なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺化膿症

2014年11月30日 | Weblog

 空洞を伴う浸潤影を呈した30歳男性は3回の抗酸菌塗抹で陰性だった(培養とPCRも提出している)。通常の抗菌薬投与で解熱して、陰影も軽減してきた。炎症反応も順調に改善した。浸潤影が軽快した後に空洞が表れてきた。

 大学病院から応援で来ている呼吸器科医にCTを見てもらうと、「これは結核でしょう」と言われた。私たちの印象は間違っていなかった。その後結核菌塗抹が3回陰性で、喀痰培養で黄色ブドウ球菌が検出されて、浸潤影の軽快したところに空洞が出現したことを聞くと、「それは(ブドウ球菌の肺化膿症として)ありえます」とも言われた。入院じには、結核のことだけ気にしていたので、血液培養をとっていなかった。黄色ブドウ球菌なので、肺化膿症としてなら抗菌薬は4週間くらいの投与だが、心内膜炎や化膿性脊椎症があれば、6~8週間投与になる。心エコーを行ってvegetationの有無を見なければならない。

 駅で保護された人なので、外来になると来るかどうかわからない。抗菌薬投与の投与が終わるまで入院にする必要がある。家族とは何年も連絡がつかなかったが、退院後の生活はどうするのだろう。

 この土日は日当直もなく、内科の当番でもないので休んでいた。いまのところ病棟からの連絡もない。「肺HRCTエッセンシャルズ」を読んでいるが、本当にいい本だ。これをマスターすれば、肺疾患がかなりわかるようになると思う。

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結核診療は危うい

2014年11月29日 | Weblog

 県内に結核患者の入院治療ができる病院は1か所しかない。それも当地からは相当に遠い場所にある。大学病院でもなくしてしまったし、赤十字病院でもなくしてしまった。それでは結核患者は減っているのかというと、減ってはいない。当院でも年に2~3人は診断される。排菌していれば当然入院治療になる。病院の場所からいうと島流し状態だ。聴いた話では、難治性肺炎として治療されて、悪化してから診断される場合もあり、結核病棟に入院して数日で亡くなることもあるそうだ。

 その唯一の病院は県立で大学病院からの赴任・支援運営していたが、次々に診療科が手を引いて、病院自体が存続に危機にある。結核を診ている呼吸器科医2名のうち1名はもう辞める予定だ。大学病院から応援に来ている感染症科の先生に聞いた話では、結核病床は1床あたり相当額の補助金が国から出ているが、それが結核病床を持っていた病院にきちんと渡らなかったので、病床がなくなっていったという。

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間質性肺炎

2014年11月28日 | Weblog

 間質性肺炎の87歳男性が基幹病院呼吸器科から戻ってきた。肺炎で当院に入院して、1週間抗菌薬投与で治療したが改善しなかった。間質性肺炎と気づいて、転院治療をお願いした。気管挿管・人工呼吸器管理を4日行い、ステロイドパルス療法に反応して、なんとか助かった。その後、プレドニン50mg/日から開始して、2週間経過した今は40mg/日になっている。

 画像の添付がなかったので、今日さっそく胸部CTを撮ってみた。両側肺に見られた間質性陰影は改善していた。両側下肺背側の胸膜直下に軽度の蜂巣肺の変化があり、スリガラス陰影が背側に広がっていたが、全体的には柔らかい陰影に変化していた。CV管理で、糖尿病があって高カロリー輸液(1000ml/日の1号液)にヒューマリンRが混合されていた。食事摂取はまったく進まず、ゼリー食で嚥下を見ていたそうだ。救急で忙しくベット事情が厳しい病院なので、危機を脱した瞬間に戻されたことになる。こちらでもある程度診れるので、あとをまかされたと考えることにしよう。年齢を考えれば当院でステロイドパルス療法を行ってもよかったのかもしれない。電話で頼んだ時に断られれば、自分で診るつもりでいたが、明日受けるという返事が来たのでお願いしたのだった。

 さてここからうまく食事摂取が進んで、プレドニンを漸減できるかどうか。減量途中で再燃する可能性は大いにある。

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うつ病でしょうか

2014年11月27日 | Weblog

 昨日30歳女性が整形外科クリニックの依頼で腰椎MRI検査(画像と放射線科医の読影のみ)のために受診した。画像検査のついでにと午後に内科外来を受診した(救急以外は外来は午前のみ)。内科の若い先生が診察して検査を出した。

