なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

COVID-19+誤嚥性肺炎

2023年09月30日 | COVID-19

 9月27日の午後は、25日の当直明けの分で午後は帰っていた。28日に病院に来ると、27日の午後に救急当番だった先生から、COVID-19の高齢者を入院させたのでよろしくといわれた。

 患者さんは94歳男性で、9月22日に発熱で発症していた。9月23日に(住所からは一番近い)地域の基幹病院を受診してCOVID-19と診断されていた。

 その後、食べられない動けないとなって、家族が救急要請していた。コロナの入院は2名いたが、1名は今週中退院、1名は来週に隔離解除で一般病棟への移動が決まっている。要するに、コロナ用の病室は空いていた。

 とりあえず点滴とレムデシビルの点滴を開始していて、胸部CTで胸水がありました、という。救急外来にはコロナの患者さんが入院した時の簡単な指示を張り出している。

 血液検査を確認すると、白血球4300・CRP3.8と炎症反応は軽度上昇だった。単球が15.8%になっていてコロナらしい値だった。動けなくなっていたのを反映して、筋原性酵素も上昇していた。

 胸部CTを確認すると、すりガラスか肺うっ血ととるかという淡い陰影がある(背側はうっ血だろう)左肺下肺野背側に浸潤影と肺炎随伴性胸水がある。

 

 COVID-19罹患に伴い、肺炎(誤嚥性が疑われる)を併発しているのだろう。抗菌薬(ABPC/SBT)も使用する。病室に行くと、発語はあるが、内容は?で認知症はある。

 軽快して隔離解除となっても、すぐには退院できず、一般病棟でリハビリを行うことになりそうだ。

 

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濃厚接触者の扱い

2023年09月28日 | COVID-19

 先週の金曜日(9月22日)に病棟(看護)師長さんから、濃厚接触者の扱いについて相談された。

 

 家族がコロナ(COVID-19)に罹患して濃厚接触者として自宅待機していたベテラン看護師さん(58歳女性)のことだった。9月20日に同居の夫(57歳男性)が当院の発熱外来でコロナと診断された。

 当院では濃厚接触者は3日間自宅待機して、4日目に自分でコロナの迅速試験(抗原定性試験)をして陰性ならば勤務可としている。

 ただ9月22日に同居の息子(20歳男性)が発熱外来でコロナと診断されていた。3日間の自宅待機はまたそこからカウントするのでしょうかという。病院(の事務責任者)に訊いたところ、師長判断でと言われて困ったそうだ。

 5類移行前は、家族が次々にコロナに罹患すれば、その都度自宅待機はリセットされていた。5類では、そもそも濃厚接触者の規定はない。

 病棟としてはぎりぎりで勤務を回しているので、自宅待機が伸びるのは困るという。最初に罹患した家族の発症からカウントしたいといっていた。

 看護師さんでも、自宅での感染対策・隔離は難しい。乳幼児や小中学生の子供が罹患すれば、濃厚接触せざるを得ない。それに比べれば対策はできそうだが、実際は難しいだろう。

 結局のその看護師さんは24日に症状が出て、自分で抗原定性検査をして陽性になった。その日解熱薬だけ取りに来ていた。(駐車場に止めた車まで発熱担当の看護師さんが届けた)

 別の病棟でも、家族の待機期間が終わるころに自分も罹患して、感染者としての規定に従うことになってしまっていた。今回もそうかなと思っていたが、その通りになったのだった。

 

 当院は職員がコロナに罹患した時は、5日間は自宅待機で、6日目以降に自分で迅速検査をして陰性なら勤務可としている。大抵は6日目も陽性と出て、その後も陽性が続いて、結局10日過ぎての検査不要で勤務可までの休みになったりしている。

 大学病院は7日間自宅待機で、がんセンターは10日間自宅待機(入院全員が担癌患者、免疫不全者だから)にしていると聞いている。

 

 発熱外来の受診者は少し減少してきている。印象としては、第9波のピークは過ぎた?。

 

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面会で感染したらしい

2023年09月25日 | COVID-19

 9月22日金曜日に市内の医院から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と判明した73歳男性の入院依頼が来た。

 前日にがんセンターを退院したばかりだった。医院ではがんセンターに連絡したが、入院は近くの病院でといわれたそうだ。

 直腸癌の手術を受けて、人工肛門が造設されていた。患者さんの話では、一時的に回腸に人工肛門を造設して、二期的に肛門につないで、人工肛門は閉鎖する予定だそうだ。

 9月19日火曜日に娘さん(患者さんとは別居)が面会に行っていた。その娘さんは面会時に咽頭痛があり、9月21日には発熱もあって、検査でコロナ陽性と診断されていた。

 この患者さんは9月21日に退院してきたが、同居の妻と息子夫婦は特に症状はない。9月22日に38℃の発熱があり、同じ医院を受診してコロナ陽性と診断された、という経緯だった。

 

 がんセンター消化器外科から、貴院に入院になったそうでと診療情報提供書が送られてきた。がんセンターではずっとICUに入室していた。特にがんセンター内でCOVID-19は発生していない。面会の娘さんからの感染だろう、となっていた。

 入院中に出血性十二指腸潰瘍を来していて、P-CAB内服ができない時はPPIの静注を、また回腸の造設なので脱水症に注意して、と記載されている。

 

 入院時は手術の情報は(本人話しか)なかったので、胸腹部CTを行った。胸部CTで肺炎像はなかった。右下腹部の人工肛門は回腸に造設していることを確認していた。

 リンゲル液の点滴2本とレムデシビル点滴静注で治療を開始した。週明けの今日(9月25日)は解熱している。

 

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レムデシビル

2023年09月18日 | COVID-19

 9月11日に記載した、COVID-19の81歳男性のその後。

 9月4日入院後にレムデシビル点滴静注を開始して5日間投与した。その後、発症11日目からデキサメサゾンも使用した。食欲不振・倦怠感はデキサメサゾンで改善した。 

 肝機能は入院時に正常だったが、レムデシビル3日投与後は、AST 55・ALT 32・LDH 211・ALP 57・γ-GTP 21と軽度に上昇していた。9月9日までレムデシビルを5日投与したが、9月11日にAST 430・ALT 564・LDH 264・ALP 88・γ-GTP 62とかなり上昇してしまった。

 ウイルス性肺炎と判断したので、抗菌薬は投与していなかった。レムデシビルの副作用と判断される。患者さんはステロイドの効果で調子が良くなって、早く退院したいといっていた。肝機能障害の軽減を確認して退院を決めることにした。

 9月14日の再検で、AST 47・ALT 199・LDH 163・ALP 67・γ-GTP 66と改善してきた。このまま軽快して正常化すると見込まれた。すぐにでも退院したいといっていたが、結局息子さんの迎えの都合で9月16日(土曜)に退院となった。

 

 「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」の「成人の外来診療における抗ウイルス薬の選択」には、レムデシビルは「発症から7日以内」とある。入院診療の記載はない

 この患者さんは入院日は発症8日目相当だが、レムデシビルを投与した。いつも相談している呼吸器外来の先生(大学病院感染症科から応援)に訊いたところ、レムデシビル投与は問題ないといわれた。

 9月14日に記載した88歳男性も相談したが、発症10日目だったが(診断日なので発症はもっと前か)、レムデシビルを入れた方がいいといわれた。

 入院時から開始したデキサメサゾンも継続する。「レムデカ(レムデシビル+デカドロン=デキサメサゾン)」でいきましょう、いわれた。通称としてそういっているらしい。

 ウイルス増殖期をいつまでとするかだが、通常だと10日間で、重症化すると14日までととることになる。すると、中等症Ⅱから重症の場合は、14日以前なら投与していいのだろう。

 大学病院で数100例でレムデシビルを使用して、肝機能障害・腎機能障害が問題になったのは、3例しかなかった、ともいわた。注意書きにある肝機能障害・腎機能障害はそれほど気にしなくていいという。

 今回、当院では初めてレムデシビルで有意な肝機能障害を認めた。これまでの使用例は正確にとっていないが、100例まではいっていないか。

 中止で改善してきて、まずは良かった。相談している先生は大学講師なので、大学病院で直接COVID-19 を診療している中の指導的立場の先生だ。

 

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COVID-19、両側肺炎

2023年09月14日 | COVID-19

 9月13日水曜日の昼に救急当番の先生(大学病院外科から応援)が、救急隊からのCOVID-19患者さんの搬入を受けた。

 どうしましょうかと相談がきた。患者さんは88歳男性でアルツハイマー型認知症・糖尿病があった。酸素吸入10L/分で酸素飽和度が94%だった。両側肺炎を来していると推定される。

 当院は中等症までの病院で、当地域だと重症COVID-19の人工呼吸器治療は地域の基幹病院でしかできない。用意しているのは1ベットのみで、状況によっては少しだけ増やすという体制だった。

 しかし高齢者(それも80歳代後半以降)の場合は、ネーザルハイフローまでは行うが、気管挿管・人工呼吸器管理まではしていない。通常の重症肺炎でも同じ方針となるので、妥当だと思われる。

 できるだけの治療はするが、人工呼吸器まではできないが、それでもいいか家族に確認してもらった。家族の了解を得て、当院に搬入された。

 9月4日に地域の基幹病院でCOVID-19 と診断されて、自宅静養していたそうだ。発熱が続き、次第に食べられない、動けないとなっていた。通院している内科クリニックに相談したところ、救急車を呼ぶようにといわれた。

 

 実際の発症は4日以前かもしれないが、4日とすると10日目になる。胸部CTで確認すると(COVID-19の患者さんはふだん使用していない古い方のCTで撮影)、両側肺にすりガラス陰影があり、下肺野背側には浸潤影が広がっていた。ウイルス性肺炎もあるが、誤嚥性肺炎を併発したようだ。

 

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当院のコロナ定点報告

2023年09月13日 | COVID-19

 今日はがんセンター主催の感染管理のカンファランスがある(web開催)。当院の発熱外来の結果を報告するので、2週間分を確認した。

 8月28日から9月3日までは、発熱外来受診数が105名で、76名(72%)がCOVID-19と診断された。インフルエンザA型が2名いた。

 9月4日から9月10日までは、発熱外来受診数が84名で、45名(54%)がCOVID-19と診断された。インフルエンザA型は1名いた。

 受診者に発熱があれば、発熱外来を通してからになるので、急性腎盂腎炎・急性胆管炎・下痢(腸炎)・虫垂炎など呼吸器症状がなくても発熱外来扱いになる。

 発熱・呼吸器症状の患者さんに限定すれば、コロナ陽性率はもっと高い。またコロナとインフルエンザの抗原定性試験なので、感度の問題がある(60~70%)。複数の家族がコロナに罹患して、おそらくコロナと思われても検査で陰性ということもある(偽陰性)。

 先週、コロナの初期(2020~2021年)に見られたようなウイルス性肺炎(両側肺野の胸膜直下に広がるすりガラス陰影)の患者さんが入院した。

 呼吸器外来に来てもらっている先生(大学病院感染症科)にお聞きしたところ、最近ウイルス性肺炎が増えているということだった。

 

 倉原優先生のYahoo newsにも記載があった。

 デルタ株の頃と比べると肺炎の頻度はかなり減りました。しかし、直近の第8波と比較すると、当院では「ウイルス性肺炎」が増えています。

 ワクチン接種がすすめられる過程で、現場から目にすることが急激に減ったのが、このウイルス性肺炎です。当院のウイルス性肺炎の合併頻度は8~108%にまで減っていたのですが、「5類感染症」に移行してからじわじわと増え、現在18~20%の頻度となっています。

 インフルエンザではウイルス性肺炎を起こすことは多くないので、同じ「5類」でも、両者は全く異なるウイルスだと実感しています。本当にやっかいなウイルスです。

 では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。

 1つは感染者数が多いためです。どの波でも経験されたことですが、感染者数が多いと、それに引っ張られるように中等症や重症も増えます。

 もう1つがワクチンの効果切れの懸念です。ウイルスの毒性はそこまで変わっていないのにウイルス性肺炎をみかけることが増えたのは、感染予防効果だけでなく重症化予防効果が落ちてきているのかもしれません。

 

 忽那先生のYahoo newsから

定点報告の集計対象の日と報告される日(筆者作成)
定点報告の集計対象の日と報告される日

 

 新型コロナが5類感染症となった5月8日以降は、定点報告と呼ばれる報告体制に移行しています。

 定点報告数とは、定点医療機関と呼ばれる各都道府県で指定されている医療機関で、ある週の月曜日から日曜日に報告された新型コロナの平均報告数のことであり、翌週の木曜日に発表されます。

 したがって、これまで即日に把握できていた流行状況が、約1週間遅れるということになります。

 

 忽那先生と倉原優先生のYahoo newsは必見なので、ぜひご覧ください。ちなみに当院は定点医療機関ではありません。

 

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レムデシビルの肝機能障害

2023年09月11日 | COVID-19

 9月4日に記載したCOVID-19の肺炎を呈した81歳男性の経過。

 8月28日に他院でCOVID-19と診断されていた。自宅静養していたが、食欲低下・倦怠感で9月4日に当院に救急搬入されている。8月28日が発症日とすると(実際はその1~2日前か)、8日目になる。

 両側肺にコロナらしいすりガラス陰影があり、酸素飽和度が90%未満になっていた。中等症Ⅱ相当になる。白血球4100・CRP4.7だった。

 発症後7日は過ぎていたが、10日以内だったので抗ウイルス薬のレムデシビルを投与した。さらに悪化すればデキサメサゾンを開始するつもりだた。

 酸素化は特に悪化しなかったが、3日後の9月7日の検査で白血球6100・CRP5.6と軽快していなかった。その日呼吸器外来に大学病院の感染症科の先生が来られたので相談した。

 その日は発症11日になる。抗炎症薬としてのデキサメサゾン投与は問題ない。(あまり早く入れるとウイルスの増殖を促進してしまう)

 肺炎の程度が重症だったり、進行している時のデキサメサゾン8mg/日ではなくて、4mg/日を5日間その後2mg/日を5日でどうでしょう、といわれた。

 早速その日からデキサメサゾンを開始した。その日と翌日は変わりなかったが、投与3日目の9月9日から食欲が回復して、倦怠感も軽減していた。

 今日(9月11日)病室に行くと、それまでだるそうに横になっていたが、ベット上にすっと起き上がったきた。デキサメサゾン4mg/日の5日目になるので、翌日からは2mg/日を内服で継続とした。

 血液検査は白血球8900(ステロイドのため)・CRP0.9と炎症反応は軽快していた。ただし、思いがけない肝機能障害が出ていた。

 入院時は正常だったが、レムデシビル3日投与後は、AST 55・ALT 32・LDH 211・ALP 57・γ-GTP 21と軽度に上昇していた。9月9日までレムデシビルを5日投与したが、今日はAST 430・ALT 564・LDH 264・ALP 88・γ-GTP 62とかなり上昇している。

 レムデシビルの副作用と判断される。患者さんは調子が良くなって、早く退院したいといっていたが、肝機能障害の軽減を確認しないと帰しにくい。3日後に再検してから判断することにした。

 

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COVID-19の肺炎

2023年09月04日 | COVID-19

 今日の発熱外来を81歳男性が受診した。8月28日に他院でCOVID-19と診断されていた。食欲低下での受診だったが、酸素飽和度も軽度に低下して、酸素1L/分が開始されていた。

 胸部CTで両側肺の背側下葉から上葉にかけてすりガラス陰影を認める。2020年~2021年に見たような古典的な?コロナの肺炎像だった。

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 8月28日は通院している泌尿器科クリニックから、他院に前立腺MRIで紹介された。受診時に発熱(微熱)・咳があったらしく、コロナの検査をしたら要請だったという経緯だった。

 その日にアセトアミノフェンとリン酸コデインが処方されているが、抗ウイルス薬の処方はなかった。

  

 8日目だと抗ウイルス薬(レムデシビル)を使用するぎりぎりの時期になる。抗炎症薬の投与は8日目以降に使用するようにとなっているので使用してもよいが、数日経過をみてからとした。

 

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