なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

カンピロバクター腸炎

2016年08月31日 | Weblog

 先週救急搬入された83歳男性が退院した。自宅内で四肢脱力という救急隊からの報告だった。搬入されると、意識は清明で左右さはなく、ストレッチャーの上では両手両下肢を挙げられた。もともと精神遅滞があり、実家で兄の世話になって暮らしている。普段は農作業の手伝いをしている。どちらかというと、付いて来た兄の方が、変形性膝関節症で杖歩行してADLは悪かった。

 暑い中、前日も農作業をしていたが、当日朝から食欲がなく、1回嘔吐していた。腹痛はない。検査でもほとんど異常はなかった。熱中症疑いで入院した。入院後に、下痢していることが分かった。何度も何度も聞くと、どうやら2日前くらいから下痢が続いていたらしい(兄は気付いていなかった)。便培養を提出して、点滴と整腸剤で数日みていた。便培養でカンピロバクターが検出された。点滴だけでも症状は軽減していたが、抗菌薬内服も追加した。

 昨日には下痢は治まり、食欲良好となった。入院後にふらふらと歩いて数回転倒していることもあり、ナースステーション隣の病室に移動させて、念のためゆるい体幹抑制をしていた。特に文句も言わず、大人しく入院生活を送っていた。その場その場での会話は成り立つが、憶えてはいないようだ。看護師さんに世話してもらってうれしそうだった。今日元気に退院していった。やはり、普段は兄よりこの患者さんの方がはるかに元気だった。

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頸部リンパ節炎

2016年08月30日 | Weblog

 整形外科クリニックから、そこの看護師さん(23歳女性)が紹介されてきた。昨日の夕方、クリニックの先生から受診させたいという電話がきていた。高熱と頸部痛が続いているということだった。

 先週の日曜日からなので、発症して9日目になる。まず頸部リンパ節の圧痛が出現して、翌日に発熱もあり、内科クリニックを受診した。のどが痛いというので、咽頭炎としてフロモックスが処方された。熱が続いて、その2日後に当院の内科新患を受診している。ウイルス性でしょうという診断で経過観察とされた。翌日また当院を受診して、ちょうどフロモックスも切れたので、クラビットが処方された。土曜には別の内科クリニックを受診して、クラビットを継続するよういわれたという経過だった。

 当院で対応したのが2回とも大学病院から出張の先生方だったので、整形外科クリックの先生から、常勤医に診てもらいたいということだった。疑い病名はいろいろ出ても確定診断は難しいと思われた。

 確認すると、やはり咽頭痛ではなくて、頸部痛だった。扁桃炎の所見はなかった。頸部リンパ節の腫脹があり、触診だと母指頭大かと判断したが、エコーで見る最大のリンパ節では長径が47mmあった。左右の頸部リンパ節が多数腫脹している。鎖骨下・腋下・鼠径部のリンパ節腫脹は(触診上は)ない。白血球数8000(分画はほぼ正常域)と減少はしていなくて、CRP3.7、赤沈1時間値80mmだった。血小板数は13万で若干低下している。Hb11g/dlでやや貧血気味なのは以前から鉄欠乏性貧血があるそうだ。肝機能障害はない。

 可能性としては、1)組織球性(亜急性)壊死性リンパ節炎、2)結核性リンパ節炎(そんなに多発しないか。胸部X線は正常)、3)悪性リンパ腫(腫脹したリンパ節に圧痛があり、年齢的には考えにくい)、4)何らかのウイルス性リンパ節炎(見当はつかない)、その他になる。

 正確な診断のためにはリンパ節生検だが、この期間で実施するのもた躊躇われた。アセトアミノフェンで経過をみるのもあるが、これ以上仕事を休みたくないので、何とかしてほしいという。診断が確定してない(今の段階ではできない)ことを説明して、組織球性壊死性リンパ節炎疑いとして、ステロイド投与で経過をみることにした。 

