なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

DKAだった患者さん

2017年01月31日 | Weblog

 昨夜53歳男性が低血糖で救急搬入されていた。名前に見覚えがある。約6年前に糖尿病ケトアシドーシスで入院していた。当時、自宅近くの内科クリニックに糖尿病で通院していた。3か月前から多飲・多尿・口渇が続いていた。突発性難聴になり、耳鼻咽喉科でステロイドの治療を受けていた(受診時には、治療自体は終了していた)。穏やかな雰囲気で、元横綱の大乃国(最近はスイーツ横綱?)に風貌が似ていた。

 当時の記録に血糖1328mg/dlとある。HbA1cは9.7%だったので、ステロイドにより急激に血糖上昇したのだろう。血液ガスではpH7.197。生食とインスリンの点滴静注で翌日には普通の高め血糖くらいになった。糖尿病の家族歴があり、肥満があったので、2型糖尿病と判断した(抗GAD抗体陰性)。ケトアシドーシス後の値になるが、血中Cペプチドが0.71と低下していた。

 インスリン強化療法+メトホルミンで、ある程度血糖が改善して退院した。外来で数回診て、HbA1cが8%くらいになったところで、市内に糖尿病専門医がいないので、一番近い糖尿病専門医のクリニックに紹介とした。職業がタクシーの運転手で、車での通院は苦にならない。

 搬入時のHbA1cは6.7%と良くなっていた。インスリン強化療法が継続されていて、今時のSGLT2阻害薬も処方されていた。夕の血糖が低めて推移していたらしい。経過をみるために一晩入院になったが、今日は何ともなかった。インスリン微調整で退院にできるだろう。

 あれから、しばらく地域の糖尿病診療はかわりなかったが、昨年から地域の基幹病院で糖尿病専門医が1名から3名体制になった。現在は、糖尿病ケトアシドーシスの患者さんはそちらに紹介可能だ。新規の糖尿病専門医のクリニックはない。

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肺炎いろいろ

2017年01月30日 | Weblog

 朝7時過ぎに呼吸困難・発熱で救急搬入された89歳男性は肺炎だった。日曜日の宿直医は大学病院の外科医で、これを引き継いだ当院の外科医から、内科入院の依頼が来た。

 71歳の時に脳出血で右半身麻痺がある。数年間自宅で介護したが、その後はずっと施設入所だった。以前に撮影した頭部MRIの画像をみると、著しい脳萎縮があった。最近は嚥下が悪くなっていて、食事摂取量も相当低下していたそうだ。左肺にも若干肺炎があるが、主には右肺炎で、経気道性の分布で、誤嚥性肺炎と判断された。まずは肺炎が治るかどうかという問題だが、肺炎が軽快しても、食事摂取は困難だろう。

 先週問題になった間質性肺炎の79歳女性が、さらに酸素飽和度が低下して外来を受診した。先週は酸素吸入はとてもできない状態だったが(すぐに手で払ってしまう)、今日は最初だけ払いのけていたがその後はつけていた。統合失調症があるが、現在では通常の認知症の患者さんという印象だった。酸素投与しても酸素飽和度は正常域にならず、処置に対する抵抗も減少したので、そのまま入院とした。

 遠方から妹さんと亡くなった姉の息子さん(甥)が来てくれた。通常間質性肺炎は紹介だが、当院でできる範囲で治療することで同意された。ステロイドパルスなどを行ってみる。

 いずれも80歳代の高齢女性だが、まだ元気のある肺炎、週末からの胆嚢炎、今のところ不明熱、の以上3名は入院でみる余裕がないので(認知症で入院を避けたいのもある)、外来で引っ張ることにした。入院が立て込んで、病棟の個室がほとんどなくなっている。病院経営的には大繁盛。

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糖尿病あれこれ

2017年01月29日 | Weblog

 糖尿病のやせた高齢女性の中に、インスリンが枯渇してインスリン強化療法を要する患者さんがいる。70歳代前半の女性は昨年末に教育入院していた。インスリン強化療法を行っているが、認知症があり自己注射がきちんと行われているかどうかわからない。手技の確認や、約1か月の良好な血糖コントロールを達成して外来治療に戻すことを半年おきに繰り返していた。

