なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

97歳はリウマチ性多発筋痛症?

2020年06月30日 | Weblog

 先々週の週末に、内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)から97歳女性について相談された。その1週間前の週末に、発熱が続いて動きが悪くなったとして、なんと自分で救急要請したそうだ。

 息子と二人暮らしをしていて、普段はつたい歩きや、いわゆるシルバーカー(手押しの車)を使用して、なんとか歩行していた。

 発熱が続いて、内科クリニックを受診して、診断は不明だが抗菌薬(クラビット)を処方されていた。内服後も発熱が続いて、2回同じ処方が出ていた。

 当院搬入時は、白血球7000・CRP1.9と微妙な値だった。胸部X線・胸腹部CTで明らかな肺炎像やその他の異常を認めなかった。尿所見は異常なしだった。

 血液培養2セットを提出して、胸部CTでわずかに陰影がありそうにも見えるところがあり、肺炎疑いとしてセフトリアキソンを開始して1週間経過したが、37℃台の発熱が続いていた。入院後にCRPは3.7まで上昇した。血液培養は陰性だった。

 感染症かどうかわからない。病室に行って患者さんを診察した。訊くと答えてくれるが、わかったようなわからないようなで、判断が難しい。

 少なくとも肺炎・尿路感染・胆道感染はない。蜂窩織炎はなく、触診でわかるような関節炎はない(偽痛風など)。比較的急に動きが悪くなったという点からは、リウマチ性多発筋痛症(PMR)が疑われる。

 両肩・両上腕・骨盤・両側大腿部の筋肉に圧痛・把握痛があるように思えるが、確定しがたい。上腕と前腕、大腿部と下腿部を比較すると、上腕と大腿部の近位に痛みがあるような気がする。

 診断的治療として、慎重にプレドニン10mg/日を開始してもらった。すると解熱して1週間で炎症反応もCRP0.3と改善した。まあプレドニンは一時的には何でも効いてしまうので、判断が難しい。血沈は49mmでそれほどでもない。念のために提出した(PMRでのルーチン検査)抗CCP抗体と抗核抗体は陰性だった。PMRは臨床診断で、ミミックが多いので難しい。

 患者さんの痛みと動きが良くなったようにみえる(たぶん)。これでリハビリをして、歩行できるようになればすばらしい。もう1週間プレドニンを継続して経過をみてもらうことにした。

 介護保険も今回初めて申請になる。同居の息子さんも70歳くらいのはずで、今回のエピソードでADLが低下すれば、施設入所を考えた方がいいのだろう。

 

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肺炎がみるみる回復

2020年06月29日 | Weblog

 先週金曜日の午前3時過ぎに90歳男性が高熱・呼吸苦(正しくは呼吸困難)で救急搬入された。当直の若い循環器科医が、左肺炎の診断(右肺にも少し肺炎)で内科入院として、抗菌薬を1回入れていた。早朝に連絡することもなく、病院に行ってから申し送りとして伝えてくれるので助かっている。

 昨年1月にも左肺炎で内科に入院していた。当時いた内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が担当して、セフトリアキソンの投与で軽快退院している。

 その後、今年の2月に不安定狭心症で循環器科に入院していた。左冠動脈回旋枝(LCX)の狭窄でステントが挿入されていた。ふだんは内科医院に高血圧症で通院している。

 胸部X線・CTで左肺門部から広がる浸潤影を認めて、右肺にも軽度に浸潤影を認める。嘔吐はなく、本来の誤嚥性肺炎が進行していった像と判断した。抗菌薬はゾシン(PIPC/SBT)が入っていた。通常ならばスルバシリン(ABPC/SBT)だが、陰影が目立つ・(超)高齢・両側の肺炎といった点でゾシンにしたのだろう。

 誤嚥性肺炎疑いなので絶食にしていた。内服薬があるので、慎重に飲ませていたが、水を飲んでも明らかなむせはなかった。入院時に酸素4L/分にしていたが、入院後は2L/分(土日は1L/分)に減量できた。金曜日の夕方にいったん38℃の発熱があったが、土日は解熱していた。

 日曜日に日直で来ていた時に病室に見に行くと、入院時は寝込んで発語もあまりなかったが、普通に会話ができた。「腹が減った」と空腹を訴えたが、週明けの病状をみてから出すからもう少し我慢してもらうことにした。

