なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

93歳の心不全

2020年04月30日 | Weblog

 昨日の夜、当直をしていた外科医(大学病院からのバイト)から入院依頼の連絡がきた。93歳女性に心不全だった。

 内科外来に高血圧症・慢性腎臓病(CKD、血清クレアチニン1.3mg/dl)で通院していた。1週間前から両下腿浮腫と労作時の息切れがあった。先週木曜日が予約日で、胸部X線で両側胸水を認めた。

 4月から担当してもらっている腎臓内科医がトリクロルメチアジド(フルイトラン)を追加して、経過をみることにしていた。症状が続いて、昨夜は救急搬入となった。

 酸素飽和度が80%台(室内気)で、救急隊が酸素5L/分マスクにして搬入した。連絡がきた時は酸素飽和度100%になっていて、酸素量を下げられそうです、と言っていた。血圧は150で保たれている。電解質はNa・Kが正常よりやや高めだった。

 救急外来のソルラクト500mlの点滴を、5%グルコース500ml・20ml/時でキープして、フロセミド(20㎎)1Aを静注してもらうことにした。

 現在内科病棟は、新型コロナウイルス感染症患者が多数入院するのに備えて、入院10名にしぼっている。新規入院は循環器科病棟になり、内科系が全部そこに入れるしかない状況になっている。

 当院の循環器科は平日時間内営業なので、その日は内科で入院にして、翌日(今日)循環器科扱いにしてもらうことにした。幸い入院後の尿量が1200mlあり、酸素吸入1L/分で(ベット上安静では)特に息苦しくないと言っていた。難聴があるが、小柄なかわいいおばあさんだった。

 心電図は正常洞調律で心房細動はない。昨年のと比較して、肢誘導の電位と胸部誘導のT波減高があるが、心筋梗塞をおこしたようではない。聴診で明らかな心雑音はなかった。

 心エコーでEF63%と良好な値だったが、画面でLV motionを見ると、(素人目にも)左室の収縮はもっと低下いているように見えた。午前中に胸部CTも行ったが、結構な胸水貯留だった。心不全の原因は、”年齢的に弱っている?”。

 炎症反応陰性でCKDの悪化もないので、循環器科の扱いになって、フロセミドの点滴静注が開始された。

 左が昨年の、真ん中が先週木曜日の、右が昨夜の胸部X線。今日の胸部CT。先週フロセミドやダイアートを処方していたら、何とかなっただろうか。年齢的には入院なので、その時点で循環器科紹介がよかった。

 

 4月からが大学病院の腎臓内科の若い先生が交代で応援にくることになった(3名が4か月交代で1年間)。勤務は月~木で、金曜日からの週末は大学に戻る。当初は内科の手伝いということだったが、実際は透析を2日診るので、内科としては内科外来を1日手伝ってもらうだけになる(入院は持たない)。

 腎臓内科常勤医なし(毎日バイトでつなぐ)で透析患者120名超を診ているので、腎臓内科医が院内にいる(月~木の日中)というだけでもいいのだろう。

 

コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CareNeTV千葉大GMカンファランス2015

2020年04月29日 | Weblog

CareNeTV
千葉大GMカンファランス2015

 ちょっと古いが、また見なおした。症例2ではノンレム睡眠・レム睡眠の違いの説明から始まり、目からうろこのカンファランス。回答しているのは研修医なので、ズレた回答でも、生坂先生は極力褒めるようにしている。緑色は生坂先生の発言。


症例1 31歳男性 全身の筋肉痛様の症状

現病歴:
・1か月前から体の痛みを自覚していた。
・2日前(月曜日)起床時に全身の痛み(特に大腿と胸腹部)で近医に受診した。血液検査で異常なく帰宅
・前日(火曜日)トイレに起きた際、再度全身の痛みを自覚。痛みで動けず、救急車を要請した。ボルタレン50㎎を挿肛し、点滴を1本行ったところ動けるようになり帰宅。
・(水曜日)原因検索目的に当部紹介。
社会歴:妻と二人暮らし。2か月前に昇進。
嗜好歴:タバコ20本/日、機会飲酒
既往歴:特になし
内服歴:(健康食品も含めて)なし
ROS:食欲低下、体重減少(3か月で10Kg)

身体診察:
BT37.2℃、PR78回/分、BP123/60mmHg、SpO2 98%
身長172cm、体重85Kg、BMI28.7
頭頚部・胸腹部:異常所見なし
四肢:末梢動脈触知良好、浮腫なし
筋骨格系:異常所見なし
神経所見:正常範囲

血液・尿検査
WBC5200、Hb14.1g/dl、血小板23.3万、TP6.1g/dl、アルブミン3.7g.dl、AST26、ALT79、LDH175、ALP223、γ-GTP49、CK124、BUN18、Cr0.70、Na143、K4.2、Cl108、血糖103、HbA1c5.2%、CRP0.1、尿検査異常なし

VINDICATE+Pの中でも
SQ:発作性だと
   ↓
  VAPES
V:Vascular
A:Allergy/Autoimmune
E:Endocrine-Metaolic/
Electrolyte/Environment
P:Psychiatric/Psychogenic
S:Seizure/Syncope

追加の問診
・日曜日の夕食はラーメンとチャーハンを食べ、妻が残したラーメンも食べた
・月曜日の朝、1回目の発作
・月曜日の夜、実家へ帰り、母の手料理を堪能
・火曜日の朝、2回目の発作で救急受診
・水曜日に当部受診

追加の検査
・TSH<0.003μU/ml(0.2-4.5)
・FT3 19.13pg/ml(2.2-4.3)
・FT4 2.81ng/ml(0.8-1.6)
・TR-Ab 4.6U/l(2.0未満)

発作性の病気
 発作時は受診できないので、確認できない
 失神、けいれんなど
 誘発?