 3か月前から腰痛(背部のあちこちといった方がいいか)が急に起きるという。長くは続かない。その症状で整形外科クリニックを受診して、NSAID(セレコックス)を処方されたが、まったく効かない。そのうちに頭痛(これも急に起きてその後治まるらしい)、左足底の疼痛、嘔気(嘔吐はなし)、胸腹部の苦しさ?が断続的にあった。内科クリニックを受診して、不眠があると訴えたので睡眠薬(マイスリー)が処方されたが、不眠は改善しない。一般的な血液検査(甲状腺機能を含む)・尿検査をしてみたが、明らかな異常はなかった。

 19歳の時に、やる気のなさや不安感があり、隣町の精神科クリニックを数か月受診して改善?した既往がある。そのクリニックはいろいろと問題があり、すでに廃院している(院長の薬物問題で新聞に載り、結局院長自殺)。パートだが、縫製工場に勤務して、人付き合いが苦手で孤立した立場と言っていたが、職場では年長者としてなんとか仕事をしていた。先週からは仕事も休んでいた。

 身体のあちらこちらの疼痛を訴えるが、不規則で断続的な症状だった。困っているのは不眠・倦怠感・食欲不振だった。詳しく家族構成を聞かなかったが、お子さんがいる。いっしょに母親が付き添っていた。身体疾患が完全に否定されたわけではないが、精神的な問題のようなのでと精神科受診を勧めたところ、母親は精神科病院に勤務(給食の仕事)しているという。ご本人は身体の病気にこだわっていたが、母親は精神的なものと思っていたためか、すぐに受け入れてくれた。紹介状を書いて、明日受診(今日になるが)することとした。

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留置所からの依頼

2014年11月26日 | Weblog

 昨日の夕方の話。警察の留置所に入れられた人(容疑者というべきか)はもともと糖尿病があったらしい。警察官2名に監視されて、クリニックを受診したところ血糖が400mg/dlと高値で体調不良という。当院に治療をお願いしたいと要請がきた。公立病院なので、どういった扱いになるのか事務方に調べてもらった。外来診療だとすると、警察官監視のまま点滴を受けることになる。入院は警察官の24時間監視がつけば受け入れられると判明した。判明したが、看護部に話がいったりして、結論がでるまでに時間がかかった。先方から、待ちきれないので他の病院を当たりますという連絡が入って、結局警察官立ち合い付きの入院はなくなった。一度見てみたい気がするが。

 今日は83歳女性が内科医院からの紹介で救急搬入された。担当した若い先生の話では、敗血症性ショックということだった。ただし感染巣が尿路ではないが、肺炎かどうかがわからなかった。座位で胸部X線検査が行われて、心拡大と下肺野のうっ血様陰影と胸水貯留があり、葉間胸膜にも胸水が薄くあった。循環器科で心エコーを行うと心機能は意外に良いという。心房細動も結奈弁膜症のなかった。浮腫はない。肺炎の有無を胸部CTで確かめればと言ったが、起坐呼吸で横臥できないと言われた。病室に診にいくと両側肺野で喘鳴が聴かれた。心不全の症状に思えるが、白血球数2万、CRP40と著明に上昇していた。全体像は感染症なのか。ARDSなのか。搬入時よりは入院後症状が軽快してきたので、そのまあ輸液・抗菌薬・利尿薬を継続して、明日可能であればCTで確認することになった。

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アルコール性肝障害

2014年11月25日 | Weblog

 76歳男性が全身倦怠感と食欲不振で内科外来を受診した。AST900、総ビリルビン18でプロトロンビン時間が34%に低下していた。新患担当の若い先生から相談を受けた。腹部エコーで胆道系の拡張はなく、閉塞性黄疸ではなくて肝炎(肝細胞障害そのもの)だった。B型C型肝炎は陰性で、急性A型肝炎かと思われたが、この患者さんはもともとアルコール性肝障害があった。

 昨年5月に胃潰瘍で消化器科を受診していた。胃体部後壁に潰瘍があって、止血処置を要する病変ではなかったが、Hb8と貧血があった。じわじわと断続的に出血があったことになる。PPIと鉄剤内服の外来で軽快して、ピロリ菌の除菌療法を受けて、尿素呼気テストで陰性になっていた。今年の4月に胃潰瘍の治療は終了となった。