 今週80歳代の女性を糖尿病教育入院にした。前に担当していた先生は80歳代ということで、持効果型インスリン+DPP4阻害薬のBOTにしていた。それでは食後の高血糖を改善できない、というよりひどい高血糖になるので、今回はインスリン強化療法を導入するための入院だった。この方は一人暮らしでひどい難聴はあるが、認知症はなかった。血糖自己測定も行っている。

 二人とも、自己インスリンは枯渇していて(血中Cペプチドは0.13とか)、緩徐進行型1型糖尿病相当だが、抗GAD抗体は陰性だった。これまで測定したことはないが、抗IA-2抗体も保険で測定できるようになっている。もっとも、抗GAD抗体は陽性率も高く罹病期間が長くても陽性率を保つが、抗IA-2抗体は陽性率が低く罹病期間が長くなると陽性率が低下してしまうらしい。抗GAD抗体と抗IA-2抗体は補完しあう関係なので、両者を測定する意義はある。

 今週は内科クリニックに通院している60歳代の女性が低血糖性昏睡で救急搬入された。かなり年配の先生で、処方はダオニール2.5mgだった。20年以上同じ処方を継続しているらしい。HbA1cが5.9%だったので、おそらく良好な血糖コントロールとして経過をみていいるのだろう。低血糖での受診(搬入)は初めてだが、ふだんも無自覚性低血糖にさらされている可能性が高い。低血糖はグルコース静注ですぐに回復して、翌朝にはSU薬の遷延性低血糖も消失したが、今回は1~2週間入院してもらって、DPP4阻害薬だけ、あるいはそれにごく少量のSU薬併用に切り替えることにした。高血圧症で降圧薬も処方されていたが、アダラート(10mg)3Cap分3という今時見ないものだったので、それも朝1回の処方に切り替えることにした。

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L-HESって?

2017年01月28日 | Weblog

 昨日の早朝、80歳代前半の女性がタール便で救急外来を受診していた。午前中に消化器科で上部消化管内視鏡検査が行われた。浅く広い出血性胃潰瘍が2個あり、その他にも出血性びらんが散在していた。輸血もオーダーされた。

 この患者さんのことは把握していなかったが、内科外来に通院していた。退職した若い内科医が3年前から診ていた。初診時の検査で白血球増加症があり、その80%以上が好酸球だった。医療センター血液内科に紹介して、特発性好酸球増加症idiopathic hypereosinophilic syndrome(HES)と診断された。プレドニン投与で軽快後に当院に戻ってきて、外来でプレドニンを漸減していた。その後、ハイドロウレアが追加されていた。検査結果をみると、好酸球増加はコントロールされていたが、途中でIgEが著増をきたして、その時からの処方らしい(たぶん)。

 そして、L-HESだろうと記載されていた。L-HES?。HESのサブタイプで、lymphocytic variant HESというらしい。この辺の知識はないので、調べてみないとわからない。

 引き継いだ先生は、病状に変化がないので、そのまま処方を継続していたようだ。退職した先生は相当にできる人だったので、希望の病院で元気に活躍しているのだろう。当院在職中、直接教えることはことはほとんどなかった。不明熱の患者さんで相談された時に、成人スチル病と思われたので、フェリチン測定を追加するように言ったくらい(フェリチン著増で、リウマチ膠原病科のある病院に紹介になった)。

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高血糖高浸透圧症候群~子宮留膿腫

2017年01月27日 | Weblog

 子宮留膿腫を繰り返している施設入所中の69歳女性が、昨日内科外来を受診した。今回は会話はできるが、ぼんやりしていて、食欲が低下しているという。施設で血糖を測定したらHiと出た。最近またおりものが増えていた。この方は糖尿病があり、ふだんのHbA1c7%台が、前回は8%に上昇していた。処方はDPP4阻害薬とメトホルミン。

 血糖が1099mg/dlで、HbA!cが10%に上昇していた。血清Na152、BUN59.8。血液ガスでpHは正常域。高血糖高浸透圧症候群だった。CTで子宮留膿腫を認めた。外来で診ている内科の先生が主治医で再入院した。婦人科外来で排膿の処置を受けて、内科病棟の個室に入院した。

 点滴とインスリン持続点滴静注2単位/時で、しだいに血糖は正常化して、今日の午前中には低血糖気味になって、インスリン点滴は中止。速効型インスリンを混合しらグルコース入りの点滴に抗菌薬で継続していた。注射頻度の問題はあるが、施設入所なので、インスリン自己注射(施設看護師注射)を導入しやすいかもしれない。

 

