1週間に1回程度の院内巡回を行う必要があるというものだ。岩田健太郎先生がブログで批判していた件だ。当院でも今月から始まった。中規模病院なので、まあなんとかなるが、毎週は負担が大きい。感染管理の指導に来てもらっている大学病院感染症科の先生の話では、大学病院では巡回の部署が多すぎて大変なので、3チームで分担して回るそうだ。おそらく全国的に困っているのだろう。感染症学会では、「院長室まで巡回するのか」という話も出て大笑いだったが、人がいるところは全部巡回が原則なので(院内保育園があればそこも)、冗談では済まなくなる。

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インフルエンザ+肺炎球菌肺炎

2016年04月24日 | Weblog

 今日の日直は循環器科の若い先生だったが、高熱と嘔吐でできないと昨夜連絡が来た。代わりに日直となったが、もともと学会出張明けで内科の当番でもあるので、昼前に病院に来て、そのまま泊まることにしていた。

 救急車は3台搬入された。一人は高血圧症で内科医院に通院している68歳男性だった。体調不良なのに、農作業をしようとしてビニールハウス内で倒れたそうだ、救急隊到着時に酸素飽和度が70%に低下していたが、酸素吸入3L/分で93~4%になった。1週間前から発熱・咳・痰が続いていて、肺炎だろうと予想された。昨日かかりつけの内科医院を受診して、インフルエンザと診断されたという(処方はイナビル吸入らしい)。日曜で問い合わせができないので、当院でも検査するとインフルエンザA型だった。1週間前にインフルエンザの孫を預けられたというので、うつったのだろう。胸部の聴診でrhonchiが聴取された。1日20本の喫煙者でCOPDが疑われた。痰を出してもらうと、黄色(黄土色)の痰が出た。

 胸部X線・CTで右中葉を中心に右上葉・下葉にも散布する陰影を認めた。白血球数4000、CRP30。肝機能障害とCK上昇、腎機能障害がある。ベースの値がわからないが、今回の病気によるのだろう。尿中抗原は肺炎球菌が陽性、レジオネラは陰性だった。インフルエンザ自体の肺炎やレジオネラ肺炎も気になるが、搬入後は案外元気にしゃべっているので、まずは当院で入院治療を開始することにした(改善しなければ転送も考慮する)。

 もう一人は、発熱で身体の脱力で動けなくなった71歳男性で、当院の循環器科に高血圧症・虚血性心疾患で通院している。年齢の割には整形外科的にな問題でもともと動きが悪いそうだ。搬入時は体温39℃。インフルエンザ迅速試験でB型陽性と出た。胸部X線で肺炎はなく、もともと排尿障害があるので、尿路感染症の併発を疑ったが、はっきりしなかった。ラピアクタ点滴静注と点滴に、セフトリアキソン1gの点滴静注も数日使用して経過を見ることにした。

 三人目は38歳男性でインスリン注射をした後に、意識が朦朧とした。低血糖とすぐわかる。救急隊員に血糖が測定できますかと訊くと、測定できる隊員はいなかった。5分もかからず病院に来れるというので、そのまま来てもらった。搬入時、呼びかけても開眼せず、両手を動かしていた。血糖は19mg/dl(血清の生化学検査では28mg/dl)。すぐに5%グルコース入りの点滴を開始して、50%グルコースを静注すると、意識は戻った。1型糖尿病で、ヒューマログ毎食直前とランラス就寝前のインスリン強化療法としている。HbA1c6.5%とすばらしい血糖コントロールだった。主治医は糖尿病センターのある病院の高名な先生で、当地域で糖尿病の講演会にお招きしたことがある(その時は座長を務めた)。

