なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腹膜垂炎

2015年05月31日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。外来から呼ばれない時にmedicina4月号を読んでいた。症例26は腹膜垂炎だった。あれ、今までこの病気は知らなかった。腹膜垂は大腸の解剖図で見ると結腸ヒモに付着している黄色い小さなアレだ。アレが炎症をきたすと限局した腹痛の原因になるそうだ。今まで結腸垂炎の患者さんを診たことはあったのだろうか。結腸壁に付着した脂肪織炎になるので、知らないと(孤発性)憩室炎とみなすかもしれない。抗菌薬は使用しなくても、抗炎症薬で経過をみて治癒するので、抗菌薬投与で治癒した憩室炎と思ってやり過ごした可能性がある。この年でやっとわかるというのはかなり恥ずかしい。とりあえず日本語の文献を検索すると、レジデントノードの画像診断Q&Aにも普通に載っていた。研修医レベルだったか。

 今日は関節リウマチで整形外科外来に通院している75歳女性が、水様便と脱水症・脱力で入院した。直腸指診ではわずかに黄色の便が付着してきただけで、血便ははっきりしなかったが、オムツに淡血性の水様便が点々と付いていた。腹部CTで上行結腸から横行結腸近位にかけて腸管壁肥厚を認めた。入院直後に血便(赤黒色)が出た。部位的には病原性大腸菌?カンピロバクター?。

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志智大介先生のブログ

2015年05月30日 | Weblog

 聖隷三方原病院の感染症・リウマチ内科志智大介先生のブログを覗いていた。リウマチ性は発筋痛症(PMR)の治療に難渋する時の話だ。0~13%はプレドニゾロン初期量が15mg/日以上要する。15mg/日1週間の投与で軽快しない時は、5mg追加して20mg/日1週間投与する。それでダメな時はsubclinical or silent GCA(giant cell arteritis)を考える。

 PMRの多くはプレドニン15mg/日(炎症反応と臨床症状が軽度だと10mg/日にしていた)1週間で軽快する。軽快すればPMRでほぼ間違いないので、リウマチ膠原病科には紹介しない。ただ、一部はある程度軽快はするもののと途中で改善しなくなり、また症状と検査所見が増悪してくることがある。その時GCAの症状所見がないと困ってしまう。患者さんがリウマチ膠原病科に紹介したいが、地方ではちょっと距離があって、なかなか行ってくれない。仕方なく、(気持ちは悪いが)プレドニン20~30mg/日を投与して反応をみたりする。

 一人は60歳代女性で、プレドニン30mg/日で幸いに軽快した。10mg/日前後で症状はないが、検査所見が軽快とちょっと悪化を繰り返した。70歳を超えてから、認知症が進行してADLが低下して生活全般に全介助となり、嚥下障害で胃瘻造設経管栄養となった。入所した施設から通院していたが、誤嚥性肺炎や尿路感染症で入退院を繰り返してした。プレドニン5mg/日で元の病気(PMR+GCA?)は安定していたが、結局肺炎の増悪で亡くなった。

 もう一人は80歳代男性で、プレドニン20mg/日でまあまあの改善が得られた。ゆっくり漸減して、それでも軽度の悪化と軽快を繰り返して5mg/日で現在病状は安定した。

 症状がなくても、GCA疑いとなれば、正しくは側頭動脈生検をすべきなのだろう。リウマチ膠原病科の外来が当地の基幹病院にもできたので(大学病院から出張)、以前よりは紹介しやすい条件が整ってきた。免疫抑制剤での治療は自分の診療範囲を越えてしまう。

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TTPの疑い

2015年05月29日 | Weblog

 71歳女性が一昨日からの倦怠感・体動困難を主訴に内科新患を受診した。新患担当は大学病院からの応援医師だった。血圧が250/150mmHgと高く、4年前(震災の年と表現)に指摘されたが治療はしてないという。内科外来の看護師さんから(たぶん入院になると思って)私にこんな患者さんが来てますと連絡が来た。新患担当の先生から、ペルジピンの点滴を開始して結果結果待ちですと言われたので、入院する病棟の部屋を画面上で当たっていた。意識は清明で普通に会話はできた。

 また看護師さんから連絡が来て、検査結果が大変なことになっていますという。Hb9はいいとして、血小板が2万だった。その後生化学検査の結果が出て、BUN80・血清クレアチニン5だった。LDHが3000と高く、関節ビリルビンは4だった。溶血性貧血と血小板減少と腎機能障害があり、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)が疑われた。検査技師の目視で破砕赤血球も認められた。

