なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

違和感のある肺炎(その後)

2022年01月31日 | Weblog

 昨日の日曜日はICD(infection control doctor)講習会に出てきた。今どき感染症関連の学会でwebではなく、完全に現地出席だけで行うのは珍しいかもしれない。

 ICD講習会は参考になることはあまりないので、ほとんど更新の点数稼ぎだけになる。話題はCOVID-19ではあるが、ICNの感染対策の話でも飛沫感染と言っていたので、違うなあと思いながら聴いていた。(感染管理ナースは正確にはincection control nurse=ICNではなくて、Certified nurse infetion control=CNICだが、通称はICN) 

 ふつうICD講習会は多数の医師が更新の点数稼ぎに来るので、受付時は行列ができるが、今回は珍しくまばらだった。

 

 1月26日に記載した「違和感のある肺炎」の患者さんのその後。

 1月23日に両側肺炎で入院した。両側肺に経気道散布したと判断される粒状~斑状影が散在していた。白血球10200・CRP2.4だった。セフトリアキソンとアジスロマイシンで治療を開始している。

 入院後は37℃後半から38℃の発熱が続いていた。3日目の1月25日の血液検査で白血球10500・CRP24.5とCRPが上昇した。入院時から酸素2L/分を継続していたが、酸素飽和度の低下はなかった。胸部X線像はほぼ同じ。食事は全量摂取している。

 抗菌薬をゾシン(PIPC/TAZ)に変更して、1月26日は白血球8600・CRP20,0になっていた。若干解熱傾向?で、酸素飽和度は同じだった。(検査の間隔がちょっと変だが、これは担当の内科の若い先生が木曜・金曜と不在だったため)

 1月27日に呼吸器外来に来ていた、感染症科の先生に相談したところ、「確かに違和感があります」ということだった。筋原性高清酵素の上昇、下痢症状からレジオネラ肺炎も疑われる、と言われた。アジスロマイシン効いていた可能性もあるそうだ。抗菌薬はレボフロキサシンではどうかというアドバイスだった。

 しかし、尿中レジオネラ抗原を再検したが、やはり陰性だった(当院のは血清型1以外もカバー)。そしてその日ははっきりと解熱していた。患者さんは元気だった。1月28日には患者さんからぐっと良くなりましたと言われた。

 ゾシンが効いているようだ。セフトリアキソンが効かなくて、ゾシンが効いたとすれば、緑膿菌などのいわゆるSPACEといわれる菌か、セフトリアキソンが効きにくい口腔内嫌気性菌となるが、それは考えにくい。セフトリアキソンは効いていたのではないか。

 1月29日(土)に若い先生が病院に来て、検査結果を確認することにしていた。結果が良ければ(良くなりそうだった)、ゾシン継続でもいいかもしれないと記載しておいた。

 1月29日(土)の検査では白血球7100・CRP9.9と軽減していた。そのままゾシン継続となった。

 

 入院時からの経過を振り返ると、発熱は続いていたが、酸素飽和度の低下はなかった。(食事摂取は入院時から良好)入院した日の朝からの発症で、急性発症になる。

 3日めのCRP著増は発症からの日数(時間)の問題だったようだ。ゾシンに変更した翌日の白血球・CRPからみて、ピークを過ぎているが、それはゾシンの効果ではないようだ。

 セフトリアキソンが効いていたが、日数の問題ですぐには解熱せず、4日経過して解熱したということらしい。喀痰が出なくて培養は提出できず、尿中肺炎球菌抗原は陰性なので、起炎菌は証明できない。画像からみれば、気管支肺炎の散在になるので、インフルエンザ桿菌かもしれない。

 患者さんの希望もあって、抗菌薬内服(AMPC/CVA)で退院外来治療になった。結果的にはCRPに惑わされた?。

 

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便秘型過敏性腸症候群

2022年01月30日 | Weblog

 新型コロナの健康観察(自宅待機)期間が10日間から7日間に短縮された。倉原優先生がさっそく図を変更していたので、こちらも昨日の分を入れ替えた。この期間だと、数%の取りこぼしが出るそうだが、社会生活維持のためには妥当な期間ということだった。

 

 当院は先週、新型コロナの患者さんが2名入院した。もう一人70歳代の患者さんの入院依頼をするかもしれないと保健所から連絡があったが、解熱したため宿泊療養になったらしい。