経口負荷試験
 血清K低下→痛み・脱力

膝を曲げない
・膝関節痛
・脱力(筋力低下)があると、膝を屈曲できない

診断
 甲状腺中毒性周期性四肢麻痺
+甲状腺中毒性ミオパチー

周期性四肢麻痺
反復性・発作性に四肢の弛緩性麻痺を来す疾患
・筋痛を伴うことがある
・病因は骨格筋膜における電解質チャネル異常
・血清カリウム低値型(甲状腺機能亢進症合併型または遺伝性)、および正常~高値型(遺伝性)
・本邦では青年男性例の甲状腺機能亢進症に伴う低カリウム性が多い(10万人に1人)
-アドレナリン↑やインスリン↑が誘因(激しい運動、ストレス、高炭水化物食
-発作は暴飲暴食後の早朝に多い
-発作時にカリウム補充、発作予防にβブロッカーが有効

Take home masssage
・For Students:周期性四肢麻痺は、反復性・発作性に四肢の脱力を来す疾患。多くは低カリウム性で甲状腺機能亢進症に伴う
・For Doctors:疼痛は筋力低下をマスクする(病歴、身体所見ともに)。甲状腺機能亢進症でも食欲低下を来す。

 

症例2 70歳男性 咳嗽、喀痰
A総合病院からの紹介状の内容
1.病的骨折
2.夜間の異常行動
3.帯状疱疹
4.ファムビルによる横紋筋融解症
5.舌潰瘍
6.咳と痰
7.大腿部腫瘤

(8か月前)
右大腿部腫瘤に気づいたが放置。
(4か月前)
皮膚科で帯状疱疹。ファムシクロビル内服翌朝から背部痛出現。横紋筋融解症(CK2万)、胸椎圧迫骨折でA総合病院整形外科入院。内服中止後CK正常化。
(3か月前)
舌潰瘍でB歯科大学病院紹介。舌左側に16ミリの潰瘍、細胞診でclassⅡ。
(2.5か月前)
 起床時に左顎関節痛、その1週間後の起床時に右顎関節痛を自覚しB歯科大学病院紹介。両側下顎骨を骨折指摘。
(2か月前)
早朝、トイレから自室に戻らず別室で寝ていた。その後週1回程度、亜y館の異常行動を認める。
(1か月前)
睡眠時無呼吸症候群疑いにてC大学病院呼吸器内科紹介。
(2週間前)
咳、痰が出現。
(3日前)
呼吸器内科よりREM睡眠行動異常疑いにてC大学病院神経内科紹介。CRP13.9mg/dl判明。腰椎穿刺を予定されたが、咳・痰が悪化し、総合的精査目的に当部紹介。

社会歴・嗜好:妻と二人暮らし、子供二人は独立
タバコは5年前まで2箱/日、機会飲酒
既往歴:高血圧症、肺気腫、胃食道逆流症
常用薬:オルメテック20㎎、カルブロック16㎎、パリエット10㎎、スピリーバ吸入
ROS:下顎骨骨折で摂食困難となり8kg体重減少
身体所見:
・体温37.0℃、脈拍119/分、血圧13/75mmHg、呼吸数30回/分、SpO2 92%(室内気)
・BMI23.5(170㎝、68kg)
・顎関節を含め頭頚部異常なし
・左下肺野にcoarse crackles(+)、心雑音(-)
・腹部、背部異常なし
・右大腿に15cmのsoft mass
・外傷痕なし、四肢異常なし
・神経学的検査異常なし
・HDS-R 30点/30
検査所見:
WBC17500、Hb14.5g/dl、血小板30.6万、TP7.1、Alb3.7、AST14、ALT15、LDH213、APL71、γ-GTP21、CK21、BUN24、Cr1.16、Na143、K4.2、Cl108、Ca8.8、P2.6、血糖98、HbA1c4.9%、CRP13.9、尿検査異常なし
胸部X線:左下肺野背側に浸潤影(肺炎)、滴状心(肺気腫)、胸椎圧迫骨折
 vertebral sign(正常では脊椎は下位ほど透過性が亢進するが、してない)から浸潤影を指摘できる
前医の特殊検査:
・骨密度:YAMの96%
・TRACP-5b(骨代謝マーカー):544mU/dl(170-590)
・蛋白分画、免疫電気泳動異常なし

妻からの情報
・2か月前、朝方トイレから寝室に戻らず、空き部屋で寝ていることで気づいた。本人は覚えていないとのこと。以来心配で同じ部屋で寝ている(いびきがひどいので別に寝ていた)。
・入眠後2~3時間して、突然呼吸が荒くなり、両手を動かしてもがく。1~2分で落ち着くが、そのあと必ずトイレに立つ。翌朝、これらの記憶はない。

睡眠時随伴症Parasomia
■レム睡眠異常
・レム無睡眠行動障害(RBD)
■ノンレム睡眠異常
・睡眠驚愕障害(夜驚症):小児
・睡眠時遊行症(夢遊病):小児
・錯乱性覚醒(眠剤、アルコール)

ノンレム睡眠
脳は完全休息→眼球運動なし
  non-rapid eye movement
筋肉はある程度動く
  寝返りを打つため
ノンレム睡眠異常とは脳の覚醒の障害→覚えていない