 胸部X線の改善は遅れるため、フォローしなくてもいいことになっているが、肺炎の程度が中等症以上の時は、ひどく悪化してないことを確認するために、72時間後に再検することにしている。

 今日の胸部X線は、悪化していないどころか、びっくりするくらい陰影が軽減していた。身長142cm・体重37kgの小柄な90歳だが、どれだけ丈夫なのだろうか。強靭な免疫力で、ちょっと抗菌薬で手助けしただけで、これだけ回復している。ベットにちょこんと座って息切れもなく話ができる。昼から嚥下調整食4を開始した。

 

 

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肺炎球菌肺炎か

2020年06月28日 | Weblog

 先週の月曜日に、内科医院から発熱の84歳男性が紹介されてきた。

 先々週の金曜日に38℃の高熱が出て、土曜日に医院を受診していた。白血球数は正常域で、CRP10と上昇していた。胸部X線では異常なしと判断された。セフトリアキソンを点滴静注が行われた。

 翌日曜日には少し良かった?らしいが、月曜に高熱があり、受診していた。またセフトリアキソンが点滴静注されたが、悪寒もあり、そのまま紹介となった。

 胸部X線を見ると、右第2弓と横隔のところがシルエットサイン陽性となっていた。胸部CTで確認すると、胸部単純X線から予想したよりも浸潤影が目立った。こういう場合は胸部X線の側面像を撮るとわかりやすいのだろう。

 咳・痰はなく、咳き込んでもらっても痰のからむ様子はなかった。酸素飽和度の低下はないが、軽度の腎障害があり、CURB-65は2点に中等度になる。入院治療とした。

 尿中肺炎球菌抗原は陰性だった(レジオネラ抗原も出してしまったが陰性)。セフトリアキソンを継続すれば軽快するだろうと判断した。翌日の朝(抗菌薬投与前)も痰が出ず、血液培養2セットのみ提出した。

 入院3日目まで、39℃の高熱が続き、アセトアミノフェンの点滴静注(発熱でぐったりして内服しにくい時)と内服を頻回に使用していた。

 肺炎に違いはないと思うが、セフトリアキソンが効かないということは起炎菌が違うのだろうかと迷うことになった。3日の夕方にまた39℃の高熱が出て、患者さんは顔を真っ赤にしていた。クラビット500㎎点滴静注を追加した。

 4日目の木曜日に、通常はやらないが胸部X線とCTで画像を確認することにした。浸潤影は増悪して右下肺野全体に広がっていた。ただ体温は37℃台でちょっといい感じにはなっている。白血球数は正常域でCRP11と、改善はないもののさほど変化はない。

 

 大学病院から呼吸器外来に来ている先生に相談すると、治療しても一時的に悪化するので肺炎球菌肺炎でしょうという。肺炎球菌をカバーする抗菌薬の継続で経過をみていいと言われた。

 ただセフトリアキソンの薬剤熱が疑えるようでもあり、クラビットで継続して方がいいとも言われた。経過から抗酸菌感染は否定的だから大丈夫ですという。確かに急性の経過であり、抗酸菌感染を示唆する陰影はなく、この3日での陰影の進行は抗酸菌らしくはない。

 当院の尿中レジオネラ抗原検査は血清型1以外も検出できるので可能性は低いが、レジオネラ感染も考慮していたので、クラビット継続で行くことにした。低ナトリウム血症やCK上昇はなく、下痢などの肺外症状はないので違うのだろうが。

 木曜日から高熱が出ることはなくなり、金曜日からは平熱で推移した。なにより高熱が続いた時はずっと寝込んでいた患者さんが、ベットの上に座って過ごすようになった。

 

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硬膜下血腫

2020年06月27日 | Weblog

 金曜日の朝、木曜日の当直だった循環器科医に、回復期リハビリ病棟に入院中の患者さんの対応を依頼された。

 その患者さんは、地域の基幹病院脳外科で左慢性硬膜下血腫の手術を受けて、6月初旬に当院の回復期リハビリ病棟に転院していた。(主治医は神経内科医だが、身内の葬儀で不在)

