なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺結核

2019年02月28日 | Weblog

 施設待ちで入院していた90歳女性は、先週水曜日から発熱が出没し始めた。胸部X線・CTで両側肺に空洞を有する病変と粒状影を認めた。週末から肺炎として抗菌薬(SBT/ABPC)を開始していたが、1日1回高熱が出るのは変わらなかった。

 気付くのがちょっと遅いのだが、今週になって抗酸菌塗抹を提出すると、陽性だった(ガフキー2号)。喀痰は自力で出ないので、吸引して喀痰として提出したが、正確にはちょっぴりの喀痰と大量の唾液だった。個室管理にして結核菌PCRの結果を待っていたが、今朝陽性と報告が来た。明日結核病棟のある病院に転院させてもらうことになった。 

 今日、呼吸器外来に来ていた抗酸菌感染に詳しい先生に画像を見てもらうと、「結核ですね。血行性に行っていますね。」と言われた。要するに粟粒結核ということだ。 粟粒結核は、「結核菌が全身性に血行性播種して、2臓器に以上に粟粒大の結核病巣がびまん性に散布した病態」なので、正確には骨髄生検や肝生検で確認する必要がある。空洞を有する一番大きな病巣から血行性に播種したのだろうか。

 

 先週末に結核菌の検査を出していれば、今週初めには診断が付いていたはずだ。1月に初めに転院した時の入院時検査の胸部X線に、後から見れば陰影が小さくあった。その時に気付いて精査していればさらによかった。転院後6週間は潜在性に一見何事もなく経過していたわけで、この辺が結核の曲者ぶり?。

 年齢的に若いころに結核の暴露はあったと推定される。数年前から基幹病院の消化器内科に自己免疫性肝炎で通院して、プレドニン内服を継続していた。昨年10月に肝炎が増悪してから大量のステロイドが投与必要だったので、それが再燃に影響したのだろう。紹介元の病院の感染管理室には結核発症を報告した。保健所では3か月前までさかのぼって調査するらしい。

 

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急性膵炎

2019年02月27日 | Weblog

 日曜日の日直の時に、89歳女性が心窩部痛で受診した。午前11時から心窩部痛が始まって、午後になってから受診した。血清アミラーゼ上昇とCT(CKDがあり単純のみ)で膵腫脹と膵周囲の浸出液貯留を認めて、急性膵炎だった。胆嚢内に結石があったが、総胆管結石の有無は判定できなかった。アルコール性ではないので、総胆管結石による膵炎が疑われた。

 総胆管結石の内視鏡治療は当院でできないので、あれば対応できる病院に紹介するしかない。発熱はなく、バイタルは問題ない。黄疸はなく、肝機能障害が比較的軽度だったので、まず当院入院で経過をみることにした。検査結果は、血清アミラーゼ1879、ALP374・AST159・ALT68・γ-GTP77・総ビリルビン1.2だった。

 アセリオ1000mg点滴静注をして入院したが、入院後も夜間に心窩部痛が続いて、アセリオを再投与していた。それでも翌日の朝には心窩部痛は軽減していた。血清アミラーゼ1506、ALP355・AST65・ALT52・γ-GTP75・総ビリルビン1.4だった。悪化はしてなくて、やや軽減している。

 午後にMRCPを行った。総胆管・肝内胆管の拡張はなかったが、放射線科の読影レポートでは、「総胆管末端に5㎜径の結石を疑う」だった。傍十二指腸憩室があるが、1.5cm径で食物貯留による胆汁・膵液の排出障害の可能性は低い。消化器科医と相談したが、臨床的には症状が軽快しているので、もう少し当院で経過をみることにした。

 今日は、血清アミラーゼ218、ALP319・AST31・ALT27・γ-GTP60・総ビリルビン0.8と、血清アミラーゼはほぼ正常域で肝機能障害は正常域になっていた。少なくとも総胆管末端の結石嵌頓は否定される。もし結石があって一時的に嵌頓したとしても、排出されたと判断される。

 受診時は白血球数5500・CRP0.1と初期らしく炎症反応が上がらない。翌日は白血球数12300・CRP8.7と上昇した。そして今日は白血球数7300・CRP11.6と、先に白血球数が改善して(枯渇に向かってなければ)CRPが少し増加(3日目が最高値)している。

 今日は心窩部痛は消失して圧痛もなかった。食事を出して経過をみて、明後日に血液検査再検とした。このまま落ち着くといいが。

 