レム睡眠
脳は覚醒に近い=夢を見ている
眼球運動(+)
  rapid eye movement
筋肉は完全脱力
(脳が完全に覚醒して、動けない→金縛り)
レム睡眠行動異常は(ゼロになるはずの)筋力に、スイッチが入ってしまう→夢の中の通りに動いてしまう。また、行動を覚えている。

この症例ではレム睡眠行動異常では合わない
・2か月間の夜間行動をまったくおぼえていない
・入眠2~3時間後に起きている(レム睡眠睡眠異常は朝方が多い)

放射線科医がわからない時に考える4つの疾患 SALT
S:Sarcoidosis
A:AIDS
L:Lymphoma
T:Tuberculosis

下顎骨骨折はまれ それも両側!
・外傷の既往なし
・ビスホスホネート製剤の内服なし
・?

VINDICATE+P
SQ:発作性
  ↓
 VAPES

妻に夜間の発作をビデオに録ってもらった→けいれん発作(てんかん)

妻の解釈
・びっくりしたけど、両手がうごいていたので脳梗塞ではないと思い、安心した(すぐに病院に連れて行こうとは思わなかった)
・”てんかん”は遺伝性の若い頃からの病気と思っていたので全く考えなかった

最終診断 
 てんかん(複雑部分発作)
 多発性脳梗塞(症候性てんかん)

Terminology
けいれんseizure
・すべての発作
・運動発作convulsion
てんかんepilepsy
・けいれんを繰り返す場合

てんかんの分類
全般generalized
・大(大発作grand mal)
・小(小発作petit mal、欠神発作)
部分partial、focal
・単純(意識障害なし)
・複雑(意識障害あり)

睡眠関連てんかん
・てんかん発作の70%以上が睡眠中に起きる
・入眠後3時間以内と覚醒直前のノンレム期に多い
・覚えていない”寝ぼけ”はてんかんを鑑別する(小児では夢遊病や夜驚症)

前頭葉補足運動野の発作
・非対称性の強直発作
・フェンシング肢位
-焦点と逆方向に頸部と眼球を回旋(向反発作)
-体側の上肢を伸展、同毒の上肢を屈曲
-発声や間代性発作も伴う

紹介元の神経内科で施行した脳波検査は異常なし

治療
・テグレトール100㎎眠前内服
・夜間の異常行動、骨折、横紋筋融解症、舌潰瘍、肺炎の再発なし

最終診断(細かく言うと)
 睡眠関連前頭葉てんかん

Take Home Massage
・For Students:外傷歴が明らかでない高度の筋骨格系障害(骨折、脱臼、横紋筋融解症)では、けいれん発作を鑑別する
・For Doctors:覚えていない”寝ぼけ”の鑑別に睡眠てんかんを含める
・部分発作は左右差のため、目撃者はてんかんだと思わない

壮年以降の睡眠時随伴症
レム睡眠異常
レム睡眠行動障害(RBD)
■ノンレム睡眠異常
錯乱性覚醒(薬剤)
睡眠関連てんかん

80歳代では(累積)3%でてんかん発作を繰り返している

てんかん
→行動異常
→多発骨折
→誤嚥性肺炎
→咬舌~舌潰瘍
→横紋筋融解症

臓器横断的、bio-psycho-socialに関連づける総合診療医の思考プロセス

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

急性大動脈解離

2020年04月28日 | Weblog

 昨日救急当番だった内科の若い先生から、78歳心窩部痛の患者さんを受けれていいでしょうか、と連絡がきた。発熱・呼吸器症状はなかった。胆石かな、心筋梗塞もありかもと思いながら、受けてもらうことにした。

 その後連絡がきて、大動脈解離ですという(CT撮影の時に放射線科技師さんが指摘したのかもしれない)。単純CTのオーダーだったので、急遽造影CTを追加した。

 上行大動脈~大動脈弓にはなく、(胸部)下行大動脈から腸骨動脈まで解離していた。偽腔開存型で、左腎動脈は偽腔から出ていて、左腎臓(部分切除の既往あり)の造影が弱い。

 血圧は200/120と高値で、これまで高血圧症の治療歴があるが、中断していたそうだ。ニカルジピン静注で血圧は140になった。

 いつもお願いしている心臓血管センターのある専門病院に連絡した(トレーニングとして若い先生にしてもらった)。通常ならばベットに空きがあればすぐに受けてもらえるが、今回は違った。

 折り返し連絡しますと言われて、返事待ちになった。救急室に来ていた外科の先生と、だめだったら大学病院か県内有数の市立病院かと相談していた。10分後に先方から連絡が来て、受け入れOKとなり、救急搬送した。

 この時期なので、発熱なし・呼吸器症状なしでも、病院内の感染の担当者に相談して受けるかどうか決めているらしい。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胃腸炎という病名はないという話

2020年04月27日 | Weblog

 土曜日の午前3時すぎに発熱・嘔吐の77歳男性が救急搬入された。こちらも金曜日の当直の先生(外部の病院からのバイト)が対応した。

 午前5時15分に連絡がきた。体温は37.6℃。嘔吐しているが腹痛・下痢はないので胃腸炎の初期だと思う、入院させたいとうことだった。白血球18000・CRP1.3というから、何らかの細菌感染の初期像を示唆するかとは思った。

 普段は地域の基幹病院に糖尿病・高血圧症で通院している。居住地もその近くだが、発熱を警戒して搬入を拒否したらしい。発熱外来を始めたという話は聞いていたが、日中でも発熱患者の受け入れには慎重なので、時間外は基本的に受け入れていないのだろう。