 大学病院から外来と透析を診に来ている腎臓内科医に相談した。腎センターのある専門病院の先生(親しいお仲間の先生)に連絡してもらって、救急搬送になった。他には引き受けてくれる病院はないので、助かった。

 前の病院にいた時に、TTPの患者さんを同じ病院に転送したことがある。その患者さんは意識障害があって、血漿交換などの治療を受けたが亡くなったという報告が来た。今回は助かってほしい。

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下痢が続く

2015年05月28日 | Weblog

 70歳女性が呼吸困難で内科外来を受診した。相当な肥満体だった。40本/日喫煙していて、朝も喫煙してから来たという。血液ガスで低酸素血症と高炭酸ガス血症を認めた。慢性閉塞性肺疾患に、体格からは肺胞低換気があるようだ。明らかな肺炎を示す浸潤影はなかった。ふだんから労作時の息切はあるが、経過からは感染症(ウイルスか細菌性か)で増悪したと判断された。NPPVの適応かなと思いながら、低流量の酸素で、利尿薬・気管支拡張薬・ステロイド・抗菌薬と使うと良くなってきた。呼吸器科のある病院への紹介を勧めたが、行きたくないという。ここで慎重に経過をみるしかない。

 現在施設に入所している80歳女性が2~3週間下痢が続いて紹介になった。嘱託医が下痢止めなどを処方していたが、軽快しないそうだ。昨年の後半と今年の初めに、肺炎併発による心不全の悪化で循環器科に入院していた。毎回抗菌薬を使用していた。嘔気はなく、腹部は平坦・柔で圧痛はなかった。直腸指診でjは黄色の便が付着してきて、血便ではない。普段より食事摂取量は低下しているが食べてはいるという。便がとれたので、CD抗原とトキシンを提出したが陰性だった。CDIの可能性が高いとおもっていいのだろうか。、通常の細菌性腸炎とも言い難い。適切な対応かどうか自信はないが、フラジールと整腸薬で1週間経過をみて再受診とした。

 

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皮下出血で貧血

2015年05月27日 | Weblog

 今日は3人の入院患者さんが退院した。一人は歯科で抜歯後に数週間の食欲不振・倦怠感が続いて受診した89歳女性で、血液培養2セットからStreptococcus bovisが検出された。セフトリアキソン4週間の投与で軽快して、血液培養陰性となった。心エコーで疣贅は証明できなかった(当院は経胸壁エコーのみ)。診断基準は満たさないが、感染性心内膜炎と判断した。

 一人は高熱で日曜日の内科当番医から紹介された90歳男性で、肺炎だった。HbA1cが9%あって、糖尿病治療を中断していた。畑仕事もする元気な高齢者だった。性格が頑固で病院嫌い。高熱で動けなくなって、家族がやっと連れてきた。抗菌薬投与で肺炎は治癒した。糖尿病はジャヌビア50mg/日のみ投与してある程度改善した。糖尿病で通院していた住居のある町の病院へ紹介とした。

 三人目は施設に入所している83歳女性で腎結石と膀胱結石があり、前回は急性腎盂腎炎で入院していた。今回も発熱で、施設の嘱託医から急性腎盂腎炎疑いで紹介された。尿所見は感染を示唆せず、胸部X線・CTで肺炎と判明した。抗菌薬投与で順調に回復して、案外経口摂取は良好だった。

 開業している外科医から電話が来て、80歳男性が食欲不振で受診したが、Hb8.6の貧血があり、左下肢に皮下出血があるという。当院循環器科に通院してバイアスピリンを内服していた。こちらに来てもらうと、左大腿から下腿にかけて確かに皮下出血があるが、半分は黄色になっていてもう半分はぼけた紫色だった。1週間か10日前に転倒して打撲したらしい。普段のように歩行器で室内歩行はできるという。幸いに大腿骨頸部骨折や腰椎圧迫骨折は起きなかったことになる。ご本人は受診する気はなかったらしいが、今日デイサーブスに行った時に、なんとなく元気がなくて、いつもよりは食欲がないため(朝昼と食べてはいる)、施設から医療機関を受診するよう指示されたのだった。受け答えもふだんの通りにできる。直腸指診では普通便でタール便はなかった。この方は入院時に、認知症の症状で途中で外来治療に切り替わった既往がある。「看護師さんに触ると治るよ」と言ってしまい(本院としては冗談?)、病棟で看護師さんたちから「セクハラ」と問題になったこともある。新たな皮下出血がないことから、来週の初めにまた受診してもらって、貧血の経過をみることにした。