 抗ウイルス薬のモルヌラビル(ラベブリオカプセル200mg)は外来処方を想定しているが、入院で使用するかもしれないので、院内にも1回分いれてもらった。

 抗体製剤は、ロナプリーブがオミクロン株には効果がないため、ソトロビマブ(ゼビュディ点滴注射液500mg)を使用することになる。これも1回分院内に入れてもらった。

 ゼビュディは1アンプル8mlで、生理食塩水(生食)50mlまたは100mlに混合して使用する。添付文書に生食から1アンプル分8mlをあらかじめ抜いてから混合するようにとある。特に溶解用の注射液も不要で、混ぜるだけの製剤だ。わざわざ8ml抜くのは意味がないと思うが、その方が正確なのか。

 レムデシビル(ベクルリー)は1バイアルを注射用液19mlで溶解して生食に混ぜるので、その分の生食を抜くのは仕方がない。初日は生食60ml+注射用液38ml+ベクルリー2バイアル、2日目以降は生食80ml+注射用液19ml+ベクルリー1バイアルになる。

 

 

 糖尿病・高血圧症・脂質異常症で通院している77歳男性は、それらの疾患の治療は良好だった。DPP4阻害薬とメトホルミンの合剤(Low dose)でHbA1cが6.5%と理想的な値で推移している。

 当院の他に、精神科病院に以前から通院していた。一応うつ病ということになっているようだが、こじれた神経症という雰囲気の方だった。

 腹痛の訴えがあり、今どき珍しいセレキノンも処方していた。腹痛で予約外の受診が頻回にあった。腹部は平坦・軟で、圧痛も軽度にあったりするが、部位は一定しなかった。

 そのうち腹痛の訴えではなく、頭痛での予約外受診が続いた時もあった。その後はまた腹痛での受診に戻っていた。 

 便秘型過敏性腸症候群に効くとされるリンゼス(リナクロチド)にしてみたところ(1日1回0.5mg)、案外腹痛の訴えが少なくなった。予約外受診が続いた時は妻をつれてきていたが、最近はひとりで受診している。

 たまたまそういう時期なのか、妻は用事があって来なかっただけなのかもしれないが、表情が少し穏やかになったような気がする。

 

 新規便秘薬では、もっぱらアミティーザ(ルビプロストン)の使用が多く、リンゼスやグーフィス(エロビキシバット水和物)の処方は少くなかった。

 最近少しずつ後者2剤を処方するようになった。グーフィスは、便の硬さは適切だが、それでも排便しにくい(腸管の動きが悪い)高齢者で使用している。

 

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濃厚接触者

2022年01月29日 | Weblog

 新型コロナウイルスの感染者が増え続けている。病院の職員ではまだ感染者がいないが、濃厚接触者が出ている。

 感染者あるいは濃厚接触者と確定すれば、対応は決まってくる。訊かれるのは、濃厚接触者の濃厚接触者になるが、どうしたらいいかということだった。

 

 先週末に、看護師さんからご自身の対応について訊かれた。息子さんが東京の高校にいっているそうだ。スポーツの関係で有名校に入ったのだろう。寮生活をしている。

 その部内で新型コロナの感染者が出た。寮で食事も出なくなってしまうので、実家に戻るように言われていた。息子さんは濃厚接触者とされたのかと訊くと、東京は感染者が多く、保健所の指示が出ていないという。

 感染者の濃厚接触者になるだろう息子と同居する人になる。訊かれた時点で、看護師さんは濃厚接触者の濃厚接触者になる。

 息子さんが濃厚接触者としてPCR検査を受けて、その結果をみるまでは対応を決め難い。結果が出るまでは、(看護師さんは濃厚接触者とされないので)出勤できなくはないが、自宅待機でPCR検査の結果を待つ方が無難だろう。

 結局、息子さんは濃厚接触者としてPCR検査を受けて、陽性と判明した。同居の看護師さんは自動的に濃厚接触者になる。ご自身もPCR検査を受けることになったが、陰性だった。

 息子さんは感染者と確定して、宿泊療養になったそうだ。看護師さんは濃厚接触者として、その日から10日間の健康観察(自宅待機)になる。

 