 土曜日の日直で病院に来てから病室に行った。症状は、トイレに起きた時にまず悪寒がした(悪寒戦慄までではない)。その後に嘔気・嘔吐が出現した。入院してからは、嘔気が軽度に続いていて、今日は食事は要りませんという。

 腹痛はなく、下痢もなかった。咳は少ししていたらしい。胃腸炎の初期像でない。尿検査は異常がなく、CT像で前立腺肥大があるので血清PSAも採血分で追加検査したが、正常域だった(前立腺炎は否定的)。

 胸部CT(当直医は胸部CTだけ撮影して腹部はとっていなかった)を見てみると、右肺の中葉・下葉と左肺の下葉に淡い陰影がある。当院は初診で比較する画像はないが、肺炎があるようだ。

 患者さん自身が、「以前肺炎になった時と同じ症状だ」と言っていた。本人が一番よくわかっている。

 当直医が胃腸炎としてクラビット点滴静注を1回使用していた。抗菌薬を肺炎用のセフトリアキソンに変更することも考えたが、肺炎としてクラビットで継続することにした。比較的元気なので、途中でクラビット内服に切り替えて早期退院にできそうな気がしたから(抗菌薬適正使用では推奨されない)。

 入院後は解熱していて、嘔気がまだあって食欲がないと言う割には7~8割摂取していた。

 

 「腹痛/急性腹症」の窪田忠夫先生が(著書で)言っていて、今回購入した「腹痛のなぜ?がわかる本」著者は匿名(医学書院)にも記載されている、胃腸炎という病名はないという話。

 「急性胃腸炎」というからには「急性胃炎」と「急性腸炎」が同時に生じている必要があるが、通常は単に「腹痛+嘔吐+下痢」で受診した患者を「急性胃腸炎」と呼んでいるにすぎない。

 たいていは「急性腸炎(まず感染性腸炎)」で、嘔吐は二次的に生じた症状で「急性胃炎」の症状ではない。「急性胃炎」は「急性腸炎」とは全く異なる概念で原因も違う。

 下痢がないのに「急性胃腸炎(正しくは急性腸炎)」とは言えないので、当直医が「急性胃腸炎の初期像?」と言ったのは、そこは踏まえているということになる。

 嘔気・嘔吐は消化器疾患や他の領域でもある程度重い疾患に伴うので、差し引いて考える必要がある。今回の患者さんは「発熱・悪寒」の患者さんで、その鑑別になる。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10年続く左下腹部痛

2020年04月26日 | Weblog

 金曜日の当直医は外部の病院からの応援医師(バイト)だった。土曜日の午前0時半に連絡がきた。午後11時に腹痛で受診した50歳男性を入院させたいという。

 何でも10年前から、同様の左下腹部痛が断続的に続いている。1週間前にも大学病院の救急を受診して、造影CTや血液検査を受けて、異常なしとされていた(鎮痛薬のみ処方)。当院でも救急外来で単純CTと血液検査を行ったが、異常はなかったそうだ。

 その日はたまたま当地(といっても隣の市)に来ていて、仕事が終わって自宅に戻ろうとした午後6時に腹痛が始まった。最寄りのコンビニの駐車場で持参の鎮痛薬(その時は歯科でもらったカロナール)を2回飲んで様子をみていたが、腹痛がひどくなって当院の救急外来を受診した(隣の市には小規模な私立病院しかない)。

 

 土曜日の日直で病院に来てから、病室に行って診察した。受診後は腹痛が自制可能となって、点滴だけをしていた。左下腹部が痛いというが、腹部は平坦・軟で圧痛はない。腹部の奥の方が痛いという。肛門痛ではない。

 朝方入院した肺炎の患者さんを診たりしているうちに、左下腹部痛が悪化して顔をしかめていた。腹痛時は1)アセリオ1000mg点滴静注、2)ソセゴン15㎎筋注(静注も可)の指示だが、ちょっと段階的に試してみたくなった。

 まず効かないとは思ったが(鎮痙剤の)ブスコパン1A静注をして、まったく効果なし。次にアタラックスP点滴静注をして、やはりまったく効果がなし。アセリオ1000㎎点滴静注も、カロナールを2回内服して効果がなかったことから効かないかもと思ったが、その後は軽減したようで、ソセゴンは使用しなかった。

 

 10年前に発症した時は、近くの病院から大学病院に紹介された。その後、労災病院に紹介されたり、医療センターに紹介されたりしていた。正確にはわからないが、腹部CT・大腸検査・血液検査が行われて、異常なしとされた。

 1週間のうち2日くらいは軽快している日があるが、それ以外はずっと断続的に痛い。夜間に痛くて横臥できず、座位になったり壁に寄りかかって寝るそうだ。痛いときはじっとうずくまるのではなく、動き回る。発熱は伴わず、胸痛や関節痛はない。便通異常はなく、粘血便はない。

 さまざまな大病院を受診しても原因不明なので、自分で市販のロキソニンを飲んで経過をみていたそうだ。1週間前は腹痛がひどく、別の大学病院を受診したのだった(これまで行ったことがない病院に行ってみたということ)。結果は同じく検査で異常なし。

 当院での血液検査で白血球が9000と増加していて好中球増加になっていた。CRPはまったくの陰性。生化学検査は正常域。白血球増加は意味があるのかもしれず、CRPは3日後に上昇するかもしれない。