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大球性貧血

2015年05月26日 | Weblog

 看護科の講義が終わってやれやれというところだ。出血性疾患はいいとして、造血器腫瘍の話は難しい。WHO分類や具体的な薬剤のことは試験に出ないので、基本的なところのみにした。案外、抗血小板療法と抗凝固療法の違いがきちんと記載してないので、そこは強調しておいた。脳梗塞や心筋梗塞などの動脈の血栓予防には抗血小板薬(アスピリンなど)を使用して、深部静脈血栓症や心房細動などの静脈と心臓(心腔内)の血栓予防には抗凝固薬(ワルファリンなど)を使用することは、看護師さんたちはわかっているのだろうか。

 大球性貧血で内科医院から紹介された患者さんたちのことで、内科の若い先生から相談を受けた。ひとりはMCV120以上で胃切除の既往がなく、悪性貧血(ビタミンB12欠乏性貧血)と診断がついたそうだ。外注の血清ビタミンンB12の結果が出て、間違いなく低下していた。すでにビタミンB12筋注を4回行っていて、貧血は改善していた。骨髄穿刺をしていなかったし、抗内因子抗体や抗胃壁細胞抗体は測定していないが、まあいいだろう(上部消化管内視鏡検査は当院の健診で受けていた)。もう一人はMCV110くらいで(正球性に近く、本当の大球性ではない)、こちらは予想通りビタミンB12も葉酸も正常域だった。甲状腺機能や肝機能も正常だった。80歳代の高齢者で、Hbが11からゆっくりと10、9と低下している。白血球数も3700と低下気味だった(血小板数は正常域)。MDSなどの骨髄機能の低下と思われる。やっるとすれば骨髄穿刺だが、当院でやるよりは自分で骨髄像を見る血液内科医に紹介したほうがいいのではないか。血液内科への紹介について、患者さんと相談してもらうことにした。もう少し経過をみるのもアリかもしれない。

 購入してまだ読んでいなかったmedicinaの4月号「急性疾患、重症はこうして見極める いつまでもヤブと思うなよ」を読み始めた。それにしてもこの題名は山中克郎先生らしい。

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リンパ腫その後

2015年05月25日 | Weblog

 腹部腫瘤で紹介されて、消化器科で検査してMALTリンパ腫の進行したものと診断された90歳女性は、家族の希望で県立がんセンター血液内科へ紹介となった。今日その返事が来て、入院で極少量の抗癌剤治療を行うことになったそうだ。当院でピロリ菌除菌療法を行って、食欲は回復していた。極少量でも血液癌なので効果が期待できるのだろうか。

 両側副腎と腰背部に腫瘤があり、背部の腫瘤を外科で生検した83歳女性は、悪性リンパ腫だった(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)。もともとは橋本病による甲状腺機能低下症で、CTで見ると、甲状腺左葉の濃度がまだらになっている。リンパ節腫大を指摘できるのは左鼠径部リンパ節だけ。原発巣はどこになるのか。甲状腺癌に治療を専門にしている外科医に診てもらうことになった。シンチも行うことにした。患者さんご本人は認知症で、すぐに衣服を脱いで裸になってしまう。血液内科への紹介について家族と相談だが、適応なしという判断になりそうだ。

 多臓器不全の83歳男性は、順調に回復した。尿培養と血液培養から同じ大腸菌が検出された。凝固異常はまだ目立つが、入院時の驚くような検査異常はだいぶ改善した。入院数日後まで嚥下障害が目立っていたが、今日の様子では食べられそうだ。それにしても丈夫なのものだ。

 新入職員にツ反を行ってきたが、学会で推奨されていないこと、大学病院や主だった病院で行っていないことから、当院でも来年から中止することになった。IGRAが推奨されているが、それは費用の点で行わない。

 病棟も落ち着いていて、今日は二つの会議を済ませてもまだ余裕がある。

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倫理委員会

2015年05月24日 | Weblog

 今度の火曜日に院内の倫理委員会がある。委員長の役が回ってきた。大学病院で行うヒトゲノム・遺伝子解析研究に協力して患者血清を提供するだけなので(大学病院の倫理委員会の承認済み)、形式的なものだ。総務課長が実務担当で、15分で済ませますからと言っていた。委員の紹介と任命書の手渡しを含めての時間なので、実際の審議は5分だろう。