 初診時から肝機能障害があり、アルコール性だった。そのころは日本酒2合/日くらいで、禁酒を指示されて一時的にやめたようだが、完全にやめたわけではなかった。初診時のAST・ALTが80前後で、禁酒時は正常範囲になり、経過にフォローで10月に受診した時はまた飲んでいた。(腹部エコーで軽度肝硬変と診断されているが、エコーで軽度の根拠は何だろう)

 忘年会には少し早いが1週間前から会合(宴会?)で3-4日続けて大分飲んだそうだ。一昨日39℃の発熱があり、昨日には微熱になって、今日は平熱だった。つまり、もともとアルコール性肝硬変があり、以前ほどではないが、飲酒は継続していた。最近連日大酒をのんで、肝機能が一気に悪化したということになる。高熱を伴い、急性アルコール性肝炎の形だ。外来で診ていた消化器科医が主治医で入院した。ウイルス性肝炎の可能性もあり、A型肝炎のマーカーも提出した(サイトメガロウイルスとEBVの検査も出していた)。

 この急性アルコール性肝炎というのは教科書に必ず載っているが、案外見ないものだ。典型的な症例は1例しか診ていない。その方は、夫婦でコーラ会社の寮で働いていた。もともと大酒家だが、奥さんにきつく言われていたので飲酒を我慢していた。奥さんが法事で留守にした晩にこれ幸いと大酒をのんで、発熱・発熱・動悸。倦怠感が出現して、救急搬入された。幸い短期間の入院で症状軽快して、離脱症状もなく退院した。奥さんにはこっぴどく叱られていた。

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雑誌の当たり号

2014年11月24日 | Weblog

 医学書院の「medicina」は医局で購入している。自分で毎月買うことはなくて、いい特集があればその号だけ購入している。11月号は金城光代先生編集でリウマチ膠原病。症例が載っていて理解しやすい。当たり号として購入した。毎月この形で出れば毎号買ってもいい。

 メディカルサイエンスインターナショナルの「Hospitalist]も毎号は買っていない。最新号は消化管疾患で、この分野としては今時の先生方が書いていてかなりいい。さっそく購入した。消化器の分野では、感染症・リウマチ膠原病・呼吸器のように米国で専門医を取得した若い先生がリードしているということはないようだ。若手医師セミナーでも消化器の講演はない。まあ消化器はその中でもさらに分野が分かれるので、消化器の何を選択するか難しいとは思う。

 消化器科の雑誌としては、「胃と腸」・「臨床消化器内科」・「肝胆膵」・「消化器内視鏡」などがあるが、興味のある時しか購入しない。毎月買ってもとても読み切れない。それに、はっきりハズレの号もけっこうある。以前「臨床消化器内科」で、何を思ったかイレウスの特集を組んだことがあった。イレウスは外科疾患なので、消化器内科の分野で取り上げることは、医学雑誌でも学会でもまずない。二度とないことなので記念に購入した。執筆者は当然全員外科医だった。

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嘔吐(逆食)・誤嚥性肺炎・一過性意識障害

2014年11月23日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。昨夜からの腹痛・嘔吐で受診した62歳男性は数年前に腸閉塞で入院した既往があり、腹部X線でニボーを認めて腸閉塞再発だった。今日当番の外科医がどこからか聞きつけて、連絡する前から診てくれた。イレウスチューブを挿入した外科病棟に入院となった。

 内科入院は3名だった。一昨日退院したばかりの71歳男性は、退院直後から嘔吐が続いて食事摂取できなくなって受診した。先月に繰り返す尿路感染症に対して泌尿器科で入院して膀胱瘻が留置された。入院中から嘔吐が続き、消化器科に転科して点滴を受けて、逆流性食道炎の処方を受けた。それで症状が軽快して食事摂取できて退院していた。今日は吐物が一部血性だった。連休明けまで再入院で点滴を継続して、担当だった消化器科医と相談することにした。

