なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

重症の便秘

2023年10月03日 | 便秘症

 糖尿病・高血圧症で通院している69歳女性が、10月2日(月)に便秘と腹痛で予約外に受診した。血糖と血圧のコントロールは良好だった。

 便秘症として、酸化マグネシウム330mg3錠分3も処方しているが、残薬があれば処方しなかったりするので、それほど便秘症の状態が悪いという認識はなかった。

 5日前くらいから便秘がひどくなり(排便がわずかか、ない)、腹痛も生じるようになった。2日前からは食事摂取も減っていた。

 外来で腹部を触診しようとすると、ちょっと押したくらいでかなり痛がり、実際に硬さもあった。便秘の悪化から腸管穿孔を来したのかと危惧される状態だった。

 点滴と血液検査を提出して、すぐに単純CTで確認した。腸管穿孔はなく、腹膜炎としての所見はなさそうだ。結腸には硬便が多量にあり、小腸の消化液貯留もある。下行結腸周囲の脂肪組織は炎症があるような濃度上昇があるようだ。

 S状結腸の一部が狭窄を来しているのか、浮腫状なのか、屈曲なのか判別できない。血液検査で白血球は正常域だが、CRP7.0と炎症反応が上昇していた。

 処置室で休んでいるところでまた診察すると、腹部は平坦で軟だった。左下腹部の圧痛も軽度になっている。自分で一生懸命に揉んでいました、という。

 S状結腸の病変の有無を確認するために、造影CTを行った。明らかな腫瘍とはいえないが、はっきりしなかった。その時点で消化器科医に相談したが、確定しがたかった。

 浣腸くらいの前処置でS状結腸だけ見てみます、となった。内視鏡で見ると、S状結腸に狭窄病変はなかった。貯留した便を水とガストログラフィンを注入して、掻き出してくれた。(造影剤使用は便の軟化と処置後にX線で腸管の様子と漏れの有無を確認するため)

 腹部は大分すっきりして処置室に戻ってきた。便秘薬が追加(リナクロチド=リンゼス)されて、後日大腸内視鏡で確認する(total colonoscopy)ことになった。

 

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