なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低体温、多臓器不全

2018年02月15日 | Weblog

 今日から反応が悪くなってぐったりしていると、96歳女性の救急搬入依頼がきた。発熱はなく、血圧は100程度という。脳循環不全で点滴で経過をみればいいかと軽く考えていたが、違った。

 体温27℃と重度の低体温だった。自宅で息子と二人暮らし。ふだんはベットから引きずって茶の間まで連れてきて、食事をさせていたそうだ。血圧は100前後だったが、常には降圧薬を3種類処方されているので、これは血圧低下だ。心拍数は30/分台の洞調律だった。呼びかけても揺すってもまったく反応がない。

 温めた点滴を入れて、全身をシートで覆って温めた。しだいに顔がまだらに赤身がちょっと出て、両手をゆっくり動かすようになった。発語はないが、もともと一声出るかどうからしい。

 頭部CTはラクナ梗塞が多発していたが、両上肢の動きから見ても新規の脳血管障害はないようだ。胸腹部CTでも明らかな異常を指摘できない。肝機能障害・腎機能障害・尿酸高値・凝固異常がある。

 昨日まで食事はとっていたというが実態はわからない。看護師さんから、「ネグレクト?」と言われたが、放置していたわけではないようだ。それなりに介護はしている(たぶん)。暖房はストーブひとつなので、自宅内にいても環境としては厳しいのかもしれない。

 入院してから、ゆっくりと直高温が上昇して、夕方には30℃まで上がった。周囲を見る様になった(ような気がする)。

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