 低血糖はほとんど起こしていないそうだ。今日は昼食前にインスリン注射をした直後に仕事が入って、それを30分していて低血糖になった。それはなるでしょう。すっかり症状がとれて、職場の同僚(患者さんはトヨタの販売店の整備士)が昼食の弁当も持ってきていたので、点滴ルームに移って食べてもらった。2時間後に血糖測定して180くらいだった。今回はたまたま食事をとるのが遅れただけなので、夕食からは通常通りの治療をしてもらうことにした。超速効型は10分で効き始めるので、食事が目の前にある状態で注射することや、場合によっては食食後に打ってもいいことを改めて説明した。

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消化器病学会の続き

2016年04月23日 | Weblog

 消化器病学会の続き。「酸分泌抑制療法のパラダイムシフト」、は要するにカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-competitive Acid Blocker,P-CAB)のボノプラザン(タケキャブ)の話。

 ボノプラザンを使用したピロリ菌除菌療法(ボノプラザン40mg/日+アモキシシリン1500mg/日+クラリロマイシン400~800mg/日)では、一次除菌も二次除菌も除菌率90%。PPIを使用した一次除菌は除菌率70%。一次除菌としてはボノプラザンが良いことになる(価格は高い)。一方、ピロリ菌耐性率の高いクラリスロマイシンをメトロニダゾールに変更した二次除菌では、ボノプラザンでも通常のPPIでも除菌率90%と同じになる。

 除菌失敗の原因としては、薬剤(特にクラリスロマイシン)、酸分泌が不十分、患者さんのコンプライアンス。クラリスロマイシンのピロリ菌耐性化が高いが、400mgより800mgで除菌する方が若干除菌率は高くなる。司会者の先生からは、ボノプラザン使用でも800mgで組み合わせる方がいいとう意見があった。また、メトロニダゾールを使用すればPPIでも除菌率が90%になるのであれば、メトロニダゾールを一次除菌で使用すればいいのではないかとも発言した。全国規模の学会で質問に立つ気はないが、それを質問したかった。消化器病学会は抗菌薬にあまり関心がない(知識がない)学会ではある。

 クロストリディウム・ディフィシル感染症の再発に影響する因子としては、75歳以上の高齢者、PPI投与、バンコマイシンン投与が関連するというカナダの論文があるそうだ。今回の発表ではPPIは影響しないのではというが。

 小腸疾患のワークショップを聴こうと思ったが、人気があって満席状態で込み合っていた。仕方なく、あまり人気のない「消化器から生活習慣病を診る」の会場に回った。最後に発言した信州大学の田中先生がわかりやすくまとめていた。日本は欧米に比して、糖尿病になりやすい、インスリン分泌能が低い、内臓脂肪の分布が違うという。WHOの統計によると、日本は肥満が少ない(BMIが30以上はほとんどいない)、高血圧症・高コレスロール血症は同程度、高血糖が多い、という。日本人は脂肪肝になりやすく、脂肪細胞に脂肪を蓄える能力が低い。高血糖より高脂肪食で肝発癌しやすい。NAFLD/NASHから肝硬変そして肝癌への進展が今後の課題になる。肥満に関連する消化器疾患は、バレット食道・腺癌、大腸腺腫・癌、膵癌、肝細胞癌、肝内胆管癌?、胆嚢癌がある。

 大腸疾患(炎症性腸疾患)はまったく聴かなかったので、代わりに「実践!IBD診療」医学出版を購入。自分で診療することはないので、このくらいの初心者向けの本で十分だ(わかりやすいし)。この3日間病院から連絡がまったく来なかった。これは珍しい。

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消化器病学会

2016年04月22日 | Weblog

 21日から消化器病学会(京王プラザホテル)。HCVのInterferon-free therapyについてシンポジウムやランチョンセミナーで繰り返し聴いて、馴染もうと思っていた。ちょうど「慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2016」が学会場の医学書売り場にあったので購入した。講演を聴くと、簡単な記載しかない診療ガイドには載っていないことがわかる。抗ウイルス療法を考慮する患者さんは、肝臓専門医のいる地域の基幹病院消化器科へ紹介するので、直接処方することはない。