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診断はすぐについた

2016年08月29日 | Weblog

 月曜日の内科再来は予約を少な目にしているが、今日は多かった。明日台風が来るので、1日前に来たという糖尿病の患者さんもいた。内科新患を診ていた先生(大学病院から出張)から、90歳女性の入院をお願いしたいと言われた。食欲不振と下肢の浮腫で受診していた。これまで「医者にかかったことがない」人だった。胸部X線で両側肺に腫瘤が多発していて、転移性肺癌と判断される。原発巣検索のため、胸腹部造影CTを行うところだという。

 腫瘍マーカーはCEAとCA19-9が3桁だった。大腸癌と推定され、腸閉塞ではないらしいので(内腔の広い)右側結腸かと予想した。胸腹部造影CTで、上行結腸に全周性腫瘍を認め。肝臓全体と両側肺に転移巣があった。肝臓はかなり腫大している。中央処置室で点滴を受けている患者さんのところに行くと、やせた小柄な患者さんがいた。自分でベットから起き上がってきた。手を耳に当てて、こちらの言うことを聞こうとしているからたいしたものだ。

 同居している娘さんがいったん自宅に戻っていたので、病院に戻ってきてから相談した。診断は上行結腸癌で、多発性肝転移・肺転移がある。癌に対する治療はない。食欲がなければ点滴をするが、それで良くなるというものでもない。病院で引き受けるのはいいが、結局お看取りするまで預かるだけになることを伝えた。

 日中家に(他の家族が)誰もいなくなるので、入院させてほしいという。治療による改善が見込めないのは、それでいいという。患者さんには食欲がないので、入院して点滴をしましょうということにした。診断は来院して2時間で全部ついてしまい、DNRの書類も作成して入院となった。痛みは特にないらしい。最期まで腸閉塞の症状が出ないといいと思う。これまで病院にほとんどかからす、おそらくあと1~数か月で亡くなるので、理想的な人生なのかもしれない。

 

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人工呼吸管理基礎教育プログラム

2016年08月28日 | Weblog

 昨日は日本呼吸療法医学会の「医師向け 人工呼吸管理基礎教育プログラム」に行ってきた。参加していたのは、ほとんどは若い先生方だった。内容はいわゆる講義で、症例を用いて具体的にどう対応するかという実践的なものではない。

人工呼吸開始の基準)人工呼吸の目的は1)酸素化の改善2)換気の改善3)呼吸仕事量の軽減なので、人工呼吸開始基準は1)低酸素血症2)高CO2血症・呼吸性アシドーシス3)努力呼吸・頻呼吸になる。呼吸サポートは段階的に、1)経鼻カニューレ・酸素マスク2)高流量酸素3)NPPV4)気管挿管5)ECMOになる。1~2時間後に評価して、改善(呼吸数・心拍数の低下)を認めなければ、さらなる呼吸サポートを行う(段階を上げる)ことになる。

 人工呼吸の目的はさらに、4)肺障害を悪化させないこと、が重要だが、肺損傷を起こすのは気道内圧ではなくて、経肺圧(気道内圧ー胸腔内圧)になる。患者さんが喘いで換気量が増えた時に人工呼吸のプラトー圧(気道内圧)を下げても、胸腔内圧が上昇しているので、経肺圧は上がってしまう。トランペット奏者の気道内圧は100cmH2Oを超えるが、胸腔内圧も高くなって経肺圧は低いので肺損傷(肺過膨張)はきたさないという。(食道内圧で代用できるそうだが、胸腔内圧は実際には測定できない)。

 人工呼吸開始時には、強い自発努力吸が強い症例ほど、高血圧・頻脈の症例ほど、低酸素血症・血圧低下に対する前準備が必要になる。強い自発努力呼吸から人工呼吸に移行すると、大きな胸腔内圧の消失と背側横隔膜の動きの低下から低酸素をきたす。仰臥位でのは、自発呼吸では肺血流の多い背側の横隔膜が広がるが(換気血流比が良い)、人工呼吸では横隔膜が全体的に均一な広がりになる(換気血流比が悪い)。また人工呼吸では胸腔内圧の上昇から静脈還流量が低下して血圧が低下する。