  

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膀胱癌・脊椎転移

2019年02月26日 | Weblog

 日曜日の日直の時に食欲不振・体動困難の85歳男性が家族に連れて来られた。昨年末に泌尿器科(外部の応援医師担当)で膀胱癌と診断されていた。

 担当医はがんセンターに紹介して治療を受けさせる方針だった。家族は、軽度に認知症があり、ほぼ寝たきり状態に近いことから紹介を希望しなかった。2回確認したようだが、やはり当院でできる範囲で診てほしいということだった。(カルテ記載による)

 背部痛を訴えていた。部位を訊くと、上背部で胸椎下部相当だった。発熱はなく、血液検査で炎症反応は陰性だ。胸腰椎MRIを行うと、胸椎9・10にT2脂肪抑制で高信号(T1で低信号)があり、痛みの部位と一致していた。腰椎にもある。癌の転移が疑われた(今日、放射線科医に確認して転移だろうと)。

 家族は入院を希望した。膀胱と脊椎の問題なので治療としては専門科ではないこと、入院治療しても改善すると保障できないことをお話した。とにかく動けないので、それでもいいですということだった。内科で全身管理?。

 まず点滴2本/日とアセトアミノフェンによる疼痛治療を開始したが、幸いに食事摂取できるようになって、疼痛も軽減してきた。いったん退院できるかもしれないが、今度は家族が自宅でみるのをいやがるか。治療しないと血尿が続くのはどうしようもない。

 

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RSウイルス細気管支炎

2019年02月25日 | Weblog

 先週木曜日午前の救急当番の時に、86歳女性が救急搬入された。前日の水曜日に感冒症状(主に咳と咽頭痛)で内科新患を受診していた。内科の若い先生(内科専攻医)が診察して、killer sore throatの鑑別のために耳鼻咽喉科外来に紹介したが、咽頭の軽度発赤のみとされた。

 その日は自宅で転倒して、左前額部を打撲していた。つまずいたのかと訊いたが、覚えてないそうだ。尿失禁していた。搬入時に不整脈はなく、血圧も問題なかったが、38℃の発熱があった。インフルエンザ迅速試験(高感度)は陰性だった。

 胸部X線・CTで肺炎像はなかった。白血球数は正常域(ふだんと同じ値)でCRP0.3というのは、昨日からの症状なので細菌性らしくはない。ウイルス感染相当と思われた。

 聴診上喘鳴が軽度に聴取されたが、喘息の既往はないらしい。RSウイルス迅速検査を追加すると陽性と出た。入院でデカドロンと抗菌薬(セフトリアキソン)で経過をみることにした。(個室管理にした)

 3日間発熱があって、その後は解熱した。食欲は入院した日から良好だった。ただし喘鳴はまだ続いていて、程度もあまり改善したようではない。酸素飽和度の低下はなく、特に酸素吸入はしていない。

 デカドロン注は中止したが、プレドニンを短期間内服で漸減することにした。喘息治療の吸入薬(ICS/LABA)も使ってみることにした。RSウイルス感染では、ステロイドも気管支拡張薬も効果があるというエビデンスはないが(効果がないとされている)。

 解熱はしているので、今週末には症状(喘鳴・咳)が軽快するかと思う。

 

 昨日の日曜日は日直で、急性膵炎の89歳女性と膀胱癌・食欲不振の81歳男性が入院した。そのまま病院に泊まっていたが、当直の外科医から、回転性めまい(BPPV)の91歳女性を入院させたいと連絡がきて、内科入院にした。90歳代の入院患者さんがけっこういて、2名は98歳だ。

 めまいの91歳女性は症状消失して、食欲良好だった。前回のめまいでの入院時は、症状軽快して退院するばずが、再度回転性めまいが生じたそうだ。耳石が次々に落ちてくる?。

 

 

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施設待ちのはずが

2019年02月24日 | Weblog

 先月初めに90歳女性が地域の基幹病院の消化器内科から転院してきた。入院が長引いて、入所していた施設の籍が切れてしまっていた。再度入所申し込みを行って、入所できるまで当院でみてほしいという依頼だった。

 もともと3年前から自己免疫性肝炎で肝臓専門医が外来で診ていた。昨年10月に肝機能が悪化して入院しているた。ステロイドミニパルスを行って軽快退院したが、血小板減少を来してすぐに再入院となった。大学病院から週1回来ている血液専門医と相談して、トロンボポエチン製剤も使用して、なんとか改善したそうだ。