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帰りに滑って転倒

2017年01月26日 | Weblog

 入院患者数が増加して、病院としては大繁盛だが、病棟の看護師さんたちは大変だ。整形外科(医師2名)では今日骨折の手術が6例あるそうだ(開業医の奥さんと、息子に医院を譲った大先生も含まれる)。

 昨日の午前中に内科外来でみた80歳女性が、帰りに寄ったスーパーの駐車場の凍った路面で転倒した。午後に救急搬入されて、両側大腿骨骨幹部骨折(片方はぽっきりと、もう片方はひび程度)だった。夕方整形外科の先生から、入院してますと言われた。すみません、よろしくお願いします、と言うしかなかった。今日見事に手術(両側)していた。

 呼吸器科の先生(大学病院)から、施設(特老)に入所している70歳代後半の患者さんのことで連絡が来た。特発性間質性肺炎が亜急性~慢性に進行して、酸素飽和度は80%台だという。もともと精神疾患があり、施設での在宅酸素はもともとできないが、とても酸素をつけている人ではないという。このままだと近い将来(数週か数か月)で呼吸不全で死亡に至る可能性があるが、その時の対応をどうするかというものだった。

 方針としては、このまま施設入所を継続して、その時々の状況で対応することになった。しだいに悪化して呼吸困難になれば入院して経過をみるが(抑制を要するだろう)、施設内で急変もありうる。病状の進行速度と悪化した時の状況(平日か時間外か)で異なる。配偶者・子供はいないので、甥が責任者になるそうだ。ちょっと遠方ですぐには来れないということだったが、施設から連絡して来週病院に来てもらうことにした。責任者が遠方の甥・姪というのは時々ある。

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急性肺血栓塞栓症

2017年01月25日 | Weblog

 週初めに内科の若い先生が経験した80歳代前半女性の急性肺血栓塞栓症。呼吸苦(呼吸困難)で救急搬入された。両側の肺動脈が詰まっていて相当酸素飽和度が低下しているかと思ったが、室内気での80%台から酸素2L/分で90数%に上がったそうだ。

 循環器科(ひとり循環器)の先生の話では、血栓の詰まった中枢側の脇から血流が末梢に流れているので、急死を免れたのでは、ということだった。確かに末梢側に血流がある。下肢の深部静脈血栓症があり、そちらの処置も必要になるそうだ。心臓血管センターのある専門病院に救急搬送となった。

 いい画像(教育的?)だと思ったので、記録させてもらった。

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サイエンス漢方の講演会

2017年01月24日 | Weblog

 土日はサイエンス漢方の講演会(ツムラ主催)に出席した。講師は井齋偉矢先生。

 「かぜとインフルエンザ」 

 通常のかぜ薬は、かぜ症状の持続時間を短縮するのみで、かぜの治癒期間を短縮しないし、合併症発症率も死亡率も減少しない。漢方薬は、かぜ症状の持続時間を短縮するだけでなく、かぜの治癒期間を短縮できて、合併症発症率も死亡率も減少させる。

 「桔梗湯」「桔梗石膏(コタローのみ販売)」 咽頭炎に特化した処方。急性(発症2~3日以内)の咽頭のみの症状で使用。咽頭の色はきれいな赤。ツムラ桔梗湯7.5g分3.症状が強い時は3~4時間おきに服用。水に溶かして水薬にしてのどに5秒以上なじませる含み飲みを推奨。イソジンガーグルは、イソジンは消毒作用があるが薄めては効かないし、かえって粘膜を痛める。

 「小柴胡湯加桔梗石膏」 炎症が咽頭周囲に広がって、咳が出始める時期(発症4~5日以降)で使用。咽頭の色がマグロの赤身。ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏7.5g分3。

 「桂麻各半湯」 悪寒があり、タラッと流れる鼻汁。鼻が詰まったり、ムズムズしたりの鼻かぜ。かぜの初期や回復期で使用できる。かぜの常備薬。ただし東洋薬行でしか販売してない(ツムラではなぜか販売してないそうだ)。東洋桂麻各半湯4.5g分3。

 「麻黄湯」 悪寒・発熱・頭痛・関節痛があり、発汗がない(無汗)時に使用。ツムラ麻黄湯7.5g分3。ただし実際は1~2時間おきに、発汗するまでどんどん飲む。発汗したら、そこでやめるので、1日分の処方になる。麻黄湯は通常量の10倍まで大丈夫という(もともと日本の漢方薬の量は中国の1/3~1/5の量)。インフルエンザの初期で使用。