 患者さん本人に訊いたところでは、2~3日前からふらつきを感じて、リハビリスタッフに言っていたという。その日の早朝に起立・歩行ができなくなって病棟の看護師さんが気づいた。

 診療前だったので、看護師さんが前日からの当直医に連絡して頭部CTを行った。今回は右側の硬膜下血種を認めた。血種による圧排で脳が左側へ少し偏移している。

 意識は清明で、普通に会話ができた。バイタルも安定していた。さっそく基幹病院の脳外科に連絡すると、すぐに受けてくれた(まあ、リハビリ依頼で来たばかりなので当然ではある)。救急搬送して、その日のうちに手術になるそうだ。

 

 この患者さんの妻は内科に入院している。呼吸器疾患(非結核性抗酸菌症・肺アスペルギルス症)で体力がなく、夫が介護していた。その夫が脳外科に入院したために、妻は家庭に一人残されて、しだいに食べられず動けなくなった。

 通院している基幹病院呼吸器内科の外来を受診して、呼吸器内科医から当院入院を依頼されたという経緯だった(夫も当院にリハビリに行くからと)。夫はADL良好で、来月初めには二人いっしょに退院できそうだった。

 今回の再入院で、どうなるかわからなくなった。夫の回復を待つしかない。

 

 

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完全房室ブロック

2020年06月26日 | Weblog

 神経内科医が身内の葬儀で先週から休んでいるので、神経内科外来の薬出しをしていた。降圧薬と抗血小板薬の患者さんはそのまま薬だけ出していたが、検査が入っている患者さんは結果をみることになる。

 火曜日に神経内科外来を受診した72歳女性は、前の週に受診した際、1週間前からの両下腿~足の浮腫を訴えていた。心電図で完全房室ブロックを認めた。BNPもふだんは10~20くらいだが、162と上昇していた。

 ホルター心電図を行って、1週間後に結果を聞きに来たのだった。両下腿~足の浮腫は同様だった。心電図を見ると、QRS波はnarrowに近く、房室結節に近い心室からの調律で心拍数は40/分台だった。

 ホルター心電図の結果を見て、循環器科相談となっていた。発作性の不整脈ではないので、12誘導1枚で診断決定となり、ホルター心電図を行っても診断は変わらない(調律が戻らないことはわかった)。

 予定通り?、循環器科医に相談した。木曜日が定期のペースメーカー植え込み日になっているので、水曜日に入院して行うことになった(クリニカルパス使用)。夫の兄弟が心臓ペースメーカー植え込み術を受けているので、理解は早かったそうだ。

 あとで循環器科医に「先生はもらい事故みたいなのものですか」と言われた。循環器科にすぐに回しただけなので、大した手間ではない。

 

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血液培養・カテーテル先端培養陰性

2020年06月25日 | Weblog

 5月初旬に皮膚科外来に86歳女性を家族が連れてきた。寝たきり状態で仙骨部に褥瘡ができていた。家庭ではあまり手をかけておらず、皮膚科医がそのまま自宅に置いては到底治らないだろうと入院治療にした。

 入院当初は食事介助でほんの少しだけ食べていたが、発熱があり、誤嚥性肺炎を来した。点滴をしようとしたが、末梢静脈からの点滴は不可能だった。

 言われて病棟に見に行ったが、両肘関節・両股関節が屈曲してやせた小さな老女が横向きに寝ていた。発語はない。血管から入れようとすれば、内頚静脈から入れるしかなかった。

 放射線室まで降ろして、エコーガイドで右内頸静脈からCVカテーテルを挿入した。スルバシリン(ABPC/SBT)投与と点滴を行って、肺炎は軽快した。

 しかし経口摂取はできなかった。1000ml/日の高カロリー輸液に切り替えて経過をみることにした。褥瘡の処置もあるので、そのまま安定すれば療養型病床のある病院に紹介して、治療継続となる。内科としては終了?だった。

 その後に皮膚科医から、発熱してカテーテル挿入部から膿が出ていると言われた。病室に行くと、確かにカテーテル挿入部周囲の皮膚の発赤・腫脹があった。

 カテーテルを抜去を温存して、抗菌薬を入れて頑張るのもあるかもしれないとは思ったが、それはカテーテル刺入部に異常が見られない場合だろう。カテーテルは抜去した。

 そうすると、末梢静脈から点滴ができないので、皮下注射で入れるようになる。抗菌薬はセフトリアキソンは皮下注で使用できるはずだが、組織壊死を来しそうでためらわれた。抗菌薬なしで、カテーテル抜去だけで経過をみてもらうことにした。

