なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

自己免疫性溶血性貧血

2018年02月10日 | Weblog

 45歳女性が大球性貧血で入院していた。頭痛・めまいを訴えて、先週の日曜日に救急外来を受診していた。Hb7.2g/dl(MCV122.9)と貧血を認めた。

 この患者さんは子宮筋腫・過多月経からの鉄欠乏性貧血があった。婦人科では経過観察になったが、一昨年末から内科外来(大学病院からのバイトの先生の外来)で鉄剤が処方されて、約半年で貧血は改善して正常値になっていた。しかし、その後は受診していなかった。

 翌月曜日に日曜の日直で診た先生が担当となって、巨赤芽球性貧血(+鉄欠乏性貧血)疑いで入院した。血清ビタミンB12と葉酸の外注検査が提出された。住所の問題でビタミンB12の注射に通院するのが大変ということだった。ビタミンB12の筋注と葉酸の内服が開始されていた。

 外注検査の結果は、ビタミンB12と葉酸が低下していた。入院時に甲状腺機能低下もあって、こちらも補充療法が開始されていた。外注検査の結果抗TG抗体・抗TPO抗体が陽性で、橋本病だった。補充療法の結果を待つというところだったと思う。

 たまたま金曜日に産婦人科でフォローの血液検査が入っていた。Hb5.7g/dlと下がっていた。担当医がその日不在なので、別の内科医に連絡がいって当方に相談された。その時点で、脳炎と貧血の2症例の対応が必要なので、分担してこちらを担当した。

 検査室の血液担当の技師さんが、溶血ではと言っていたそうだ。昔当院に血液内科医がいるころに一緒に仕事をしていた技師さんだ。入院時にハプトグロビンが提出されていて、感度以下に低下していた。すぐに直接クームス試験を提出すると陽性だった。入院時に比べて、LDHは994から1966に、血清ビリルビン(主に間接ビリルビン)は3.4から5.3に、網状赤血球は22.7%から48.7%に上昇していた。

 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)疑いとして、血液内科に紹介することにした。産婦人科で子宮粘膜下筋腫か子宮ポリープの疑いとして紹介していた病院には血液内科がある。2名の先生がいるらしい。電話で相談すると、診てもらえることになった。酸素も点滴もしていないが、救急搬送して下さいと言われたので、そうすることにした。

 AIHAだとすると、自分で診たのはたぶん3例目。ビタミンB12と葉酸が低下していたのは、消費されたということだろうか。3連休前に引き受けてもらって助かった。

 

 

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