 建築業の自営で、妻子もいて、社会生活はきちんとされている。診察した印象では心因性の問題ではないと思われた。こじれた過敏性腸症候群でも、炎症性腸疾患でもないようだ。

 好酸球性胃腸炎や自己炎症性疾患くらいしか思い浮かばず、さっぱりわからない。決まった病院を継続受診して、稀な病態も考慮してもらわなければ、検査して異常なしの繰り返しになる。

 患者さんの居住地から一番近い総合病院は、医療センターになる。消化器内科よりは総合診療科の方がいいかもしれない。遠方で実際の受診は無理だと思うが、千葉大総合診療科や獨協大総合診療科を受診したら、どのような診断がなされるのだろうか。

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CareNeTV 千葉大GMカンファランス2016

2020年04月25日 | Weblog

CareNeTV
千葉大GMカンファランス2016

診断方略
・imagine a patient
・Draw a big picture
・Key word abstraction
・Early hypothesis generation
・Bear heuristic bias in mind
・Increase prbability by  exclusion

症例1 24歳男性 急に暴れ出す

・X-1年1月、会議中に耐えがたい眠気と両下肢の落ち着かない感じが出現、いてもたってもいられず大声で叫んだ。休憩室で休まされ、約10分で症状は軽減した。
・X-1年3月、勤務中にシュレッダーをかけていた際に眠気が出現。その場にうずくまった後、何とかしたいと思って階段を駆け下りた。王かけてきた上司に呼びかけられてハッと我に返った。
・X年2月、職場で同様の症状が出現。大声をあげてロッカーを叩くなどの行動をとっていたところを同僚に制止され、5-10分で症状は軽減した。

社会歴・嗜好:
独身、実家暮らし
2年前に就職
タバコ5本/日、機会飲酒
既往歴:
なし
内服薬:
定期内服や健康食品の使用なし

身体診察
体温36.8℃、血圧122/72mmHg、脈拍60回/分、意識清明
身長162cm、体重79.6kg、BMI30.3
頭頚部・胸腹部・四肢・筋骨格系・神経系は異常なし

血液検査
末梢血、生化学は異常なし

追加の問診
・いずれの発作も年度末の多忙な時期で、昼食を十分に摂れなかった日の夕方か~夜にかけて発症していた。
・数年前の学生時代から、空腹時や運動後にボーッとなることを自覚しており、摂食によって症状が軽快することを経験的に学んでいたが、病的なものとは考えていなかった。
・この1年で13kgの体重増加があった。

食事に関係している。
低血糖の症状が疑われる
インスリノーマ?。

追加の検査
食後5時間(無症候時)
・血糖47mg/dl
・血中インスリン(IRI)33μIU/mL

補食していないのに回復している。
うずくまった後に階段を駆け下りている。
インスリノーマに合わない?。

腹部Dymnamic CT
 膵尾部にインスリノーマ

72時間絶食試験
 24時間で血糖43mg/dl
 インスリン、Cペプチドは出続けていた
遊離脂肪酸、ケトン体が増加しなかった(正常では脂肪を燃焼するので増加)
グルカゴン負荷で血糖が上昇
(正常では絶食でグリコーゲンを使い切るのでグルカゴンで血糖は上昇しない)

診断 
 インスリノーマ

若年発症の内分泌腫瘍で考えるべきこと
・インスリノーマの発症年齢は40歳以上が多い

多発性内分泌腫瘍症(MEN)1型
・原発性副甲状腺機能亢進症
・膵・消化管内分泌腫瘍
・下垂体腫瘍
のうち2つ以上を有する

・インスリノーマの6%がMEN1型
・islet tumorは多発傾向

・MEN1型の90%の症例で副甲状腺機能亢進症が初発症状
→血清Caとintact PTHの測定を推奨

その他の検査結果
・intact PTH 42pg/mL
・下垂体ホルモン すべて異常なし
・甲状腺エコー 副甲状腺腫大なし
・頭部MRI 下垂体腫瘍を認めず→MEN1型は否定的

その後の経過
・腹腔鏡下脾温存膵尾部切除術
→術後は血糖100-120台で推移
症状の再燃は認めていない

インスリノーマ解説
・低血糖発作が主症状
-発汗、震え、動悸、悪心など
(低血糖に気づいて回復行動をとることができる)
・中枢神経症状
-複視、混迷、異常行動、忘却、意識障害など
・しかし、低血糖に繰り返し暴露されると、交換死刑刺激症状の発言が鈍化して低血糖を自覚できずに、いきなり中枢神経症状で発症するようになる→無自覚性低血糖
(精神疾患、てんかん、認知症などと誤診される)

インスリノーマと食事との関係(低血糖)
・空腹時のみ73%
・空腹時および食後21%
・食後のみ6%
→低血糖を想起できない恐れあり

Take Home Massage
・インスリノーマは精神症状が多い
・発作的な眠気の鑑別に低血糖を考える
・食後に低血糖を引き起こすインスリノーマがある
・若年発症の内分泌腫瘍はMENを除外する

症例2 71歳男性 熱(39~40℃)、脈が高い

主訴:熱(39~40℃)、脈が高い
現病歴:
2月20日夜間に突然の胸痛を自覚し、総合病院循環器科へ救急搬送。血液検査、心電図、心エコー、胸部CT施行。症状が軽快したため帰宅。
2月21日発熱が出現し、かかりつけ診療所を受診
3月22日その後も発熱と頻脈が持続し、当院紹介。独歩来院。
既往歴:
後縦靭帯骨化症(11年前、椎弓形成術)、大腸癌(9年前、S状結腸切除術)、前立腺肥大症、脂質異常症、不眠症、便秘症
内服薬:
プレガバリン(75㎎)2Cap分2
フェソテロジン(4㎎)2錠分2
タダラフィル(5㎎)1錠分1
プラバスタチン(5㎎)1錠分1
ゾルピデム(5㎎)1錠分1
ルビプロストン(24μg)2Cap分2
嗜好歴:
禁煙、禁酒(9年前から)
家族歴:
特記事項なし