NPPV)NPPVの禁忌は、心停止・呼吸停止、多臓器不全、顔面の手術後・外傷・奇形、上気道閉塞、気道確保が不能、非協力的、気道分泌物排出が不能、誤嚥の危険性が高い。NPPVが推奨されるのは、COPD急性増悪と心原性肺水腫(CS1・2・4)。ARDSは軽症なら適応あり。喘息は経験豊富な施設で行う。肺炎はCOPDのある症例で行う(COPD急性増悪は肺炎の併発なので同じこと)。

換気モード)強制換気方式は、1)VCV(volume control ventilatiion)量規定換気、または2)PCV(presssure control ventilation)圧規定換気。

 VCVは、1)設定した換気量を設定した流量で来送る、2)設定した回数を時間ごとに繰り返す(time cycle)、3)通常、ポーズを設定する、4)自発呼吸があれば、自発に合わせて吸気を開始 AC(Assist/Control)VCV。吸気pauseの役割は、正常な肺胞が過膨張して気道狭窄のある肺胞は拡張不全になり、ポーズの間に過剰膨張した肺胞から拡張不全の肺胞に再分配される。

 PCVは、1)設定した圧を設定した時間だけ加える、2)設定した回数を時間ごとに繰り返す(time cycle)、3)通常、吸気の立ち上がり時間を調整できる、4)自発呼吸があれば、自発に合わせて吸気を開始 AC(Assist/Control)PCV。PCVにはポーズがないが、まず正常な肺胞が拡張するが過膨張することはなく、圧をかけているうちに気道狭窄のある肺胞も拡張してくるから。

 VCVかPCVかといえば、結論は出ていないがPCVのほうが良さそうだという。世界的にA/C-VCVになっているが、VCVが好まれるのは、気道抵抗Rが評価しやすい、コンプライアンスCを評価しやすい、陽圧Pの要素を解析しやすい、1回換気量を既定できる、などの理由による。ただし現在、人工呼吸器メーカーはPCVのほうに行こうとしているそうだ。

 強制換気の換気設定は、1)肺障害を惹起しない1回(換気量設定 Vt:6~8ml/Kg、2)肺胞虚脱を防止できるPEEP設定、3)肺障害を惹起しない駆動圧 ⊿P<15cmH2O(PCVの方が制御しやすい)、4)分時換気量は換気回数で調整する pH>7.2であればOK(permissive hypercapnia)。

 最近の事情は、1)強制換気と言いながら、吸気相の途中で自由に呼気できる、2)VCVでありながら、患者が自発吸気すれば許容する、3)VCVでありながら、動作はPCVで換気量を保証する、4)PCVでありながらか、、換気量Vtを保障する、ということになっている。

 SIMVは、強制換気と自発呼吸が混在する換気モードで、1)自発呼吸で不足する換気量を強制換気が補う、2)強制換気と強制換気の間に自発呼吸を許容する。問題点は、1)シンクロ機能があっても両者は同調し難い、2)少し鎮静鎮痛が必要になることが多い、3)ウィーニングに時間がかかる。SIMV不要とうy意見もある。

 PSV(Pressure-support ventilation)は、1)設定された圧を患者が吸っている間加える、2)自発吸気で始まる(patient cycle)~自発呼吸がなければ、換気を行わない、3)立ち上がり時間を調整できる、4)呼気トリガーを調整できるものが多い。PSVの立ち上がりは、患者の吸い始めの流量にマッチした選択をする~患者に訊く(チューブがないように吸気できるよう)。

 人工呼吸の警報にまかせきりではだめ~設定に従って自動で停止することがある。人工呼吸器の自己評価としては、換気回数(呼吸回数)、分時換気量・呼気1回換気量、気道内圧(Peek・PEEP)。使用する側の患者モニターとアセスメントとして、呼吸(SpO2/ETCO2)、循環(ECG・BP)、鎮静・鎮痛スコア、呼吸パターンがあり。