 転院した時はプレドニン10mg/日内服となっていて、肝機能も血小板も安定していた。そこから漸減するのは肝機能悪化と血小板減少も問題があり、難しいかもしれないという。転院依頼の電話が来た時に、「再度悪化しても年齢の問題があり、もう専門的な治療の適応はないだろう」、という話だった。

 単に施設待ちの患者さんとして、一般病棟で診て、地域包括ケア病棟に転棟していた。入所するのが老人保健施設入所なので、地域包括ケア病棟の在宅復帰率を下げてしまうが、それは仕方ない。

 ところが、先週の水曜日と木曜の夜間に39℃の発熱があった。胸部X線で右肺に腫瘤様の陰影があり、他にも細かな陰影がありそうに見える。さらに胸部CTで確認すると、両側肺に空洞を有する結節状の浸潤影と粒状から斑状の陰影が多発していた。

 見返すと、転院してきた時に入院時検査として行った胸部X線にすでに小さいが腫瘤様の陰影がある。すでに転院前から始まっていたことになるが、当院に来てから40日くらい発熱もなく過ごしていた。この陰影の分布はいったい何だろうか。

 一番大きな浸潤影は経気道性に見えるが、細かな陰影は血行性のように見える。敗血症性肺塞栓?。これは困った。喀痰はまったく出ないので、血液培養2セットは提出したが、出るかどうかわからない。肺以外に感染巣となるところは指摘できない。週明けに心エコー検査も予定した。

 放射線科の読影レポートは「肺に多発性の陰影があり、肺感染症疑い」、とのみ記載されていた。確かにその通りだが、参考にならない。

 

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一発診断3

2019年02月23日 | Weblog
CareNeTV
一発診断
第3回 左胸に突き刺すような痛みの18歳男性
 
Illness Script 5
72歳男性
現病歴:数週間前から手のこわばり、手を握ろうとすると痛みが出現。その後、両手・両足背がむくんできたため受診
身体所見・検査所見:WBC 12000 赤沈(1時間値)86mm
・リウマトイド因子陰性・X線検査で骨に異常なし
一発診断 RS3PE
 
RS3PE
概念:
50歳以上に急性発症する
1.予後の良い
2.リウマトイド因子陰性
3.左右対称性
4.手背・足背に圧痕性浮腫を伴う関節(滑膜)炎
疫学:
有病率 0.09%(日本における50歳以上)
リウマチ性多発筋痛症(PMR)の3分の1
圧痕性浮腫は片側性、もしくは下肢のみのことがある
検査:
CRP上昇、赤沈亢進、MMP-3上昇、抗核抗体(-)抗CCP抗体(-)X線上関節の変化(-)
治療:
・NSAID
・ステロイド(10~15mg/日)が奏功→12~18か月で不要になることが多い
予後:
RS3PEに悪性腫瘍が合併することがあるのでスクリーニングを行う
 
ステロイドの効果が乏しい場合
1.腫瘍随伴(paraneoplastic)RS3PEの可能性
2.診断が間違っている可能性
 
高齢発症の関節リウマチ
11.2%がRS3PE様の症状で発症
(手・足関節の炎症が強ければ浮腫を伴う)
鑑別ポイント
X線写真で骨変化(+)、抗CCP抗体(+)、ステロイド治療抵抗性の場合に疑う
リウマトイド因子陰性、抗CCP抗体(ー)の場合は鑑別が困難
 
リウマチ性多発筋痛症(PMR)
RS3PEはPMRの亜型もしくは同一疾患ではないかと考えられている
→頸、肩、腰、大腿の筋肉痛とこわばりを訴えることがある
・浮腫がなく、近位筋痛が強い→PMR
・筋痛が強くなく、両側手背に圧痕性浮腫→RS3PE
 