 他の職員からも、濃厚接触者と接触したが(濃厚かどうかも判断しにくいが)、どうしたらいいかと訊かれる。訊かれても困るが、同居者であれば、その濃厚接触者の(少なくとも最初の)PCR検査の結果が出るまでは自宅待機、が無難かもしれない。

 病院職員は濃厚接触者となっても、無症状で毎日検査陰性であれば出勤できることになっている。しかし、「周囲からあの人は新型コロナに感染しているのでは、とみられながら仕事をするのはいやだ」と、病棟の看護師さんは言っていた。職場として許容できれば、自宅待機期間は休んだ方がいいのだろう。

 

 

 呼吸器内科医・倉原優先生のブログをずっと見ていたが、最近はあまり見ていなかった(呼吸器内科の論文は当方には難しいので)。

 倉原先生はYahoo newsに書かれていて、最近また毎回見るようになった。新型コロナについての記事はとても参考になる。(以下の図は倉原先生の記事から)

 健康観察(自宅待機)期間は、それまでの10日間から7日間に変更された。(1月30日変更で修正)

 

図1. 濃厚接触者の定義(参考資料1より筆者作成)
図1. 濃厚接触者の定義(参考資料1より筆者作成)

 

 

図4.陽性者と同居している場合の濃厚接触者の自宅待機期間(筆者作成)
図4.陽性者と同居している場合の濃厚接触者の自宅待機期間(筆者作成)
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肺空洞性病変のある直腸癌

2022年01月28日 | Weblog

 気になっていた患者さんのその後(紹介後)を確認した。

 昨年内科クリニックから当院消化器科に直腸癌の患者さんが紹介されていた。胸腹部CTで直腸腫瘤があり、肝転移・肺転移(結節影散布)もあった。

 当院は外科手術ができないので、高次病院へ紹介になるが、右肺尖部に空洞性病変が問題になっていた。地域の基幹病院に相談したところ、抗酸菌検査をしてからということだった。

 喀痰がほとんどだなかったので、吸入をして何とか提出した。抗酸菌塗抹陽性で、PCR検査では結核菌陰性・Mycobacterium intracellulare陽性と判明した。それで何とか消化器内科と呼吸器内科に紹介できた。

 呼吸器内科では担癌患者で肺病変悪化の可能性ありとして、肺MAC症の治療が開始された(EB+AZM)。

 直腸癌は肺転移・肝転移・そして骨転移があるため、手術不能と判断された。外科でS状結腸に人工肛門造設術が行われて、その後は腫瘍内科で抗癌剤治療となっていた。

 直腸癌は抗癌剤治療でかなりがんばれるが、この場合は全身転移があり肺病変もあり、本格的な抗癌剤治療に耐えられるのかと思った。

 実際は、数日前に患者さんが亡くなっていた。

 

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新型コロナの入院

2022年01月27日 | Weblog

 昨日は、久しぶりにCOVID-19の患者さんが入院した。90歳女性で軽度の認知症があるが、身の回りのことはできるようだ。

 娘夫婦と三人暮らしだが、娘さんがまず罹患して、うつったらしい。娘さん(といっても60歳代)は高次脳機能障害のある夫の介護もしているので、自宅静養となっていた。夫は罹患していないのだろうか。

 発熱はなく、のどの違和感と少し痰が(のどに)からむそうだ。一昨日のPCR検査の結果が翌日に陽性となった。症状を確認したら、そういえばそんな症状があると言ったという。

 血液検査で炎症反応は陰性で、Dダイマー・血清フェリチンは正常域だった(LDHはわずかに上昇)。胸部CTで新型コロナに特徴的な肺炎像はなかった。

 ほぼ上気道炎様の症状で、オミクロン株なのかもしれない(発症者の急増で、全例そこまで検査するかどうかわからない)。このまま無事に退院基準を満たすまで経過してほしい。

 地域の基幹病院にはすでに8名が入院していて、当院への入院依頼がなかったのが、不思議だった(ベット数に合わせてこれまで2:1くらいで対応していた)。今週は後期高齢者や基礎疾患ある前期高齢者の入院が続きそうだ。

 基幹病院では基本的に医師はコロナの患者さんの病室には入らないそうだ。バイタルサインをみて遠隔操作で指示を出している。当院は普通に病室で診察している。

 