PEEP)肺胞が虚脱しないようにPEEP(Positive end-expirotory pressure)をかける。PEEPを設定する画一的な方法はない。胸部X線像とP/Fで決める、症状で決める、PVカーブで決める、Decremental (だんだん下げてみる)PEEP trialで決めるなどがある。エキスパートの経験に基づく設定を行って、あとは微調整していくしかない。

鎮静・鎮痛・筋弛緩)ICUにおける患者管理の基本原則は、1)ますは十分な痛み対策、2)必要に応じた最低限の鎮静~できれば鎮静なしを目指す、3)頻回のせん妄評価、4)状態が安定し次第、可及的速やかなリハビリの開始。筋弛緩は初期の48時間ならば予後を改善させるかのしれない。

人工呼吸の包括管理)通常の呼吸では、室内気の温度22℃・相対湿度50%・水蒸気圧20mmHgが、肺胞気の温度37℃・相対湿度100%・水蒸気圧47mmHgになるよう加温加湿している。人工呼吸ではそれを補う加温加湿が必須。体位や肺炎の予防の話もあったが、このへんで疲れてきた。

ウィーニングと抜管)ウィーニングは人工呼吸を始めた時から開始する(くらいの気持ちが必要)。自発呼吸トライアル開始基準は、1)原疾患が改善傾向、2)酸素化が十分良い~FiO28cmH2OでSpO2>90%、3)血行動態が安定~急性の心筋虚血・重篤な不整脈がない+心拍数<140/分+多量の昇圧薬を使用してない、4)十分な吸気努力がある~1回換気量>5ml/Kg+分時換気量<15L/分+呼吸回数/1回換気量<105+呼吸性アシドーシスがないpH。7.25、5)異常な換気パターンがない~補助呼吸筋の使用(努力呼吸)がない+奇異性呼吸がない、6)全身状態が安定~発熱・電解質異常・貧血・体液過剰がない。自発呼吸トライアルspontaneous breathing trial(SBT)は30~120分酸素吹き流し下の自発呼吸で観察する。

 講義を聴いていた分だけ、テキストが読みやすくはなる。最近の事情を聴けたのが、ちょっとよかったのかもしれない。実際は症例があった時に、詳しい先生に相談しながらやってみるしかないのだろう。

 

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稀少部位子宮内膜症

2016年08月27日 | Weblog

 8月24日のNHK「ドクターG」は神戸市立医療センター中央市民病院の池田裕美枝先生が登場した。症例は、30歳台後半の女性の「足のつけ根が痛い」。婦人科疾患だろうから、子宮内膜症かなとは思ったが、「稀少部位」という言い方にちょっと驚いた。へえ~、そういう言い方をするのか。最初から正解を出していた研修医の先生が「稀少部位子宮内膜症」とフルネームでちゃんと出していた。今の研修医の世代はそう教わっているのか。

 卵巣などの通常みられる部位以外の、比較的あるいは相当珍しい部位に発生する子宮内膜症を「稀少部位子宮内膜症」とするのは、2012年からだそうだ。今回の症例は鼠径部で、比較的珍しい部位になる。昨年当院の外科で手術した回盲部の子宮内膜症も比較的珍しい部位に相当する。10年くらい前、当院に呼吸器科医がいたころ(呼吸器外科も大学から時々手術に来ていた)に手術された「月経随伴性気胸」は胸膜の子宮内膜症なので、相当珍しい部位になる。

 番組の中でも様々な部位に子宮内膜症が生じる原因を解説していたが、部位(臓器)ごとに異なる機序で発生するらしい。通常の卵巣など骨盤内の子宮内膜症は、月経血の骨盤腔への逆流で、子宮内膜(片)が腹膜に生着して生じる。