 脳梗塞後遺症で神経内科に通院している93歳女性が、呼吸困難で救急搬入された。ADLは介助で車いす移動であまり会話はないらしい。救急隊到着時は酸素飽和度が50%台で、酸素10L/分リザーバー付きが開始されていた。それでも飽和度が92%くらいだった。点滴を開始して喀痰を吸引すると、飽和度が上がってきた。胸部X線・CTで両側肺に浸潤影と胸水があった。頭部CTで2か所だった脳梗塞に、右小脳梗塞と左後頭葉梗塞が追加されていた。発症時期は不明。長女が介護している。酸素吸入・喀痰吸引・抗菌薬投与・点滴(心不全があり少なめで)・利尿剤投与などで経過をみるが、心肺蘇生はしない方針で治療(病状悪化時はDNR)することになった。

 糖尿病・高血圧症で近くの内科医院に通院している74歳男性が、意識障害・血圧低下で救急搬入された。昼前から温泉での宴会に出席していたが、日本酒1.5合を飲んだところで、座位の状態から後ろ向けに倒れた。周囲の人が呼びかけても反応がないため、救急要請となった。救急隊到着時も意識レベル3桁だったが、救急車内に運び入れたところで、意識が戻った。ただ、血圧が80mmHg台と低下していた。当院搬入時は意識は清明で普通に会話ができた。点滴が入ると血圧は100mmHgちょっとになった。降圧剤はブロプレス8mg/日のみ飲んでいる。心電図、頭部CT、血糖135mg/dlを含めて血液検査は異常なしだった。温泉に入浴して、多めの飲酒があったと予想したが、温泉にはまだ入っておらず、飲酒量も少なかった。短期入院で経過をみることになった。病棟に上がると血圧は120mmHgになった。

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肺化膿症?肺結核?

2014年11月22日 | Weblog

 30歳男性が家族に付き添われて午後に受診した。症状は1~2週間前からの発熱・咳・痰で、肺炎をきたしていると想定され、実際に胸部X線で右肺に浸潤影を認めた。そして空洞もあった。左肺に気胸もあった。

 胸部CTで確認すると右肺に斑状に浸潤影があり、粒状影も散布していた。そのうちの一部は胸膜直下に2cmの空洞を伴っている。左右の肺にブラが数個あり、左肺の気胸はブラの破裂により起こったものだろう。気胸の程度は軽度でドレーンを挿入するほどではない。

 数か月前に仕事を辞めた後、放浪していたらし。北関東の駅にいるところを警察に保護されて、当地の家族に連絡が入って迎えに行ったそうだ。栄養状態は悪かった。いかにも肺結核になりそうな状況だった。外来で内科の若い先生が診察して、CTの結果をみたところで、相談さらた。抗酸菌塗抹の結果をみて対応を決めることにした。40分後に出た結果は陰性だった。それで肺結核が否定されたわけではない。個室管理で喀痰検査を再検することにした。

 抗菌薬はゾシンを使用して経過をみる。担当した先生はジスロマックも併用することにした。三連休に入ったので、休み明けの火曜日の検査をみないと見当がつかない。

 

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97歳の心肺停止

2014年11月21日 | Weblog

 昨日の午後は救急当番だった。救急隊から97歳女性の心肺停止ですと、受け入れ要請があった。10分くらいで搬入されたが、すでに身体は冷たかった。瞳孔散大していた。

 寝たきりではなく、自宅でなんとか歩いていたそうだ。息子さんの話では、1週間前からムセが目立ち、痰がからんでいたという。ゼリー食を食べさせている時に呼吸が止まったので、自分の食べさせ方が悪くて窒息したのではないかと気にしていた。そのまま心肺蘇生を継続したが反応はなく、息子さんに事情をお話して処置を中止した。脳血管障害も否定できないが、誤嚥性肺炎が疑われた。同意を得て、AIとして頭部CTと胸腹部CTを行った。脳萎縮のみで頭蓋内出血はなかった。両側肺野に広範な浸潤影があり、胸水も貯留している。浸潤影の分布はいかにも誤嚥性だった。昨日今日の話ではなく、数日か1週間かそれ以上前から誤嚥性肺炎をきたしていたと判断された。

 それにしても1週間前までは、見守りがあればほとんど普通に生活していたことになる。悪化してから死亡までの日数は1週間程度だ。見事な一生といえるのかもしれない。数か月前に92歳で死亡した女性と顔つきが似ていた。ひょっとしたら姉妹かとも思ったが、そこは確認しなかった。やせた高齢女性だと同じような顔つきになるのだろうか。

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