 C型慢性肝炎の70歳台半ばの男性は、数年前の腹部エコーで肝細胞癌と判明した。高齢だが、市の中央公民館館長を勤めていた知的な方で、できるだけの治療を受けてもらいたいので大学病院消化器内科へ紹介した(部位的に治療が難しかった)。数年経過して大学病院で診ていた肝臓専門医が基幹病院に赴任してきたので、そちらに通院することになった。昨年発売されたばかりのソホスブビル+レジパスビル配合剤の治療を受けて、ウイルスが排除された(SVR)。HCCはまだある。

 ダグラタスビル+アスナプレビル併用療法は、ウイルスの耐性変異(D168・Y93・L31)がなく、シメプレビルの既治療歴がなければ、約90%のSVRを達成する。排除不成功はviral breakthroughが起きるか、薬剤の副作用による中止例。viral breakthroughはダイレクトシークエンス法で検出できなかった耐性変異が起きたもので、その変異はディープシークエンス法では検出できる。

 Interferon-free therapyはgenotype1慢性肝炎・代償性肝硬変で認可されている。高齢者や肝細胞癌治療例でも治療できる。代償性肝硬変のうち適応があるのはChild-Pugh分類のgradeAのみでgradeBまたはCは禁忌。非代償性肝硬変には投与できない。治療によってChildスコアのうち、血清アルブミンは改善するが、総ビリルビンやPTは改善しない。

 ソホスブビル+レジパスビル配合剤はviral breakthroughや薬剤の副作用による中止がなく(少なく)、SVR率はさらによい。ただし、ソホスブビルは腎排泄のため重度の腎機能障害(eGFR<30mL)では使用できず、併用禁忌薬が多い。さらに新しいgenotype1に対するオムビタスビル+パリタプレビル+リトナビル配合剤、genotype2に対するソホスブビル+リバビリン併用療法も良好なSVRを達成できる。

 ちなみに、原発性胆汁性肝硬変primary biliary cirrhosisは肝硬変に進展する症例がごく少数となり、病名は原発性胆汁性胆管炎primary biliary cholangitisに変更された。略号はやはりPBCなので混乱はないということだった(確かに)。

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血糖コントロールが難しい糖尿病

2016年04月20日 | Weblog

 今日は糖尿病で通院している患者さん中でも、血糖コントロールの難しい方が受診した。55歳女性は統合失調症で精神科病院に通院している。何度か教育入院もしていた。今日はHbA1cが9.8%。前回は10.0%で、前々回は10.1%。本当に若干の低下になっていた。受診するたびに、入院ですかと言って診察室に入ってくる。入院の必要はないというと嬉しそうにする。目標の7%は大分遠い。肥満の解消はできない見込みだ。

 同じく統合失調症で精神科病院に通院している35歳女性は、初診時に15.4%で入院した。退院後には一時的に(本当に一時的に)6.4%まで低下した。その後は徐々に上昇して、今日は13.1%。昨年末から入院を勧めていたが、拒否していた。出産したいと初めて言われたが、あてがあるのだろうか。とても許可できないというと、入院に同意した。

 糖尿病腎症・ネフローゼで退院したばかりの56歳男性は、ラシックスにサムスカを加えても浮腫は残っている。血清クレアチニンも徐々に上昇して、今日は4になった。除水のために早期透析導入を考えた時よりは(全身浮腫だった)良くなっているが、そろそろ腎臓内科の外来と併診にすることにした。度重なる中断の結果になるが、きちんと治療を継続していればと思う。

 29歳女性は肥満でHbA1cが11.4%らの治療開始だった。現在はDPP4阻害薬とメトホルミンでHbA1c5.7%まで下がっている。結婚妊娠を考えて、メトホルミンから減量していくことにした。妊娠の予定があれば、治療を変更するので教えてほしいと言ってあるが、まだ予定はなさそうだ。全員がこんな経過になれば嬉しいのだが、なかなか難しい。

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