なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

MRAの効果

2023年10月16日 | MRA

 心房細動・心不全の90歳男性が、血圧不安定と両下腿浮腫で9月29日に入院した。認知症で施設に入所したが、血圧が200になったり、80になったりと不安定だった。血清カリウムが2.6~2.7と低カリウム血症もあった。

 血圧が高いだけならば、降圧薬を追加するだけだが、急に低下した。前立腺肥大症でα1遮断薬のシロドシンが処方されていて、それによる起立性低血圧症が疑われた。起立性といっても臥位から座位だが。PDE5阻害薬のタダラフィルも併用されているので、シロドシンは休止とした。

 それにCa拮抗薬に対する反応が過敏なのかもしれない。アムロジピン(5mg)をいったん休止して、Ca拮抗薬は血圧高値の時に少量屯用で使用することにした。

 外来ですでにARBをARNI(エンレスト)に変更して、ミネラルコルチコイドレセプター拮抗薬(MRA:mineralocorticoid receptor antagonist)のミネブロを追加していた。入院後低カリウム血症はしだいに改善して3.2から3.9になった。

 浮腫はあるが、低カリウム血症があるのでループ利尿薬は使用していない。低カリウム血症の原因がわからないが、MRAで改善したことになる。

 

 7月から8月まで低ナトリウム血症で入院していた83歳女性は、鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム血症mineralocorticoid response hyponatremia of elderly(MRHE)と診断して、フロリネフ0.05mg/日で改善していた。

 フロリネフを調剤薬局が出してくれるかという心配はあったが、かかりつけの内科医院に診療情報提供書を出して、処方継続を依頼していた。

 その内科医院から低カリウム血症2.9があり、当院で調整してから戻してほしいと紹介されてきた。両下腿浮腫がごく軽度にある。

 この患者さんは発作性心房細動で、心電図をとるたびに心房細動だったり、洞調律+PAC散発だったりしていた(DOAC=リクシアナ30mgの処方あり)。今回は洞調律だった。ループ利尿薬などの低カリウム血症を来す処方は入っていない。

 βブロッカー(ビソプロロール2.5mg)が入っていたが、血圧が高値だったとして医院の方でCa拮抗薬(アムロジピン5mg)が追加処方されていた。

 アムロジピンを中止して、ANRIとMRAいずれも少量に変更して、14日後の外来予約としてみた。血圧が不安定だったり、症状があれば予約前に受診としていたが、今週きていないのでそれはないのだろう。MRAがどのくらい効いてくれるだろうか。

 

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