 帝王切開創(皮膚)に病変が形成される子宮内膜症は、手術時にその部位に生着して生じると説明できる。肺など遠隔臓器の子宮内膜症は、産婦人科手術の既往があり、血行性に飛んだ子宮内膜が遠隔臓器に生着するらしい。胸膜や横隔膜の子宮内膜症は、横隔膜の小孔を通して子宮内膜組織が生着する。横隔膜の小孔は右側に多く、腹腔内には時計回りの還流があり、月経随伴性気胸は9割が右側に生じるそうだ。

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非結核性抗酸菌症疑いとしたが

2016年08月26日 | Weblog

 昨日施設からの紹介で65歳女性が内科新患を受診した。5年前に左小脳と延髄外側の脳梗塞を発症していた。何とか嚥下訓練で経口摂取できるようになり、施設に入所したのだった。最近食事摂取量が低下して、体重が減少していた。嚥下障害もあるが、食べ物をごみ箱に捨ててしまうなど拒食の傾向もあるそうだ。発熱があり、施設内で抗菌薬を投与したと紹介状に記載されていた。

 嚥下障害からの誤嚥性肺炎ならは、肺炎の治療をして、その後胃瘻造設という流れになる。ところがこの方はそう単純にはいかなかった。まず、胃瘻造設をご本人が拒否している。構語障害はあるが、ちゃんと会話はできて判断力もある。患者さん本人が断固として拒否した場合、勝手には処置できない。紹介状に現在の病状を診断してほしいとあったので、外来で一通り検査することにした。

 頭部CTでは以前の梗塞巣が描出された。細かく再発していると頭部MRIでないと評価できないが、神経症状として新規の症状はなかった(MRIはいったん保留とした)。胸部X線・CTで両側肺に気管支拡張症があり、中小の空洞形成と浸潤影があった。喀痰検査をしたいが、痰は出ないという。この肺病変をどう評価するか。

 副鼻腔炎の症状はないそうだ。以前の胸部X線はあるが(概ね異常なし)、CTはなかったので比較しにくい。気管支拡張症もあり、非結核性抗酸菌症を疑った。これは呼吸器科の専門医に診てもらった方がいい。施設では地域の基幹病院にも入所者を紹介してみてもらうこともあるそうだ。そこの呼吸器科で相談してもらうことにした。施設から紹介してもらうことにして、施設あてで検査所見を記載した返事を書いて、画像をCDに入れて添付した。

 今日改めて画像を見た。肺気腫があって気腫性変化に肺炎の浸潤影が重なると、このような陰影になるのかもしれない。非結核性抗酸菌症疑いは間違いだったか。それでも、これだけはっきりした不整な気管支拡張像があると、気腫+浸潤影だけではないとも思う。まあ専門医に診てもらうのがいいのだろう。

 後で思い出したが、この患者さんは当院で清掃の仕事をしていた。仕事中にめまいを訴えて、内科新患に回されて、新患担当の先生(大学病院から出張)が頭部CTを行った。明らかな病変はないとされて、処置室で点滴していた。私が申し送りを受けて診察すると、構語障害などの脳神経症状があったので、頭部MRIを行った。左小脳に拡散強調画像で脳梗塞を認めた(その日も薄く出ていたが、翌日には延髄外側の梗塞もはっきり描出された)。神経内科に治療を依頼して、入院となった。この方は独身で弟さんがキーパーソンだが、あまり関係は良くないらしい。入院後の経過を少し追ってみていたが、入院が長くなったので、その後どうなったかはみていなかった。

 肺気腫+誤嚥性肺炎と診断されれば、胃瘻造設を含めて当院に戻されると思われるが、頑なに胃瘻を拒否された時はどうしようか。

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右から左へ浸潤

2016年08月25日 | Weblog

 一昨日85歳男性が自宅で倒れているところを息子さんが発見して、救急搬入された。体温が40℃だった。当直医が感染症の検索を行ったが、これと言ってなかった。室内とはいえ、エアコンがあっても使わないので大分暑かったらしい。熱中症の機序だろうということで、入院して点滴を行うことになった。