最近のトピックス
 DPP4阻害薬によるRS3PE症候群が報告されている
 
一発セオリー
高齢者で四肢末梢の痛みと圧痕性浮腫を訴え、リウマトイド因子が陰性なら...RS3PE
 
Illness Script 6
18歳男性
現病歴:
午後11時ごろ寝ようとしたところ突然左の胸がいたくなったため救急外来を受診
痛みは突き刺すような感じで、深呼吸で悪化し、1分もせずに消失した
身体所見・検査所見:
バイタルサイン異常なし
心音・呼吸音・皮膚異常なし
胸部X線・心電図異常なし
疼痛部位を指1本で指し示すことができる
一発診断
precordial catch syndrome
 
precordial catch syndrome
・突然の胸痛を来す良性疾患
・あらゆる年齢に起こりうるが、6~12歳に多い(~35歳まで)
・原因不明
  姿勢の悪さや肋間筋由来の痛みとも言われている
OPQRSTA
O(発症):安静時>軽労作時に突然発症
P(増悪・緩解因子):深呼吸で悪化姿勢を伸ばすと軽快 突然治まる
Q(性状):「鋭い」「突き刺すような」「焼けるような」痛み 圧痛なし
R(放散、部位):1~2本の指でさせる範囲 左側に多い(前下方・
胸骨縁)>側胸部・右前胸壁
S(程度):強さはさまざま
T(経過):30秒~3分 数回の呼吸で治まったり、30分続くこともある
A(随伴症状):なし
除外診断ではない 詳細な問診で診断は容易
治療:特別な治療法はない 重篤な病気ではないことを伝え、保証を与える
 
肋間神経痛との鑑別
・肋間神経の走行に沿って疼痛・感覚障害を来すため痛みの範囲が広い
・発作中は深呼吸・咳嗽・体動・寒冷で増悪する
・アルディニアがみられることがある
 
一発セオリー
若年者で安静時に突然発症し、深呼吸で悪化し、すぐに軽快する突き刺すような限局性の胸痛は・・・
precordial catch syndrome

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カンジダ血症

2019年02月22日 | Weblog

 腸炎から門脈ガス血症・腹水貯留をきたした93歳男性は致死的かと思われたが、抗菌薬治療で回復した。嚥下訓練を開始したが、STさんからは嚥下は無理ですと言われた。

 さてどうするかだが、経管栄養はしたくないと言われた。末梢の点滴で継続するのも、内容はともかく会話ができる人なので、躊躇われる。適応があるかどうかわからないが、高カロリー輸液で経過をみて、安定していれば療養型病床で経過を見てもらう方針を立てた。

 2月12日に右内頸静脈からCVカテーテルを挿入して、薄めの高カロリー輸液を開始した。ところが17日から高熱が続いた。18日に血液培養2セット(1セットはCVカテーテルからで1セットは末梢静脈から)を提出した。18日には2セットからカンジダが検出されると報告が来て、夕方にはCVカテーテルを抜去した。カテ先端も培養に出したが、やはりカンジダが出た。

 心エコーは経胸壁でpoor studyだったが、明らかな疣贅は指摘できなかった。正しくは眼科受診と胸腰椎MRIが必要になる。推定だが、Candida parapsilosisということだった。抜去後にミカファンギン(ファンガード)を開始して、その後は解熱している。

 入院後約2週間はセフメタゾールを投与して、CVカテーテル挿入の1週間前には中止になっていたが、影響したのだろう。カテーテル関連血流感染になる。現在は末梢静脈から点滴を継続して経過をみている。病棟の看護師さんから末梢からの点滴は難しくなってきたと言われている。ここからどうしようか。

 

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ウイルス性筋炎?

2019年02月21日 | Weblog

 一昨日両下肢の疼痛・脱力で86歳男性が救急搬入された。循環器科医から連絡がきて、救急室に診に行った。前日の夜間にベットからトイレに行こうとして、両下肢の脱力のために転倒したそうだ。倒れたのば覚えているが、打撲したところは覚えていない。

 救急当番は整形外科の若い先生で、筋原性酵素が上昇していたことから循環器科医に連絡がいった。38,8℃の発熱がある。心筋原性酵素の有意な上昇はなく、循環器疾患ではないが、そのまま循環器科入院で経過をみるつもりだった。ところが、その後に高齢の重症心不全が救急搬入されることになり、こちらは内科入院で診てほしいという依頼だった。(少人数の循環器科は平日日中のみ救急対応している)

 意識は清明で気持ちは元気な方だった。前日から急に両側下肢の疼痛・脱力が始まっている。発熱もあり、これはウイルス性筋炎なのだろうか。多発性筋炎にしては発症が急すぎる。上肢は普段とさほど変わらないそうだ。両下肢は何とか拳上はできるが、体重をささえることはできない。