胸痛のOPQRST
O:突然発症(睡眠中、24時頃)
P:増悪・緩解因子(-)
Q:表現できない激痛
R:
部位:前胸部正中から心窩部、漠然とした範囲
放散痛:(-)
関連症状:悪心(+)
S:再入眠困難あり、痛みでのたうち回る
T:数分でピークに達し横ばい、5時間程度で軽快(完全に消失)

のたうち回るのは内臓痛(どこが痛いかわからない)
体性痛ではじっとしている(動くと痛い)

発熱のOPQRST
O:急性発症(2/21~)
P:NSAIDsが有効
Q:弛張熱(27~40℃、朝から発熱)
R:深吸気時に右脇腹の痛み、悪寒・戦慄(+)、食欲低下(+、1/3程度)
S:生活生活可能、犬の散歩を30分程
T:横ばい

右脇腹痛のOPQRST
O:急性発症(2/21~)
P:増悪-深吸気時、寛解-左側臥位
Q:ズキズキした痛み
R:部位-右側胸部、手拳大
 放散痛(-)
S:ADL障害なし
T:深吸気時のみ、横ばい

急性胆嚢炎で破裂
→(腹腔内へ)腹膜炎
または
→(肝床部へ穿通)肝膿瘍

診断
 穿通性肝膿瘍
(急性胆嚢炎、胆嚢穿通、肝膿瘍)

胆嚢穿孔/穿通
・リスク
 胆嚢炎、悪性腫瘍、外傷、ステロイド、血流障害
・穿孔時は”突然”疼痛が軽減
 ※胆嚢内圧の低下による
・合併症
 内胆汁瘻(十二指腸・結腸への穿孔)
 胆汁性腹膜炎(腹腔内へ穿孔)
 肝膿瘍(肝実質へ直接穿通)
 ※胆嚢底部は血流が乏しく、肝床分は漿膜を欠く

肝膿瘍
症状:
 発熱(90%)、腹痛(50-75%)、肝腫大(50%)、右季肋部の圧痛、黄疸
感染経路:
 経胆道性(約半数)、経門脈性、経動脈性、直達性
起炎菌:
Klebsiella pneumoniae(最多)
E.coli、Streptococcus(milleri、aureus、pyogenes)、Peptostreptococcus、Fusobacterium、赤痢アメーバ(稀:細菌性の1/20)

その後の経過
・スルバクタム/アンピシリン(12g/日)
・血液培養陰性・経皮的肝膿瘍ドレナージ→Klebsiella pneumoniae検出、細胞診(-)
・約4週間で改善
・胆摘は待機的に施行

Take Home Message
・胸痛の鑑別に胆石発作を含める
・肝膿瘍の原因に胆嚢穿通がある
・突然改善する疼痛は穿孔/穿通を疑う

膿瘍は割と元気
細菌との戦いに痛み分け

症例3 15歳女性 激しい頭痛

現病歴:
8/22就寝中に激しい頭痛、および悪心・嘔吐が出現。約30分で軽快。翌朝までに同様の頭痛が2回あり。
8/23近医で血液検査・頭部CT、脳外科で当部MRI、いずれも異常なし。その後も頭痛(+悪心・嘔吐)を繰り返した。
9/10神経内科クリニック受診。抗区暗躍とNSAIDs(座薬)を処方されて以降、頭痛の出現頻度は減少。
10/3神経内科クリニックより当部へ紹介。

治療歴:
8/23-25ミグシス、デパケン、マクサルト、イミグラン、ゾーミック、ロキソニン、ミオナール
8/29ナウゼリン、ロキソニン
8/31マクサルトRPD
9/10ソラナックス、カロナール、ボルタレン
アレルギー歴、既往歴:なし

頭痛のOPQRST
O:突然発症(就寝前)
P:誘因なし
Qガンガンする、最悪の頭痛
R:初期は後頭部痛→次第に右側頭部痛に
随伴:悪心・嘔吐、過呼吸、発汗、動悸
前兆:顔色が悪くなってくる(母親談)
S:七転八倒。学校にいけない。
T:約30分で治まる。症状の出現頻度はひどい時で1時間ごと

身体所見:
体温36.20℃、脈拍72/分、血圧110/72、神経系を含めて明らかな異常所見なし

一般血液・生化学検査:
異常なし

この段階でフロアの3名の先生は正解した

Short-lived headache
 数分以内、長くとも1時間未満
・cough headache、coital headache、寒冷刺激頭痛、入浴頭痛(bathe-related headache)
・thunderclap headache:1分以内にピークに達し数分から通常数時間(時に数日)続く
CT、LP陰性 ※sentinel headacheの可能性あり
・cf.SAH(sentinel headacheを含む):2時間以内に完全消退することはまれ

三叉神経・自律神経性頭痛(trigeminal autonomic cephalalgias:TACs)
・群発頭痛
・発作性片側頭痛
・SUNCT
TACsは
・顔面に出る(三叉神経領域)。
・片側に出る。右か左。