 デルタ株と比較してオミクロン株では「のどの痛み」が多く、「嗅覚・味覚異常」が少ないのが特徴。(忽那先生による)

 保健所依頼のPCR検査で陽性になった患者さんの症状からみても、確かにそうだった。といっても、溶連菌やアデノウイルスのようなはっきりした痛みではなく、「のどの違和感」・「のどのイガイガ感」くらいだ。

 

デルタ株と比較した、オミクロン株の感染者の症状の比較(UK Health Security Agency. technical briefing 34より)
デルタ株と比較した、オミクロン株の感染者の症状の比較(UK Health Security Agency. technical briefing 34より)

 

 今週は連日保健所から依頼された濃厚接触者のPCR検査をしている。当院は基本的に当方がひとりでやっているので、30数名までにしてもらっている。検査と書類書きで約1時間かかる。それ以上の時間をかけると、通常の仕事ができなくなる(発熱外来、救急対応など)。

 この時期は寒くてドライブスルー方式で行うのはけっこうつらい(月曜は冷たい風が吹き荒れていた)。手袋は二重にしているが、そのくらいの数でも中の手袋が破れてしまったりする(何度もひっぱられるからだろう)。ガウンは首が開いてスカスカなので、タオルを巻くことにした。

 室内に入って書類の記載をしようとコンピュータに向かうと、手がかじかんで打てず、しばらくさすったりしている。

 地域の基幹病院では100名を超える人数のPCR検査をしているそうだ。医師3名が交代で検査していると聞いた。午後に1時間交代で、30数人ずつを検査しているのだろう。

 今週は当院の分でも30数名のPCR検査で毎日3~5名ずつPCR検査陽性者が出ている。小児や若年者が多い。水泳教室で発生して数か所の小学校の児童から陽性者が出ていた。クラス丸ごと検査になってしまう。

 右肩上がりで罹患者が増加して、おそらくまだピークには達していない。第6波は今月から来月まで続くのだろう。

 

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違和感のある肺炎

2022年01月26日 | Weblog

 内科の若い先生が日曜日の日直の時に、肺炎の68歳男性が入院していた。

 その日の朝から発熱・咳があり、一時的に便が緩かったそうだ。孫がノロウイルスに罹患していて、毎日コンタクトがある。ノロウイルスの検査を行ったが結果は陰性だった。(新型コロナ抗原定量、インフルエンザ迅速試験は陰性)

 血液検査で白血球10200・CRP2.4と炎症反応が軽度に上昇していた。胸部X線で両側肺野に比較的広く浸潤影が散在していた。尿中の肺炎球菌抗原・レジオネラ抗原(当院のは血清型全部に対応)は陰性だった。

 型通りにセフトリアキソンとアジスロマイシン(内服)で治療が開始された。入院後3日間は37℃後半から38℃の発熱が続いている。食欲は良好で、酸素吸入2L/分を継続しているが、酸素飽和度は問題なかった。

 ちょっと早いが2日後の火曜日に検査をすると、胸部X線では入院時より陰影が軽減したようにも見える。炎症反応は白血球10500・CRP24.5と上昇していた。発症後3日目なので、CRPはもっとも上昇する時期に相当する。

 血液培養を提出したり、真菌検査のマーカーや間質性肺炎のマーカーも提出していた(らしくはないが)。抗菌薬はピペラシリン/タゾバクタム(ゾシン)に変更となった。

 入院時から肝機能障害というよりは横紋筋障害と思われる異常があった。火曜日にCKを追加すると5115と高値だった(ASTが154、LDHが252)。血清ナトリウムは正常域。

 入院時の胸部CTを見ると、何だか普通の肺炎としては違和感がある。68歳で元気な方にこんな肺炎を来たすのだろうか。CKの値や下痢の症状を考慮するとレジオネラを想起するが。酸素飽和度は特に悪化していない。

 誤嚥したとすると、こんな分布(経気道散布)でおかしくないような気もする。普通に食事摂取しているが、たまたまむせった?。ゾシンで経過をみていいのかもしれない。

 

 

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リハビリ転院~今どきの処方

2022年01月25日 | Weblog

 地域の基幹病院循環器内科から、うっ血性心不全の84歳男性がリハビリ目的で転院してきた。COPDがあり、当初は昨年11月に肺炎で呼吸器内科に入院したが、それを契機に心不全が悪化して循環器内科に転科になっていた。