 白血球数7900・CRP 4.6で、CK 3120・AST 75・LDH 363と著しくはないが筋原性酵素は上昇している。打撲だけでもある程度は上がるが、明らかに両下肢の症状があるので、それだけではない。

 何だか両上肢・頸部~胸上部に皮下出血が目立った、出血傾向はなく、ふだんからあるそうだ(増えている可能性はある)。皮膚科に乾癬で通院していていた。皮膚が薄く毛細血管ももろく、内出血しそうではある。

 感染症とは言えないが、血液培養2セットはとっておいた。さらに根拠はないが、セフトリアキソン1gを開始した。入院後は解熱傾向のようだが、両下肢の症状はまだ変わらない。念のため多発性筋炎のマーカーは出すことにした。経過観察で症状が軽快すればウイルス性筋炎になるのだろうか。

 

  

  

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食道アカラシア

2019年02月20日 | Weblog

 別の内科の先生が診ていた84歳男性が大学病院に転院した(介護タクシー使用)。先月の終わりに内科医院から、食欲不振が続いて発熱もあるということで紹介になっていた。

 胸部X線・CTで肺気腫を認めるが、明らかな肺炎像はなかった。尿路感染症?として抗菌薬を開始したと記載されている(尿混濁はない)。

 入院後も食事摂取は進まず、嚥下障害というよりは詰まる感じがあった。上部内視鏡検査が行われて、食道の著明な拡張と食物残渣(ほとんど白苔化)の食道壁への付着が目立った。食道末端は閉じていて、内視鏡の通貨はできる。たまたま内視鏡担当が、大学病院外科食道班の若い先生で(バイト)、食道アカラシアと診断された。月に1回来ている食道班の上の先生が大学病院で治療することを決めていった。

 入院時の胸腹部CTを見ると、食道が頸部食道まで拡張して、食物の貯留を認める。わかってからこれまでの画像を見返した。食道を見るためのCT検査ではなかったが、2009年のCTでも食道は軽度に拡張していた。そして2012年のCTでは今回と同様の食道所見がすでにあった。放射線科の読影レポートにも食道アカラシア疑いとあった(今回のレポートは前回と同じとだけあった)。

 食道アカラシアというと若い人に多いイメージがあったが、テキストには小児から高齢者まで幅広い年齢層にみられ特に好発年齢はない、と記載されていた。治療は、バルーン拡張術か経口内視鏡的筋層切開術(per-oral endoscopic myotomy:POEMポエム)が行われるが、大学病院では後者を行うのだろう。

 図らずも食道アカラシアの自然経過をみたことになる。10年くらいの経過で進行して、画像的には完成していても機能がある程度残っていると、しばらくはそれほど問題なく過ごしていた。

 頸部食道まで食物が貯留しているので、発熱はやはり気道感染だと思うが。

 

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感染症によるせん妄

2019年02月19日 | Weblog

 昨日の午後に言動がおかしいということで、88歳女性を家族に内科外来に連れて来た。昼から会話が成り立たず、意味の分からない動きをするらしい。ふだんがわからないので判断しがたいが、家族がそう言うからには確かにおかしいのだろう。

 診察すると、ぼんやりした印象をうけるが、はい・いいえの返答はできる。37.1℃と微熱があった。胸部X線で肺炎はなかった感染症によるせん妄を疑ったので胸腹部CTも施行したが、肺炎はなかった。頭部CTでも有意な所見はなかった。白血球数2900(もともと2000前後)だが、好中球93%と比率が上昇している。CRPは0.0。尿所見は白血球数10-19/HPF・細菌(2+)とちょっと弱い。

 これまでも尿路感染症(膀胱炎~軽度腎盂腎炎)で外来治療をしていた既往がある。今回も尿路感染症(腎盂腎炎)が疑わしい。血液培養2セットと尿培養を提出した。

 血液検査の時に点滴も開始していたので、セフトリアキソン1gを点滴静注した。点滴500mlが終わるころに38℃の発熱が出現した。認知症があるので外来治療として翌日再受診もちょっと考えていたが、入院とした。

 今朝はまだ微熱があるが、すっきりした顔をしていて、家族は元に戻ったようです、と言っていた。昨日は異常が出てからすぐ(1~2時間後)の受診だった。今日受診していればもっと描像がわかりやすかったはずだ。早めの受診が好ましいことは好ましいが。

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