 搬入時の検査でHb6.9g/dlと貧血があった。MCV65なので、小球性貧血(鉄欠乏性貧血)だった。胸腹部CTで盲腸からS状結腸にかけてつながっている不整な腫瘤を認めた。下腹部痛の訴えはなく、圧痛もはっきりしなかった。虫垂炎からの盲腸周囲膿瘍がこうなるかというと疑問だ。盲腸から発生した大腸癌が左側に進展してS状結腸まで浸潤したと判断される。

 白血球数増加とCRP上昇を認めた。また筋原性酵素(CK・AST・LDH)が上昇していた。熱中症でみられるようなパターンだが、腹腔内感染症も否定できないので、抗菌薬を投与した。入院後には解熱してきた。腹部症状がなく、空腹を訴えたので、食事を開始してみたが、特に腹部症状はなかった。

 腫瘍マーカーは陰性で意外だったが、やはり大腸癌と考えたい。S状結腸が右側に引っ張られている関係で下行結腸へ向かう部位が直線化している。消化器科医は大腸内視鏡を深部まで挿入するのは危険という。腫瘍が浸潤してS状結腸(RSの少し近位)の粘膜面に出ていれば、そこで生検できる。週明けに簡単な前処置で覗いてもらうことにした。

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jmed医者

2016年08月24日 | Weblog

 今日は普通に内科再来を診ていた。前立腺癌・骨転移で泌尿器科外来に通院している81歳男性が、発熱・呼吸苦で受診した。胸部X線・CTで両側肺に胸水貯留と無気肺を認めた。浮腫も目立つ。うっ血性心不全だが、誤嚥性肺炎もありそうだ。どこまで治療できるか何とも言えないが、入院治療とした。

 83歳女性が東京の病院から転院してきた。独身でひとりで頑張っていたが、軽度だが脳梗塞が発症していからは、当地域(診療圏ではないが)の甥に頼んで世話を受けることになった。ただしすぐに施設には入れないので、病院でリハビリをしながら入所待ちとなった。回復期リハビリ病棟に入れるはずが、適応の問題で一般病棟入院となった。2~3か月で入所できれば、ベット稼働率の悪い当院としてはいい患者さんだ。

 基幹病院腫瘍内科から昨日転院してきた胆嚢癌の68歳女性は、血液検査で血小板1万と出て、FDP・Dダイマー上昇もあり、DIC状態だった。ご本人は安穏な感じで寝ているだけだが、いつ急変しておかしくなかった。

 肝硬変と肝腫瘍で肝臓専門の外科医にお願いした67歳男性は、入院してから消化器の精査が行われた。上部消化管・下部消化管に異常はなく、原発性肝腫瘍だった。AFPが正常域だが、PIVKAⅡは上昇していた。画像上は典型的な肝細胞癌とは言えないが、やはり肝細胞癌なのだろう。ICG15分値が58%と出ていた。今後の治療はどうなるのだろうか。

 jmedの「外来で診るリウマチ・膠原病Q&A」を読んだ。非専門医が「リウマチ膠原病を診るのには最適の1冊だ。治療については不十分だが、関節リウマチ以外は紹介する立場として、診断の検見当がつけばいいので、このくらいの理解で勘弁してほしいところだ。次は「不明熱、攻略!」を見ている。すっかりjmed医者になっている。

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トルソー症候群

2016年08月23日 | Weblog

 基幹病院腫瘍内科から68歳女性が転院してきた。今年の4月に内科医院からの紹介で当院を受診している。腹部CTで肝膿瘍を認めた。胆嚢が描出されず、胆嚢癌からの肝床部へ進展(穿通)して肝膿瘍を形成した疑いがあった。家族の希望で、肝臓専門医のいる地域の基幹病院へ紹介となった。肝臓専門医というのは肝炎の専門医なので、本当は消化器科の中でも胆膵の専門医の扱いになる。そちらの専門医もいるので紹介は正しかった。