 その後の経過は、発熱もなくバイタルも安定していた。血液培養2セットとカテーテル先端の培養を提出していたが、結果はいずれも陰性だった。カテーテルは温存できたのかもしれない。

 しかし患者さんの状態からは、皮下注(500ml/日)でいけるところまで経過をみるのが常識的なのだろう。皮膚科医が家族と話をして、今の対応で最期まで病院でみることになっている(誤嚥性肺炎を来した時からDNARにはなっていた)。

 

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訳ありの肺炎

2020年06月24日 | Weblog

 2週間前に、内科医院から88歳男性が右胸水貯留で紹介された。胸部X線・CTで右下葉に浸潤影と胸水を認めた。通常は、肺炎・胸膜炎あるいは肺炎と肺炎随伴性胸水として治療する。

 ただこの患者さんは気になるところがあって、担当した内科の若い先生に相談された。画像では心嚢液貯留もあり、既往歴に高γグロブリン血症があった。

 3年前に高γグロブリン血症があり、血液免疫泳動で「多クローン性だが、M蛋白も否定できない」ということだった。当時担当した内科の先生が、多発性骨髄腫疑いとしてがんセンター血液内科に紹介していた。

 がんセンターからの返事では、やはり多クローン性で骨髄腫は否定的とあった。むしろ、抗核抗体陽性(2560倍)があり膠原病が疑われるので、地域の基幹病院リウマチ膠原病外来に紹介されていた。

 患者さんはリウマチ膠原病科を受診したが、途中で行かなくなったために、診察内容は不明だった。内科の若い先生が問い合わせると、外来で担当したのは大学病院から出張で来た先生だったので、常勤医がカルテを見て返事をくれた。

 抗体検査では、抗核抗体・抗Sm抗体、抗SS-A抗体・抗SS-B抗体が陽性で、SLE+シェーグレン症候群が疑われるということだった。SLEの漿膜炎としての胸膜炎・心膜炎としては、今回のCRP上昇の程度(SLEはCRPが上がらないのが特徴)からは感染症との鑑別をして下さいと記載されていた。

 でどうするかだが、膠原病の抗体検査を提出して確認するが、抗菌薬(ABPC/SBT)と利尿薬(BNP上昇あり)で肺炎・心不全として経過をみることにした。

 炎症反応は順調に軽快してきたが、胸部X線の所見が1週間~10日で変わらず、担当の先生が気にしていた。今日の検査では胸水・心嚢液が明らかに軽快していた。普通に感染症でいいようだ。

  

 抗体検査はやはり陽性で、血液免疫泳動も「多クローン性だが、M蛋白も否定できない」という同様の結果だった。膠原病としての臨床症状はないので、そちらは経過観察のみになる。

 

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肺結核

2020年06月23日 | Weblog

 今月始めに、老人保健施設から発熱の91歳女性が紹介されてきた。施設嘱託医の指示で、土日にセフトリアキソンを点滴静注していたそうだ。

 発熱外来担当の先生が診察して、右肺炎として内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)に入院治療が依頼された。右肺に広範な浸潤影を認めていた。家族との相談では、できる範囲で治療するが、病状悪化時には心臓マッサージや人工呼吸は行わない方針(DNAR)になっていた。

 ゾシン(PIPC/TAZ)で治療が開始されたが、微熱~平熱で推移して、炎症反応は横ばいだった。大学病院から呼吸器科外来で来てもらっている先生に相談すると(抗酸菌感染症に強い)、抗酸菌感染(結核)の鑑別が必要といわれ、抗酸菌塗抹を行った。

 結果は抗酸菌塗抹陽性(ガスキー2号)で、3日後に結核菌PCR陽性と判明した。胸部X線で部分的に含気が改善した部位もあるが、通常の細菌性肺炎が併発していたところだけ、軽快したのかもしれない。

 胸部画像としては、空洞形成はなく、通常の細菌性肺炎のような浸潤影に見える。肺炎様の病像だと結核性肺炎になる。右肺尖部には胸膜肥厚があり、陳旧性の結核病変はあったのだろう(再燃による二次性結核)。