 「心房細動の抗凝固療法」池田隆徳著を読んでいた。分かりやすくていい本だ。他にも不整脈の本を出されているので集めてみよう。村川先生の時と同じように、また循環器科医からMRさんに声をかけてもらって、当地の講演会に呼んでもらうのもありだ(きっと人気講師で大分待つことにはなるだろう)。

 グレイズアナトミーのシリーズ10を見ている。アメリカではシリーズ11が放映されていて、12も予定されているらしい。ERのシリーズ15に並ぶかもしれない。今回はメレディスの親友クリスティーナが去ることになるそうだ。ERはオリジナルメンバーのグリーン・ロス・ルイス・ベントン・カーターが次々にいなくなってしまった。主役(ERは主役群)は変わらずに、脇役が変わっていって変化をつける方がいいと思うが。最後は無理やりオールスターの顔見せをやって終了した。

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講義の準備

2015年05月23日 | Weblog

 高校看護科(専攻科)での血液疾患の講義の準備をしている。次回は白血球(造血器腫瘍)と血小板(出血性疾患)の講義をする。造血器腫瘍は一般医からみると相当難しくなっている。

 昨年内科学会地方会の教育講演会で、血液内科教授の多発性骨髄腫の講演を聴いた。長年MP療法(メルファラン+プレドニゾロン)を上回る治療がなかったが、最近の新規治療薬では上回るようになり、治癒を目指した治療が期待できるというものだった。

 病院に行くのを嫌がっていた60歳代男性が動けなくなって兄弟に連れて来られた。内科の若い先生が担当したが、血清蛋白の異常高値から多発性骨髄腫が疑われた。貧血もひどく、輸血が行われた。輸血後に突然呼吸困難になった。肺水腫(非心源性)だった。気管挿管して人人工呼吸器管理になったが、約1週間で何とか回復した。輸血関連急性肺障害(TRALI)と判断された。県立がんセンターへの受診は患者さんの都合で(認知力低下あり。通院は兄の付き添い付きを要する)できず、何とか通院できるという当地の基幹病院の血液内科外来(大学病院から週1回)を受診した。やはり患者さんの都合で毎回そこを受診できないので、当院の外来でボルテゾミブを使用することになり、現在継続中だ。

 私の外来に通院していた85歳女性も多発性骨髄腫で、同じ病院の血液内科外来に紹介した。先週返事が来て、そこで高血圧症などふだんの慢性疾患も含めて外来で継続して診てくれるという。高齢だが、一人暮らしでADLは自立している。治療の内容は分からないが、やはりボルテゾミブなのだろうか。

 看護科では講師の確保に苦労している。呼吸器疾患は基幹病院呼吸器科医が担当していたが、診療が忙し過ぎて断られたそうだ。今は当地の病院に大学病院から応援に来ている先生が、午前中の診療の後に高校まで来て教えているという。昨年当院を辞めた腎臓内科医が腎泌尿器疾患とリウマチ膠原病を担当していたが、今は腎疾患は施設勤務の泌尿器科医が教えている。専門医でなくてもいいなら、何でも講義できなくはないが、診療が忙しいので今のコマ数で手いっぱいということにしておく。

 今日は「感染症的往復書簡」MEDSIを購入した。ちょっと難しそうだが、読んでみましょう。

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医局歓迎会

2015年05月22日 | Weblog

 4月から当院に赴任した先生方の歓迎会が行われた。すでに1ケ月半以上経っているので遅ればせながらということになる。整形外科の若い先生は医師数150名の病院から来た。研修医が50名いるそうだ。直接日直や当直に入ることはほとんどない。当院は医師数26名なので、全科当直に入るので違いは大きい。外科医も県内有数の病院からの赴任で、そこは内科・外科・小児科・脳外科が毎日当直していて、それに多数の研修医が付く。大学院生の時にト委当院にバイト(外科系日当直)に来ていたのでなじみはあるが、やはり全科当直は大変だろう。

 当院は外科系(外科・整形外科・眼科)は大学医局から赴任してくる。内科系は神経内科は大学からの赴任だが、私を含めて個人的な都合で来ている(半分は大学医局出身ではある)ので、医局からの赴任はあまり期待できない。もう内科系が3人くらいはほしいところだ。専門科ないので何でも診ることになっている。

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