 精査の結果、胆嚢癌・肝膿瘍(穿通性)・胆嚢十二指腸樓瘻と診断された、手術は不可能で、腫瘍内科で化学療法が開始された。されたが、脳梗塞を発症してしまい、化学療法はそこで中止となった。寝たきり状態となり、経口摂取できなかった。脳梗塞は癌によるトルソー症候群と診断された。鎖骨下静脈からCVカテーテルが挿入されていたが、カテーテルに血栓形成して右上肢の浮腫が発症した(カテーテルは抜去された)。NGチューブによる経管栄養が開始されて、後は感染症の治療をしながら経過をみるしかなくなった。

 そして今日当院へ転院してきた。看取りまでお願いということだった。経管栄養で1日800Kcal入っていた。全身浮腫があり、末梢の血管からの点滴は不可能だ。採血も動脈からしなとれない。夫の話では、時々発語があるそうだが、会話にはならない。

 転院依頼の電話が来たときに、トルソー症候群と言われて、あれなんだっけと最初思いつかなかった。トルソー症候群は悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進による脳卒中(脳梗塞)だった。非細菌性血栓性心内膜炎による心原性脳塞栓が一番多いという。鎖骨下静脈の挿入したカテーテルに血栓形成したのも同じ機序だろう。

 夫には、当院で最期までみることになると伝えて、DNRの書類を作成した。併発する感染症や血栓塞栓症次第だが、あとどのくらいもつだろうか。

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器質化肺炎?

2016年08月22日 | Weblog

 41歳女性が先週の日曜日に肺炎で入院した。順調に治るかと思われたが、そうはいかなかった。この方は2年前に検診で便鮮血陽性となって、消化器科を受診した。重症ではないが下痢の症状があり、内視鏡所見から潰瘍性大腸炎が疑われたが、確診には至らず、経過をみていた。今年の内視鏡所見で潰瘍性大腸炎と診断されて、アザコールで治療して症状所見は軽快した。

 7月初旬の定期受診日の血液検査で炎症反応が上昇していた(CRP7)。消化器科医はUCの悪化を疑ったそうだが、腹部症状の悪化はなかった。その後、夜間の発熱と咳がみられるようになり、8月12日予約日外に受診した。内科新患でよかったが、UCがあるということで?消化器科受診になった。胸部X線で両側上肺野に陰影を認め、白血球数9000・CRP10と上昇していた。セフトリアキソンの点滴静注を1回行って、ニューキノロン内服で外来治療が開始された。

 食欲がないと2日後の日曜に点滴希望で受診した(日直が私)。両側上肺野に浸潤影があり、胸部CTで確認すると、air bronchogramを伴う均一な浸潤影だった。治療開始して間がないので、2~3日経過をみれば改善してくるだろうと思っていた。入院で点滴をして経過をみることにした。ニューキノロン内服にセフトリアキソン点滴を追加した。

 その後、平熱~微熱になったかと思われたが、また夜間の38℃の発熱が出現した。炎症反応はその後2回検査して横ばいだった。胸部X線の陰影も改善しない。酸素飽和度は室内気で95~96%で、食事摂取は良好だった。

 当初から違和感があったが、今日になってこれは変だと思われた。おそらく7月初めの炎症反応は肺病変によるものだろう。そうすると、経過は2か月弱になる。肺結核は否定できないが、べったりとした均一な浸潤影(でconsolidation)では考えにくいのではないか。陰影も一部は改善して一部は悪化して動いているように見える。間質性陰影では全然ないので、器質化肺炎かもしれない。

 専門の呼吸器科に依頼することにした。地域の基幹病院呼吸器科に連絡すると、ベットが空いているということで(これは珍しい)、明日転院で診てもらえることになった。呼吸器科の常勤医はいないものの、呼吸器外来には専門病院から来てもらっているので、もっと早くに相談すればよかった(週末が入ったので実質1週間しか診てないが)。

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