 酸素飽和度は92%(室内気)で低下していた。リハビリ後はまた先方の病院の外来に通院するが、在宅酸素療法の導入予定とあり、当院入院中に労作時の低酸素で導入になるかもしれない。

 

 既往歴として、AAEに対してCabrol手術、その後MVR(機械弁)・TAP・CABG、と簡潔に略語で記載されていた。MVRは僧帽弁置換術mitral valve replacementで、CABGは冠動脈バイパス術coronary artery bypass graftだが、他は?。

 AAEは胸部大動脈瘤の分類のひとつで大動脈弁輪拡張症annulo-aortic ectasia、TAPは三尖弁輪縫縮術tricupsid annuloplastyだった。大動脈・大動脈弁、三尖弁、僧帽弁、冠動脈と、循環器病センターで難しい手術を次々に受けていたのだった。

 2017年当院に循環器科があったころに、うっ血性心不全で入院していた。処方はダイアート30mg・セララ25mgに、サムスカ(7.5mg)0.5錠の追加で改善したとあった。その処方を外来で継続していたが、循環器科の閉科とともに、基幹病院に紹介していた。

 今回の処方は、ダイアート30mg・セララ25mgは同じだが、ARNIのエンレスト100mg錠1錠分2と、SGLT2阻害薬のフォシーガ5mgが入っていた(糖尿病はなく心不全として)。いかにも今どきの処方なのだった。

 

 久しぶりに山下武志先生の著書を購入した(題名は村川裕二先生っぽい)。ARNIとSGLT2阻害薬で、2021年から心不全の治療が画期的に変わったそうだ。

 最近ARNI(アーニー)の講演会がよく開かれているとは思っていたが、web講演会は学会以外はあまり聴いていなかった。来月にARNIの講演会があるので、参加することにした(腎臓内科の視点だが)。

 

ARNIとSGLT2阻害薬についてシンプルにまとめてみました: 新時代の心不全治療に向けて

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すべって転倒に注意

2022年01月24日 | Weblog

 週末は内科当番だったが、新規入院の連絡はなかった。日曜日の日直は内科の若い先生で、肺炎の高齢男性が入院になっていた。

 朝病院に出勤すると、職員駐車場が溶けた雪が氷になって、不規則なスケート場状態になっていた。医師用の駐車場は建物の近くになっていて、建物の影になるので雪や氷が溶けにくい。

 

 先週の水曜日に救急室に行くと、外科医が転倒して頭部打撲した54歳女性を診ていた。すでに検査は終了していて、頭部CTでシルビウス裂に出血があった。外傷性くも膜下出血だった。

 朝職場に出勤して、建物に入る前に滑って転倒していた。頭部を打撲して、頭痛が続いて受診したそうだ。意識は清明で、歩いて外科外来を受診したが、CTで所見があったので、そのままストレッチャーで救急室に移動になった。

 脳神経外科医の複数いらっしゃる病院への搬送となった。外傷性だと保存的に診るのだろうか。

 

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転院日に急変しそうだった

2022年01月23日 | Weblog

 先々週、地域の基幹病院呼吸器内科から94歳男性が転院してきた。認知症で施設に入所していたが、食事摂取ができず反応も低下して、救急搬入されていた。

 誤嚥性肺炎の診断で治療して、肺炎自体は軽快してきたが、意識障害が悪く食事摂取は不可能と判断された。家族と相談して、末梢静脈からの補液のみでBSC(best supportive care、要するに看取り)の方針となりました、とあった。

 転院依頼があって、その2日後に当院転院となった。転院して来ると、酸素飽和度が70%台と低下していた。病棟看護師さんが喀痰吸引をすると随分水っぽいものが多量に引けてきた。唾液様というより、唾液そのものだった。

 血液ガスをとると、PaO2 72.0・PacCO2 71.0・pH 7.230と呼吸性アシドーシスだった。肺疾患の既往の記載はなく、看取りということで?画像添付もなかったが、基礎にCOPDがあると思われた。

 そのままだと転院した日に亡くなってしまいそうだった。NPPVで頑張ればいいのかもしれないが、外せなくなる可能性が高いのと、喀痰が多いと到着はできない。といって気管挿管・人工呼吸の適応はないとされた先方での方針決定とも矛盾する。

 酸素投与量の調整(酸素飽和度90%目標で80%台後半も許容)と喀痰吸引(と点滴)をしているうちに、少し安定してきた。家族に事情をお話して、大部屋から個室に移動した。

 肺炎も治ったといえないようなので、抗菌薬も投与した(院内感染相当なので、ゾシン使用)。末梢静脈は週末数日は持たせますと病棟看護師さんが言ってくれた。

 何とか週末を乗り切って、検査に移動可能と判断して、頭部CTと胸部CTを取ってみた。頭部CTでは脳委縮が著明だった。胸部CTでは両側肺背側下肺野に浸潤影があるが、そうひどくはなかった。

 週明けには末梢静脈からの点滴は難しいと言われたので、中心静脈カテーテルを挿入した。軽度に糖尿病があるので、高カロリー輸液にするとインスリンが必要だろう。

 血液ガスは、PaO2 93.0・PacCO2 35.1・pH 7.490と代謝性アルカローシスになっていた(HCO3は次第に正常に戻るだろう)。酸素吸入は中止できた。血圧も安定した。

 急変しそうな状況でいろいろやっているうちに病状は安定している。これで患者さんが開眼して発語があればいいが、それは難しい。このまま点滴継続でしばらく持ちこたえそうだが、先方の病院での方針決定には矛盾した治療になってしまっている。

 

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膵体尾部癌

2022年01月22日 | Weblog

 膵体尾部癌の76歳男性が、がんセンター腫瘍内科から当院消化器科に転院してきた。癌終末期の転院は大抵内科に転院して来る。がんセンターの診療情報提供書でも、特に何科にとは指定されていなかった。

 この患者さんは3年半前に当院消化器科からがんセンターに紹介していたので、地域医療連携室が消化器科医に転院の相談に行ったのだろう。(当院消化器科は1名だけで、数年前から体調不良で仕事をセーブしている)

 

 患者さんは2018年6月末に下腹部痛を訴えて、当院消化器科を受診していた。腹部造影CTで膵体部に造影不良域を認めた。腹水貯留もあった。腫瘍マーカーはCA19-9 が正常域で、外注検査で出したDUPAN-2が520U/ml(<150)と高値だった。

 膵癌による症状と思われるが、下腹部痛の訴えだったので、上部消化管内視鏡検査さらに下部消化管内視鏡検査もしていた。消化管には問題がなかった。

 当院からがんセンター消化器内科に紹介された。PET-CTで膵癌・腹膜播種と診断されていた。EUS-FNABで腺癌を証明しているのは、さすががんセンターというところだ。

 手術適応はなく、腫瘍内科でCVポートを作成して、抗癌剤治療が開始された。これまで3年半持ちこたえているので、有効だったのだろう。

 昨年の11月に腸閉塞となって入院していた。低Na血症でせん妄状態になったり、けいれん重積状態になったりという経過で過ごしていた。けいれんの原因ははっきりしないらしい。

 食事摂取は難しく、高カロリー輸液と抗けいれん薬の点滴静注を継続している。抗癌剤治療の継続が難しくなり、緩和ケアのみとなった。がんセンターには緩和ケア病棟があるが、患者さんと家族は地元の当院への転院を希望したそうだ。

 

 昔膵癌の腫瘍マーカーであるDUPAN-2が出た時に、CA19-9との比較をしたことがある。膵癌ではCA19-9とDUPAN-2が高値を示す症例もあるが、CA19-9 のみが高値の症例、DUPAN-2のみが高値の症例があり、両者は相補的な関係だった。

 CA19-9値を調べたこともある。100以上だとまず進行癌で、診断は容易だが手術適応にならない。正常値(<36または<37)から100の間で診断されると手術適応がある。

 またCA19-9は胆道感染症で一過性に上昇するが、炎症の改善とともに低下する(前立腺癌のPSAもそうだ)。無症状でもCA19-9が100以上という症例があるが(検査されやすい糖尿病の患者さんなどで)、経過を追って再検すると値は低下する。再検で下がる症例は、2年程度の経過で膵癌は発生しなかった。

 今回これまでの経過を追ってみて、DUPAN-2 高値というのが当方としては懐かしかった。食事摂取はできない状態だが、ステロイド投与で症状改善する余地があるかもしれない。

 

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