 「辛夷清肺湯」 鼻腔から副鼻腔に進展して、頬部に熱感があり、後鼻漏でむせる(特に就寝中)時に使用。要するに副鼻腔炎。ツムラ辛夷清肺湯7.5g分3。作用を増強したい時じは、ツムラ葛根湯加川芎辛夷7.5g分3を追加(併用)する。副鼻腔の排膿には、ツムラ排膿散及湯7.5分3に変更。 (自分もかぜがこじれる(長引く)とこうなる。葛根湯加川芎辛夷だけを飲んでも全く効かなかった。辛夷清肺湯だったか。)

 「麻黄附子細辛湯」 平熱が低く(免疫能も低下)、とにかく冷えて冷えてしまう人のかぜに使用。ツムラ麻黄附子細辛湯7.5g分3。苦くてまずいので、コタローではカプセルを販売している。コタロー麻黄附子細辛湯6Cap分3。

 インフルエンザの時、麻黄湯を使用するが、インフルエンザウイルス増殖抑制効果がある。井齋先生の病院では、インフルエンザに推奨される処方をセットにして外来に置いているそうだ。推奨処方は、

 イナビル吸入粉末薬20mg2個吸入をして、

 無汗でサラサラしていたら、1)ツムラ麻黄湯7.5g+ツムラ越婢加朮湯7.5g分3を1日分(2時間毎に)。

 発汗したら、または最初から発汗していたら、2)ツムラ桂枝湯7.5g分3+ツムラ麻杏甘石湯7.5g分3を1日分(2~3時間毎に)

 解熱したら、東洋桂麻各半湯4.5g分3+ツムラ補中益気湯7.5g分3を2~3日分。

 1)と2)は、それぞれ2剤合わせると、大青竜湯に近似するそうだ。

 回復期の食欲不振・倦怠感には、補中益気湯がよい。インフルエンザ流行時の予防にも使えるという。

 井齋先生の病院では漢方薬を150種類置いていて自由に使っているそうだ。普通の病院ではそそこまでできないので、代表的なエキス剤を選んで使用するしかない。麻黄湯はふだんのインフルエンザ処方に追加している。外来でかぜ薬下さいと言われて、かぜをひいた時のためにPL顆粒を出している(これが案外人気がある)。桂麻各半湯の方がいいと思うが、院内に入れるのも難しいし、周辺の調剤薬局では置いていないだろう。

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改善したウェルニッケ脳症

2017年01月23日 | Weblog

 先月初めにウェルニッケ脳症などで入院した72歳女性は、ビタミンB1製剤の投与で改善した。1か月経過して、頭部MRIを再検したが、入院時に拡散強調画像でみられた第三脳室及び中脳水道周囲の高信号は消失していた。

 これが入院時、

 これが改善後、

 合わせて見つかった甲状腺機能亢進症(Basedow病)も、メルカゾールとヨウ化カリウム併用で軽快して、メルカゾールは漸減中。甲状腺機能の改善に伴って、朝夕で計30単位使用していたインスリンも中止できた。

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肺炎

2017年01月22日 | Weblog

 30歳代後半の女性が金曜日に内科新患を受診して、急性肺炎で入院していた。担当医が肺炎球菌莢膜抗原・レジオネラ抗体・マイコプラズマ抗原を提出していたが、全部陰性だった。時節柄のインフルエンザ迅速試験も陰性。右肺S6に浸潤影があり、横に広がっていてS10にも及んでいるので非区域性分布か。気管支壁が中枢側まで肥厚しているのが気になるが、全体的には肺炎球菌を示唆すると読むのだろうか。この年齢でこの部位に肺炎はあまり見ない気がする。

 小児科の先生から、小児ではマイコプラズマ肺炎が多いと聞いた。やはりマクロライド耐性で困っているそうだ。小児科の学会としては、マクロライド系が第一選択として推奨していて、必要があればトスフロキサシンかテトラサイクリン系(8歳未満は原則禁忌)を使用としている。今入院している14歳女子には(右中葉と左舌区に陰影あり)ミノマイシンを使用していた。解熱して炎症反応も改善しているが、嘔吐したのは副作用だろうかと訊かれた。

 2月初めに山本舜悟先生のかぜ診療の第2版が出るのでamazonで注文した。若手医師セミナーでも2月に山本先生の講義がある。

 

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