 見る人が見れば、結核に特徴的な陰影を指摘できるのかもしれない。呼吸器科外来の先生も、画像的所見というよりは、治りにくい肺炎としての抗酸菌検査を勧めていたが。

 「結核・非結核性抗酸菌症を日常診療で診る」(羊土社)には、「結核性肺炎は気管支透亮像を伴う浸潤影で、肺炎様の陰影を呈する。近年高齢者や糖尿病などの基礎疾患を有する患者で、結核性肺炎を呈する症例が認められている。免疫不全によりTh2型の反応が優位になると肉芽腫を形成しにくく、滲出性変化が主体となり、浸潤影を呈する。」とある。

 結核病棟を有する専門病院に救急搬送となった。この患者さんは嚥下障害で経口摂取ができないので、経鼻胃管からの注入か注射薬になるが、治療できるのだろうか。

 

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汎血球減少症

2020年06月22日 | Weblog

 金曜日に循環器科クリニックから74歳男性が紹介されてきていた。昨年度の8月から脱力感があったというが、本当にそんなに前からなのか。

 6月には歩行しにくくなったと11日に当院に頭部MRI検査が依頼されたが、異常はなかった。その日は体調不良で救急外来に搬入された。当番の外科医が対応したが、バイタルサインに異常がなかった。

   問題は検査値で、汎血球減少症を認めた。白血球2000 、Hb6.0、血小板数0.6万だった。紹介のクリニックには奥さんが行って、降圧薬だけもらっていたので、参考になる検査はしていない。自覚症状が確かなら、慢性的に進行して、貧血の症状が出ていたことになる。

  外科医が医局に来て相談されたが、血小板数は緊急を要する。白血球分画に芽球は認めないが、白血病・骨髄異形成症候群か、再生不良性貧血かわからないが、重症の骨髄疾患が疑われる。(肝硬変はないようだ)

  がんセンターの血液内科に相談してもらうと、引き受けてくれた。緊急で骨髄検査になるのだろう。

 

 

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化膿性脊椎炎(頸椎)

2020年06月21日 | Weblog

 火曜日に地域の基幹病院内科から、94歳男性が転院してきた。敗血症で入院して、血液培養から黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出されていた。2週間抗菌薬を投与して軽快したが、一人暮らしのため2週間くらいリハビリをさせてほしいということだった。

 転院日の前日に、先方の主治医から連絡が来て、化膿性脊椎炎と判明したので、抗菌薬の投与継続をお願いしたいという。異存はないので、予定通り転院してもらった。送られてきたMRIでは頸椎の病変(C4・5の椎体とその周辺が造影)が描出されていた。

 整形外科医からの診療情報提供書もあり、病状の悪化で脊髄圧迫による四肢麻痺・呼吸器筋麻痺もありうること、その場合は大学病院で除圧術が必要になること、しかし超高齢で侵襲的な治療の是非を考える必要があること、などが記載されていた。

 血液培養の陰性化確認の意味もあり、血液培養2セットを提出して、抗菌薬の点滴静注を開始した。期間は6~8週間と結構長くなる。

 

 患者さん本人は難聴があるが、元気だった。左上肢のしびれがあるが、それほどひどくはない(らしい)。転院時は、長男夫婦が付いてきていた。患者さんの妻が3年前に当院に入院して亡くなっている、という話が出た。

 長男嫁が言うには、嚥下障害があるのに、夫(今回の患者さん)がこっそりと嚥下しにくい食事を持ってきて食べさせたために、誤嚥性肺炎をきたした。それでくやしい思いをしました、とも言っていた。

 確認すると、当時89歳の妻を担当したのは当方だった。基幹病院に心不全の悪化で入院した。軽快した(?)が食事摂取の問題もあり、当院に転院になった。転院時から心不全症状があり、利尿薬の投与(静注)を開始してなんとか改善した。

 嚥下訓練を開始したが、夫が持ち込みの食事を食べさせて誤嚥性肺炎を来した。それも治療により改善したが、最終的には、肺炎・心不全はあるものの老衰(身長130cm・体重20Kg)と判断されるようになり、お看取りしていた。(正確には誤嚥性肺炎で直接なくなったわけではない)

 

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