検査
24時間蓄尿
カテコラミン3分画
 アドレナリン42.6μg/日(3.4~27μg/日)
 ノルアドレナリン650.3μg/日(49~168μg/日)
 ドーパミン755.6μg/日(365~962μg/日)
メタネフリン2分画
 メタネフリン1.05mg/日(0.04~0.19mg/日)
 ノルメタネフリン3.28mg/日(0.09~0.33mg/日)

腹部エコー、CT、MRI
 左副腎に腫瘍

褐色細胞腫による頭痛
診断基準
A.間欠的で連続性のない頭痛発作で、以下の特徴の少なくとも1項目と、CおよびDを満たす
1.発汗
2.動悸
3.不安
4.顔面蒼白
B.生化学検査、画像診断または手術のいずれか1つ以上で褐色細胞腫が確認されている
C.頭痛は血圧の急激な上昇と同時に発現する
D.血圧が正常に戻ると、1時間以内の頭痛が消失ないし著明に改善する

褐色細胞腫による頭痛
・褐色細胞腫の患者の51-81%に発作性頭痛が起こる。
・重要な特徴は、患者の50%で15分未満、70%で1時間未満と発作が短時間であること。
・恐怖感、不安、死の切迫感、振戦、視覚障害、腹痛または胸痛、悪心・嘔吐などを伴う。
・発作中、顔面は蒼白になることも紅潮することも

甲状腺エコー
 左葉に腫瘤

追加検査所見
・カルシトニン1500pg/mL(49pg/mL前後)
・CEA3.2ng/mL(<5.0ng/mL)
・intact PTH 50pg/mL1(10~65pg/mL)

褐色細胞腫をみたら
・遺伝性褐色細胞腫を考慮する
-全褐色細胞腫患者の約25%は遺伝性

多発性内分泌腫瘍症(MEN2)
・癌原遺伝子RETの変異(MEN患者の98%で同定)
・甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症など
・MEN2Aおよび2B
-60~80%に褐色細胞腫を伴う(20~40歳代発症)
-悪性褐色細胞腫は少ない
⇒褐色細胞腫の患者をみたら、甲状腺エコー(カルシトニン)によるスクリーニングを考慮
(甲状腺髄様癌が先行)

Take Home Message
・短時間で軽快する発作性の頭痛は、褐色細胞腫を鑑別する
・褐色細胞腫を見たら遺伝性の可能性を考える(特に35歳以下の若年発症、両側性、副腎外)
・甲状腺をチェックする(髄様癌を早期発見)

MEN2は
2C:calcinoma、catecholamine
MEN1は
PPP

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

実は眠れない

2020年04月25日 | Weblog

 3月末に77歳男性が右側胸部痛で受診した。その日の内科新患は、担当だった内科の若い先生(内科専攻医)が前週末で当院の勤務が終了していたので、当方が担当していた。

 めまいで神経内科外来に、慢性閉塞性肺疾患で呼吸器外来(他院の専門医担当)に通院していた。1週間前から右側胸部痛があり、2日前に内科新患を一度受診していた。画像と血液検査で異常を認めず、アセトアミノフェンが処方されていた。

 内服しても痛みが変わらないという。右側胸部に自分で湿布を貼っていたが、湿布負けで湿布の形の発赤ができていた。湿布を貼っていない部位にも小発疹(水泡ではない)が少数あった。

 分布は肋間神経に沿っているようで、持続痛ではない。断続的な電撃痛とは言い切れないが、帯状疱疹の治療で経過をみることにした。

 1週間後に受診した時にも、まだ続いていたが、前回よりは軽減していて顔つきが良くなっている印象があった。帯状疱疹後の神経痛が続いている可能性もあるが、何しろ発疹を確認してないので、推定になる。アセトアミノフェンにリリカを追加して経過をみることにした。

 さらに2週間後に受診した時は、最初の険しさはすっかりなくなっていた。右側胸部痛は軽減しているという。すると、最近(痛みで受診する前から)、寝つきが悪いという話を始めた。

 寝つきが悪いのもあるが、1時間もしないうちに目が覚めてしまう。その後は朝まで寝たり起きたりだという。食欲低下は特になかった。睡眠薬がほしいと言われた(これまで飲んだことはない)。

 うつ状態になっているようだ。睡眠薬よりは抗うつ薬を少なめに使用してみるのが良さそうだ。ジェイゾロフト25㎎を処方して、連休明けに予約を入れた。

 無症候性帯状疱疹~疱疹後神経痛の治療をしていたのは、無駄だったようだ。アセトアミノフェンとリリカは次回受診まで継続としておいた。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

普通に骨折

2020年04月24日 | Weblog

 昨日の木曜日の午前中は救急当番をしていた。3つ隣の町の救急隊から、左下肢痛を訴える82歳女性の搬入依頼があった。

 骨折があるかどうか、まず確認しなければならない。当院は今月で整形外科常勤医が不在となり、整形外科は実質閉科となる。大学病院からの外来診療応援は続くが、入院治療はできない。

 2月に2人いる整形外科医のうち若い先生が別の病院に移動して、その後は整形外科の手術はなくなった。残った先生が開業医への紹介状書きをしていたが、今日まででいなくなる。

 

 転倒した後ですかと訊くと、救急隊員はしていませんと返答した。大腿骨頸部骨折ではないかと訊くと、骨折ではないようだという。左足関節が腫れているというので、発赤・熱感の有無を訊くとあるそうだ。

 住所からは地域の基幹病院の方が圧倒的に近いが、受け入れできないと断られていた。別の救急搬入が続いているのだろう。蜂窩織炎・関節炎(結晶誘発性)なら当院でも診られるが、直接来てみないとわからない。受けることにした。

 搬入された患者さんの左下肢は外転して、右下肢と比べて明らかに短縮していた。大腿骨骨折だった。左手関節(橈骨遠位端)も腫脹して痛みがある。(左下腿から足関節部にかけて発赤・腫脹・熱感があり、蜂窩織炎もあった)

 患者さんに訊くと、前日の夕方に自宅で転倒して、その後から左下肢の痛みで動けなくなったという。救急隊員に訊かれた時は、その日の転倒についての質問と思ったのだろうか。結局、普通に転倒・骨折の高齢者だった。

 当院での入院治療はできない。まずX線検査を行って、骨折を確認して搬送になる。左大腿骨は頸部骨折・転子間骨折の近位部骨折ではなく、その下の転子下骨折だった。(即搬送ありきなので、点滴や採血はしなかった)

 整形外科医に連絡して、最後の仕事?をしてもらった。左大腿骨骨折は明らかで、左橈骨遠位端もちょっとわかりにくいが骨折がある。大腿骨(転子下)骨折+橈骨遠位端骨折(+下腿蜂窩織炎)という、典型的な症例だった。

 あとはやりますということで、基幹病院の整形外科に連絡して、搬送を受けてもらっていた。

 

 もう少し救急隊員にうまく訊けば、骨折として手術のできる病院に直接搬入してもらえたはずだが、X線で確認してからでないと実際は難しいかもしれない。救急隊員が骨折かどうかの判断ができるように丁寧に訊いたつもりだったが、まだ修行が足りないということか。

 整形外科の先生は、来月から県内の別の地域の基幹病院に勤務する予定だ。いったん整形外科医が不在になった後に、当院に赴任された。外傷による四肢骨折の手術が大好きな先生で、基幹病院よりも骨折手術の症例数が多かった。当地域の骨折診療(手術)は基幹病院でしかできなくなった。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の診療風景

2020年04月23日 | Weblog

 新型コロナウイルス感染症の影響が、患者さんたちにいろいろと出ている。入所している施設から外来通院している患者さん(高齢の認知症の方たち)は施設からの外出が禁止されている。家族が病院に処方箋をもらいに来て、薬を施設に届けている(入所者には会えない)。

 

 57歳男性は、急性冠症候群でPCI治療を受けていた。糖尿病の処方はDPP4阻害薬とSGLT2阻害薬の合剤(トラディアンス)・メトホルミン(メトグルコ1500mg/日)・SU薬(アマリール0.5mg/日)で、HbA1c6.5~6.9%で推移していた。(できればSU薬を中止したい)

 前回の2月はHbA1c7.6%と上昇して、年末年始の不摂生が加わったようだ。今回はHbA1c6.5%に戻っていた。体重が3kg減少したという。

 営業の仕事をしていて、外回りは通常通りしているが(運動量は同じ)、発注がほとんどとれない。それがストレスになって食べる量が減ってしまったそうだ。血糖に関しては良くなってます、というしかない。

 

 39歳男性は高血圧症・糖尿病で通院している。糖尿病の処方はほとんど同じで、DPP4阻害薬とSGLT2阻害薬の合剤(こちらはカナリア)・メトホルミン(メトグルコ1500mg/日)・SU薬(アマリール1mg/日)で、HbA1c6.9~7.0%で推移している。(SU薬の減量1mg/日→0.5mg/日~中止を目標にしている)

 食事療法を頑張る時とそうでない時があり、前回は体重が増加してHbA1c7.3%になっていた。その後体重は同じで、今回もHbA1c7.3%だった。さらにHbA1cが上昇しないか心配だったそうで、とりあえず現状維持でほっとしていた。

 仕事はタイヤ製造工場勤務で、現在操業は継続しているが、残業はほとんどなくなったそうだ。

 

 再来の人数は多かったが、前日から次回の予約表を出したり、次回の検査項目をあらかじめ入力して準備していたので、なんと午前11時30分に終了した。(訴えの多い、時間のかかる患者さん?がいなかったことが大きい)

 隣の市の警察署に拘留されている36歳男性が、3名の警察官に付き添われて外来を受診した(手錠+抑制帯付き)。1週間前に発熱があり、2日で解熱したが、その後咳が続いているという。

 小児喘息の既往があり、成人になってからも風邪を引いた時に咳が長引くそうだ。聴診で軽度の喘鳴が聴取された。喘息症状としての咳だった。鎮咳剤と吸入ステロイド(ICS/LABA)のレルベア処方して、2週間は吸入を継続してもらうことにした。

 隣の市からわざわざ当院に連れてきたのは、新型コロナウイルス感染症の可能性もあるからということらしい。内科の責任者なので、拘留中の容疑者が受診した時に診察する係り?になっている。

 

コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺炎球菌肺炎

2020年04月22日 | Weblog

 月曜日に隣町の病院から肺炎の86歳男性が搬送されてきた。今どきだと、新型コロナウイルス感染も否定できないということだった。

 左肺に広範囲に広がる肺炎で、尿中肺炎球菌抗原陽性だった。白血球22400でCRP>40と振り切れていた。

 案外患者さんは元気だったが、酸素飽和度はさすがに90~92%と低下していた。肺炎球菌肺炎なので(喀痰培養も提出)、通常の抗菌薬で治療を開始した。

 入院時には39℃の発熱があったが、翌日には解熱した。食事摂取も半分以上はできる。時間はかかるが、軽快してくれるだろう。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする